政治を志した動機
やはり、昨年の安保法制の強行採決が決定的です。戦後の日本国憲法体制を根幹から揺るがす事態が起こってしまったこと。権力の乱用を眼のあたりにした驚きとそれに屈服するマスコミの情けなさ。分断され視野を失いつつある国民の姿。その中で自己の無力感を痛切に感じざるを得なかったことが大きな理由です。
そして、この問題については、異論はあるかもしれませんが、私は、安倍晋三内閣の横暴に他ならないと、そう考えております。ただ、第2次世界大戦後70年を経た現在において、東西冷戦後の日本の政治体制の根本的な在り方をすべての日本国民に問おうとしている点では、敢えて積極的な意義があると考えるべきではないかとも思うようになりました。
では、今現在において私たちの身近なところではいったい何が起こっているのでしょうか。
そこで、地方自治体の政治に目を向けてみますと、東京都築地市場の豊洲移転の問題には驚かされました。都民にはまったく知らされることなしに、極めて重大な建築内容の変更が行われていたという事実が明らかになりました。しかも、その決定が、いつ、いかなる者によってなされたのかが全く不明であるという信じがたい事態となっているのです。この問題の解明については未だに見通しはついていませんが、いずれかの時期において、何者かによる何らかの政治的な圧力によって強行されていたという真実が明らかになることを願うばかりであります。
では、私たち戸田の町においてはどうなのでしょうか。ここでもまた、まるで引き写したような、権力の横暴が明らかになりました。戸田東小・東中学校同時解体、小中一貫施設一体型校舎の建設計画であります。これもまた、一般市民に知らされることなく、いつの間にか決定され、しかも議会においてほとんど議論もされることなく、いきなり約2億円もの補正予算が決められてしまったのです。しかもこのケースは、施設一体型の小中一貫校の新校舎の建築という結論だけ先に決めておいて、その具体的内容はこれからですというのです。これでは我々一般市民は建築の是非について検討する余地がありません。ずるずると予算をつぎ込んでいけば段々引き返せなくなることは目に見えています。既成事実を積み重ねていって、後は事後報告で情報開示しましたという言い訳をする行政のいつものパターンです。
そこで私たちは考えてみなければなりません。いずれのケースも、ある1点において決定的に共通している問題があることです。お気づきでしょうか。そうです。≪私たち国民の意思を無視してなされた決定である≫ということです。民意の反映なき乱用的な権力行使がなされているというところが共通する大問題なのです。まさにこれこそが日本国憲法の基本的原理たる民主主義の理念に反する事態なのです。この点、結果さえ良ければいいじゃなないかというご意見の人たちもいらっしゃるかもしれません。しかし、民主主義とはそういうものではないのです。結果の良し悪しに関わらず、みんなの話し合いの過程を経て、みんなの意思で決定するところに意義があるのです。勿論形式的には行政機関に最終的な決定権限はあるのですが、その決定過程において私たち国民の意思が反映されていることが決定的に重要なのです。なぜなら、この過程が保たれていることによって<私たち国民の意思によって政治が決められた>という理屈が成り立つことになるからです。この理屈が成り立つことが大切なのです。単なる理屈だと言って軽んじてはいけません。この理屈が成り立つことによって、行政機関の下した決定が<正しいものである>という根拠が初めて与えられることになるのです。 そして、このことは、私たちが選挙によって選んだ人が決めたことだからいいじゃないかというわけにはいかないのです。彼らを選んだのは私たちの意思や考えを彼らに代弁してもらうためであります。彼らに好き勝手をすることを認めたわけではありません。政治的決定の丸投げではないのです。どんなことでも、どのようにでも決めてもいいよ、という白紙の委任では全くないのです。そこには、少なくとも私たち国民の生活に重大な影響を与える決定については当然私たちの意見を聞いたうえで行ってくださいよ、という要求が自明のものとして含まれているのです。
お解り頂けたでしょうか。安保法制は国政の問題であって、地方自治の問題とは別だから地方選挙で語るのは適当ではないよという意見を持たれていた方も多かったようであります。しかし、憲法問題は、国と地方を問わず、いずれにも一貫した共通の根本的問題なのだということにお気づきになられたのではないかと思います。結局において昨年の国政問題を放置しておいたことのツケが私たちの身近に及んできたといっても過言ではないと思います。
したがって、私たちは、この≪民意の無視≫という権力の横暴に対して、この地方政治の場からその改革を訴えていかなければならないのだと切に思います。