採用におけるコミュニケーション戦略を考える前に
アドコミュニケーションについて考えてみたいと思います。
アドの歴史は古く、テレビやラジオが生まれるよりも遥か昔に遡ります。
ここでその歴史を振り返ることはしませんが
その長い歴史の中で広告のあり方が少しずつ変わっていることを
頭の片隅に置きながら話を進めていきます。
近年インターネットメディアの台頭もあり(「労働環境」も話題ですが)
広告代理店の不要論が実しやかに囁かれていますね。
しかし、代理店の機能は別として
広告それ自体の価値は依然として絶大なのではないでしょうか。
アドの目的というのは企業(広告主)によっても媒体によっても様々です。
いわゆる売上拡大のためのプロモーションもあれば
企業や商品の価値向上を図るためのブランディングもあります。
またSNSの登場により単なるブランディングではなく
パブリシティという概念自体も広く一般に受け入れられるようになりました。
さて、本ブログの主題である採用コミュニケーションに話を戻しましょう。
採用コミュニケーションの目的は一体なんでしょうか?
これもまた企業(採用者)によって目的は大きく異なると思います。
しかし、多くの企業ではエントリー数の増大や
表層的な就職活動人気ランキングの向上を主目的としています。
採用支援を行なっている当方への相談内容も
(あるいは相談される前の社内会議の段階で)
数値的な目標を設定されるというケースが多く散見されます。
ここで問いたいのは「そこで何を訴求するのか」についてです。
これは一体誰がどうやって決めるのでしょうか。
話をアドコミュニケーションに戻します。
広告代理店にテレビCMの出稿依頼をかけることを想定します。
広告用語で視聴率のことをGRP(グロス・レーティング・ポイント)と言います。
通常テレビCMを流そうとすると、このGRPの買い付けを行います。
「1,000GRPあたりいくら」という感じです。
テレビ局に直接このGRPを買いに行こうと思っても
テレビ局はテレビCMの枠は売ってくれません。
必ず広告代理店を通さないと買えないわけです。
これが俗にいう「既得権」というやつで
これがあるから大手の広告代理店は潰れないどころか潤っているわけです。
また、テレビCMというのは15秒とか30秒の動画を制作する必要がありますので
この動画の制作を(付帯するキャスティングなんかも含めて)代理店に依頼します。
動画の制作を依頼された代理店は何をするのかと言いますと
1:その商品(あるいは企業)の本質的な価値は何か
2:それをどうやって表現するか
を一生懸命になって考えます。
そのためにプランナーやクリエイターが何人も集まって
深夜遅くまでアイデア会議が行われます。
しかし、インターネットメディアが台頭したことで
コミュニケーションが雑になっているように感じます。(個人的な意見です)
インターネットメディアはグーグルなどのおかげで
代理店を通さずに枠の買い付け(出稿)が可能です。
(素人でもちょっと検索すれば簡単にできてしまいます)
そのおかげで、これまで当たり前のように行われていた
1:その商品(あるいは企業)の本質的な価値は何か
2:それをどうやって表現するか
このプロセスが「省略」されてしまうケースが増えてきました。
もちろん自社で考えられているケースもなくはないですが
コミュニケーションのプロを社内に抱えているケースは少なく
十分な思考がされていないように思われます。
採用のコミュニケーションはこの「プロセスの省略」が顕著です。
媒体社であるナビ会社(あるいはイベント会社)が直接営業することで
そもそもこのプロセスを知らない人間たちが
「雑なコミュニケーションが当たり前の文化」を作り上げてきました。
ヒト・モノ・カネ(・情報)という重要な資産であるにもかかわらず
そのための採用コミュニケーションは軽視されています。
この状況を打破すべく今後当ブログでは持論を展開して行こうと思います。
注)
ダイレクト型のコミュニケーションや発展したアドテクノロジーは
効率性を重視するため生活者を感情豊かな人間として扱いません。
キュレーションメディアのようなセグメント型メディアも多く出現していますが
それ自体が効率性を起源に誕生しているケースが多く
ラグジュアリーブランドが出稿する旧来型メディアの代替になるには
まだかなりの時間がかかるのではないかと思っています。