AAキャラ(以下「モナー達」)は公有財産、つまり著作権が放棄された著作物(=パブリックドメイン。以下「PD」)であるから、例えば秋葉原の「あきばお~」なんかでモナーグッズやさいたまグッズなどが売られていたり、通販で職人さんが色んなグッズを売っても問題にならないのと一緒で、AVEXが商品化しようと我々は文句を言えた義理ではない。(心情的に文句を言いたくなる、というのはともかくとしても。)
この件に関して勘違いしている人が少なからずいるようなので念のために記しておくと、2ちゃんねる管理人の西村博之氏はモナー達に関する権利を持っているわけではないし、また彼が代表して著作権を管理する・するべきだなどという話も甚だしい勘違いである。況や「売り上げの一部を2ちゃんに寄贈」とはどんな理屈なのやら。
縦えモナー達が2ちゃんのAA系板によって生命を吹き込まれた存在であるとしても、西村氏が有しているのは、彼(または彼の法人の)の私有掲示板に書き込まれた内容についての二次利用権だけだ。だから、例えばモナーというキャラクターのイラストを売ったり、フィギュアなどの商品を売ることについて彼の許可は全く不要であるし、彼がそれについて強制力のある発言をすることもできない(もちろんこれはAAを作り出すコミュニティーの代表としての「コメント」を否定するものではない)。ただし、2ちゃんのAA板などに書き込まれたAAのデータ集(例えば「ギコペ」のデフォルトデータなど)や、ログの出版や、長編AA板に投稿されたストーリーを映像化するなどとなれば、彼の許可が必要ということだ。
他に今までモナー達の商用利用としては、イリーガルアンドパートナーズの「イーバンク銀行に口座を作ってモナーストラップをもらおう」キャンペーンや、ドワンゴのコマーシャル、ネットランナー、「ナースウイッチ小麦ちゃんマジカルテ」などが挙げられるが、これらは問題視されることはあったかもしれないが、今回のような圧倒的な拒絶を含む「祭」にはならなかった。彼らがそのキャラクターについての著作権を主張しているわけではない以上、ネット利用者が不利益を被ってはいないわけだ。
AVEXと「わた」氏は、「(C)のまねこ製作委員会」と表記してそれらのモナー二次著作物を売っている。八頭身が酒を飲んでるAAや、「ヴァンタ」ネタなど、酒や飲料物を飲むモナー達はすでにAA化されていおり、端的に言って「のま猫」は「モナー」あるいは「モララー」「しぃ」――「しぃ」が厳密にPDかはともかく――といったあたりのPDキャラクターが酒を飲んでいるだけにしか見えない。しかし、「わた」氏が作ったと称している改変AA程度のキャラの「のま猫」にも、少なくとも二次著作権は存在するわけだから、「のま猫」の名の下でグッズを売る権利を主張するのはわかる。(「のま猫」と称しているキャラクター群の中に、明らかに「モララー」などが居ることはとりあえずさておくとしても。)
ところが電突報告を見る限りでは、AVEXは「のま猫」をモナー達の二次著作物として認識しているわけではないらしい。つまり、第三者がモナーグッズを売ろうとしたり、モナーなどのイラストを頒布しようとしたら、AVEXが「『のま猫』と類似しているキャラクターグッズによって我々の著作権を侵害しているから金よこせ」と言ってくる可能性があるわけだ。AVEXは「ネットコミュニティーが利用することを制限するわけではない」という趣旨の発言をしているとの情報もあるが、モナー達を利用する権利はネットコミュニティー以外にも当然わるわけであって、そもそもそれをAVEXがどうこう言える立場ではない。例えば「モナーが花見で酒飲んでる図のグッズ」を誰かが販売したときに、AVEXはその販売者を訴えたりすることは無いと言い切れるだろうか。AVEXの企業姿勢を考えれば非常に怪しいと言わざるを得ない。
AVEXにもし藝術作品を扱う企業としての気概があるなら、「のま猫」はパブリックドメインであるモナーの二次著作物である旨を明言すべきである。夙に指摘されているように
、多くのネットユーザ(弊社もその末席を汚すAA職人である)によって育まれたキャラクターを、著作者を詐称して独占しようという態度は、創作にかかわる会社のものではない。まるで著作権泥棒・海賊版作製業者だ。
「『わた』が考えたモナーの亜種です」といった立場さえ示したなら、多くのネットユーザーはAVEXを否定したりはすまい。もしAVEXがあくまで「のま猫」を一次著作物であると言い張るなら、「モナーのお月見」という題でモナー達が酒盛りをしているグッズを売ってやろうと思っている。
〔追記〕 2005/09/11 2:10
表題を「のま猫」から「モナー」に変更しました。