昨日、京都シネマにて「0.5ミリ」を見た。
報知映画賞邦画部門ベストワン、キネマ旬報邦画部門ベスト2の作品である。
椅子席は61席。私は63番目に券を購入したため、立ち見となった。
ほぼ3時間30分立ち続けた。
立ち見だったために、居眠りをしなかった。
この映画高知県を舞台にしているが、高知弁が出てこない不思議な映画だった。
安藤サクラ、押しかけヘルパーでいい味を出していた。
織本順吉の痴呆ぶりは地のままでないかと思わせた。
木内みどりの老け顔も痛ましかった。
津川雅彦の出番が長く、もう少し短くても良かったのではないだろうか。
津川演じる元海軍下士官・元教師が痴呆になり、戦争について語る場面がある。
7分間だそうだ。
街角や駅構内でよく見かけるポスターの彼の怖しい顔ではなく、普通の顔だったが、どちらも演技しているのだろう。
戦争について批判的に語っているのだが、津川は内心どう思って演技していたのだろうかと思ってしまった。痴呆老人としてではなく、痴呆ではない老人の言葉として、もっと説得力のある話し方であって欲しかった。7分間ということだが、もっともっと長く感じた。
この映画は昨年見ていたら、当然ベストテンに入れていた映画ではあった。

今日、「0.5ミリ」で検索していたら、安藤桃子監督のインタビュー記事があった。
「社会のニューヒーローは高知にいた 映画『0.5ミリ』安藤桃子監督に聞く"高齢化社会の未来"」
http://www.huffingtonpost.jp/2014/11/07/05m-momoko-ando_n_6119392.html
『今回は「戦争」もテーマのひとつなので、作品を書くにあたり、老人ホームに通いました。インタビューするというよりは、おじいちゃんやおばあちゃんと、一緒に過ごそうと思いましたね。

私自身は戦争を体験していない世代ですが、戦争を体験した人と会話をすることで、想像できることがあると思います。戦争を体験した真壁義男先生のエピソードを書いたのは、私が20代のときでした。

義男先生の話は、元海軍のおじいさんと自分の対話が基になっています。その方の思いの後ろには、生涯で出会うこともない人や、もう亡くなられた人たちの思いも濃縮されていると感じました。この出会いを大切に、きちんとつなげていきたいと思いました。

映画には、義男先生が7分間ひとりで戦争について語る大事なシーンがあるんですが、これは実際に、おじいさんが急にインタビューのように語りはじめたときの言葉をそのまま使っています。長かったので一度編集してみましたが「絶対、切っちゃだめだ」と思い、そのままにしました。サワちゃんの質問も、私自身の言葉で一言一句変えていません。

映画では、義男先生役の津川雅彦さんが、その世代のたくさんの方々の思いを、どーんと背負って演じてくださいました。現場での7分間は、忘れられない時間です。』