バンクーバーのフィギュア終わりました。全員入賞なので頑張ったというか、もうちょいというべきか。
私は、鈴木 浅田はホントに良かったと思っています。なんといっても曲が好き。そもそもバーンスタイン ファンですので、トゥナイトのイントロが流れてきただけで目が湿ってしまいます。ウエストサイドはとても良い作品だと思っていて、親しみのあるメロディのなかにマイノリティの問題、社会的格差の問題 深読みすればGIDの問題などが盛り込まれていてとても考えされられます。そんな極めて現代的で深刻な問題を「クラプキー巡査」や「アメリカ」みたいな軽やかな曲で表現しているのが面白いです。ただの恋愛物でないのがいい。
あと 新聞なんかでもあまり評判よくないみたいだけど 浅田のラフマニノフの前奏曲はとても良かったとおもいます。テレビのインタヴューなんか聞いていても、浅田って子はいわゆるかわいいお嬢さんではないのではないか、むしろ芯にダークでヘヴィな一面があって、今回のプログラムはそれがうまく引き出せていたのではないかと。
昔 チャイコフスキーの没後100年の年に墓参りに行こうと思い立って、旅行を手配したことがあるんです。当時は個人でもビザを取るのに行程を確定しておく必要があって、モスクワに一泊してから夜行で墓地のあるペテルブルクに移動することになっていました。クレムリンは帰りに見に行くつもりだったので(旅行は連休明けで その直前のメーデーのデモで亡くなった人がいました。メーデーは知っていましたが、5月8日の夜から9日にかけて何があるか知りませんでした。妙に夜行の車内がにぎやかだったのですが、結局クレムリンは見られませんでした。)泊まっていたホテルウクライナ近くのノヴォデヴィチ修道院に行くことにしました。歩いていったように記憶しているのですが、地球の歩き方の地図がアバウトで さっぱり近づきません。住宅地の中に迷い込んでさまよい途方にくれている中、鳴り出したのが修道院の鐘でした。イメージはまさに浅田の演技。あとたとえるならラフマニノフの2つ目のピアノ協奏曲の導入部分。おかげで無事修道院にたどり着くことが出来ましたが、私の中ではまさにあの鐘の音がロシアのイメージ シンボルとして固まってしまいました。
コーチのタラソワにしてみても いくらかの迷いがあったにせよなんとかロシアの文化をオリンピックの場で提示したい気持ちがあったのではないでしょうか。それに見事に浅田が答えた。あのフリーの演技は間違いなく記憶に残るプログラムだったと思います。