2003年11月某日。
閉店時間の23時が過ぎ、店長は待機室のカーテン越しに 「はい、終わってー」 と女の子たちに声を掛けた。
その声が聞こえてくる10分以上前からとっくに着替えていて、帰る準備は万端だ。
自転車で帰るのだから電車の時間など関係ない。
それでも、その日の手取りが1万円を越えると、早く帰りたくて仕方がなかった。
稼ぐために出勤するが、自分の中で収入のセーフティラインがあり、
特別大きな出費がない場合は、1万円札を1枚手にすることができれば十分なのだ。
当時の私の職業は、風俗嬢。
手っ取り早く日銭を稼ぐため、経歴も特別な容姿も問われない、
そして綺麗な洋服を用意する必要のない場末のファッションヘルスを選んだのだった。
結婚生活において何度目かの 『もうダメ』 を痛感した私は、ネットで手頃な店をピックアップして面接に出掛けた。
・待機室の居心地がよさそう
・女の子や店長に変なクセがない
・当日欠勤の際に罰金がつかない
・手取りが10分あたり千円以上
Aという店に決めたのはそんな理由からだった。
連絡先の携帯電話番号と嘘の住所と名前を書くと今までの経歴を聞かれ、
ポラロイドで着衣姿の撮影をした。
過去に経験があるとはいえ、久しぶりの風俗店勤務。
これから色んな男の相手をするのか、というげんなりした思いよりも
いっぱい稼いで家出するぞー!という意気揚々とした思いでワクワクした。
(初勤務は5年前のSMクラブです。そのうちまた書きたいと思います。)