昨日の昼休みのこと。


となりの席の女子がいきなり「これ、自分で作ってみたの。味見してみて」と弁当箱をこっちに見せてきた。


いなり寿司とかんぴょう巻きが入っていた。


1つずつ食べてみてというので、こっちから玉子焼きとソーセージをトレードに出した。おおかた、自分の弁当よりこっちのおかずが目当てなんだろう。


建前上「味見」だから、よく味わって何かしら食レポをすることが要求されている。


味が薄っすらしていて、変な味がした。

玉子焼きとソーセージが目当てだったわけではなく、嫌がらせがしたかったのか。


そっちがそういうつもりなら仕方ない、はっきり言ってやろう。

「味、薄くて変な味がしたけど、毒味かよ」


「イヤぁ~、そうよね。ゴメンゴメン」

ちょっと気まずそうに笑って謝る。

「変な味で正解。だけど、毒とか腐っているとかじゃないから食べて大丈夫」


そんなこと言われてもコワイ。ホラーとか心霊スポット好きらしいから、呪いが掛かっていて味にも表れてきているのか…。


「どうせ失敗作なんだろ?」

「ウ~ン…失敗と言えば失敗かもだけど、こうなることもあるとは思ってたから」

なんだコイツ、確信犯かよ。


「どういうことだよ!」

問いただすとニヤニヤしだした。

「えっとね~、レッドブル仕立てって言えばいいかな。油揚げはレッドブルに漬け込んで、かんぴょうはレッドブルで煮たの。弟はおいしいって言ってたけれどなっ…」


その弟はいろいろな意味で姉のコワさ、イタさを知っているから、そう言うしかなかったのだろう。