唐突に網田が街並みの美しい国をつくろうと言った。続けて「どんな街並みが好きなんだ」と俺の腹の中を探りにきた。

「暮らしてみないとわからない」

「じゃあ、今まで住んだことのある街のなかで言ったら」

「う~ん…ない。ないな」

「俺もない。住んだことのある街にはない。でも、どこも不満もなかったし、住みやすかったな」

「そう。だからかもしれないな」

網田の表情が曇ったように見えた。ほんのわずかなので気のせいかもしれない。でも、そうさせるニュアンスを言葉に乗せてはいた。


街並みが好きな国

 

 

 

 

 

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