>  >  > 異星人観測の新手法「Laser SETI プロジェクト」とは?

2017.07.29

 

 SETI(セティ)――地球外知的生命体探査。それは地球外の宇宙文明を発見するという壮大なるプロジェクト。

 果たして地球文明は広大な宇宙にあって極めて例外的な一つの奇跡なのか、それとも、無限にも思われる宇宙では数多ある文明の中の一つに過ぎないのか。誰しもが一度は思案と想像にふけったであろうこの根源的な問いに、SETIは常に最先端の科学技術を駆使して、数十年間にわたって向き合い、取り組み続けているが、いまだ具体的な成果は出ていない。

 しかしそう遠くない将来、この現状に劇的な変化が訪れるかもしれない。地球以外の宇宙文明の存在が明らかになる日が来るかもしれないのだ。少なくとも、その兆しはすでにあると期待させてくれるのが、このたび発表された“Laser SETI(レーザー・セティ) プロジェクト”だ。

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Daily Mail」の記事より

■1ミリ秒以下のエイリアンのシグナルもキャッチすることが可能になる!

 現在SETIでは電波望遠鏡で受信した電波を解析して、それが地球外生命体から発せられたものかどうかを検証したり、地球外生命体がすでに地球に探査機を送り込んでいると仮定してその探査機を捜索したりするなど、さまざまな手法を用いて地球外生命体の存在を確認すべく奮闘している。

 そんな中で、こと電波や大輝度レーザー光を検出する試みについては「それらが常に継続してそこに存在している」という前提に立って行われていた。言い方を変えれば「常にそこに存在するわけではないもの」や「一瞬しかそこに存在しないもの」については、そもそも検出の対象として考えられてこなかったのである。

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 「Daily Mail」の記事より

 身近なもので例えるなら、光を発し続ける電球の明かりは検出対象だったが、一瞬だけ発光して消えるカメラのフラッシュライトは検出対象外だった、といったところだろうか。SETIのジル・ターター博士はこう述べている。

「高度な文明であれば強力なレーザーを用いたシグナルを運用することは十分に考えられます。それは宇宙船の推進力に利用されることもあるかもしれません。問題は、今現在、まばたきよりも短いかすかな発光のシグナルが空中に存在しているかもしれないのに、今の私たちはそれを知ることができないということなのです」(ジル・ターター博士)

 

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池上徹

 

■1/1000秒以下の点滅が捉えられるシステム

 しかし“Laser SETI プロジェクト”がこれを変える。Laser SETIは空中の瞬間的な信号、例えば1ミリ秒(1/1000秒)以下のレーザーフラッシュなどを捉えることが可能なのだ。

 計画では天文学研究に用いられるような“視野の広い”高性能カメラを使用し、特別な処理システムにより1秒間に1000回以上の情報を抽出することが可能だ。また、同時にスリットレス分光という手法を用い、光を波長ごとに分解し解析する。

 現在は資金を募っている最中だが、最終的にはこのカメラを量産してグローバルなネットワークを構築し、24時間体制で世界中の空を探査できる状態に整えたいというのがSETIの野望である。SETI研究者の弁では、この野望が実現すればSETI初期のおよそ20万倍に観測範囲が広がるという。なんとも夢のある話ではないか!

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 「Daily Mail」の記事より

 私たちの知的好奇心は尽きることがない。それが人類の発展の原動力であり、またそれを支えて来た屋台骨だ。人類以外の宇宙文明の存在が近い将来、発見されるかもしれない。そうなったとき、次に私たちが宇宙に抱くロマンはいかようなものだろうか。気が早いかもしれないが、筆者はすでにそんなことさえ想像してしまう。続報に期待だ!
(文=池上徹


参考:「Daily Mail」、「Indiegogo」、ほか