【宇宙】パラレルワールドへの入り口発見?今いる空間の中に“折りたたまれた”ブラックホール【前半】
■ブラックホールは実は身近な存在
研究者は、多くの銀河系でこのような中心に大質量ブラックホールを携えた天体が、これまで考えられていたよりももっと普通に存在していると指摘している。つまりブラックホールはイメージするよりももっと身近な存在であるということだ。そして英紙「Daily Mail」によれば、ブラックホールはひょっとすると別の宇宙へと通じる入口ではないかという解釈が昨今説得力を帯びてきているということだ。
素粒子物理学のいくつかの理論では、我々の目に見えるよりも多くの宇宙があることが示唆されており、余剰次元(extra dimension)と呼ばれるそれらの宇宙はまさにパラレルワールドであるともいえる。そしてこの理論に立脚することで、一般的には相いれないはずの量子論と重力理論が両立できる魅力的な解釈でもあるのだ。
その最も有力な理論のひとつに、膜宇宙論(brane theory)がある。膜宇宙論は粒子を0次元の点ではなく1次元の弦として扱う仮説である弦理論(string theory)の一部分を構成するもので、この世界の“力”と“素粒子”がひとつの理論に収まることを説明するものであると、ロンドン大学クイーン・メアリー校のクリス・ホワイト博士は言及している。
現在の我々は3次元+時間の4次元の世界で暮らしているとされるが、一方で膜宇宙論では余剰次元がさらに7つあると考えられている。つまりこの世界は時間を含めて11次元ある(10次元という説もある)ということで、ブラックホールはこの次元同士の間をつなぐ通り道になっているのではないかといった仮説も立てられているのだ。
「Daily Mail」の記事より
そして次元をつなぐブラックホールは、宇宙空間のみならず我々が暮らす空間の中で気づくことができないほど小さく“折りたたまれて”いたるところに存在しているという。思いがけないアイディアが湧き出たり、普段なら絶対にしないようなことをしてみたくなった時などは、ひょっとして“極小ブラックホール”から送られてきた別の次元からの情報に影響されたのかもしれない!? そして実際、“極小ブラックホール”を人工的に作り出す試みが、CERN(欧州原子核研究機構)のLHC(大型ハドロン衝突型加速器)で着々と進められている。“極小ブラックホール”の生成に成功した暁には、物理学の分野でドラスティックなパラダイムチェンジが起こると共に、我々の世界認識もまた大きく改められることになるだろう。その日の到来は意外に近いのかもしれない。
参考:「Daily Mail」、ほか
TOCANA > 自然宇宙 > 宇宙工学・物理化学 > 2つの大質量ブラックホールを発見!
2017.01.16
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