CPU年表【中半】1990年代64ビットRISC・クロック…
2000年代後半 電力効率向上の流れ
クロック周波数の急激な増大に伴い発熱と消費電力が増大の一途をたどり、マイクロアーキテクチャの複雑化とクロックの増大で性能を稼ぐ従来の方向性は行き詰まった。半導体の微細化につれてリーク電流が加速度的に増大し、半導体回路を単純に微細化しても高速化につながりにくくなった。インテルとAMDで約2年ぐらいごとに行われていた新規のCPUコアの開発ペースも鈍化し、既存コアの改良に開発の重点が向けられる。なおインテルは、2007年に発表したコードネームPenrynより、ムーアの法則に続くモデルとして、CPUの製造プロセスとアーキテクチャを1年ごとに交互に進化させていく「チックタックモデル」を導入している。「消費電力あたりの性能」が重要視され、マルチコアCPUが普及する。パーソナルコンピュータ向けでは2コアが主流だが、サーバ向けCPUでは「UltraSPARC T1」のようにマルチコアとハードウェアマルチスレッディングによりワンチップで数十のスレッドを実行するCPUが現れる。単一スレッドの実行速度は停滞気味となり、ハードウェアによる仮想化機能の搭載や、相対的に低いクロックでも高い性能を引き出しやすいSIMDの性能向上に力点が置かれるようになった。
- 2005年1月 AMD Turion 64概要発表。
- 2005年2月 Cell 概要発表。
ヘテロジニアスマルチコア。プレイステーション3に搭載されたものは、8コアで3.2GHz動作。 - 2005年5月 インテル Pentium D
Intel VTと呼ばれるハードウェア仮想化機能をもつ。 - 2005年5月 AMD マルチコアOpteron
第3世代のOpteron。 - 2005年6月 AMD Athlon 64 X2
- パソコン向けマルチコアCPU。
- 2005年6月 アップルコンピュータ、2006年よりMacintoshのCPUを徐々にPowerPCからIntel系へ変更することを発表。2006年1月10日にはIntel Coreを搭載したiMac Core DuoおよびMacBook Proを発表した。
- 2005年11月 サン・マイクロシステムズ 、サーバ向けCPU UltraSPARC T1 発表。
単一チップ上に8個のコアを持つ。それぞれのコアが4スレッドを実行可能で、最大32スレッドを実行。省電力技術「CoolThreads」搭載で消費電力約70Wを実現。 - 2005年11月22日 マイクロソフト、3コアPowerPC搭載のXbox 360を発売。
- 2006年1月 インテル Intel Core 発表。
- Pentium Mの後継となるマルチコアCPU。従来のPentium Mとは異なり、デスクトップパソコンもターゲットとした。 Coreマイクロアーキテクチャの採用は次代のCore2からとなる。
- 2006年4月 サン・マイクロシステムズ 、サーバ向けCPU UltraSPARC T2 発表。
UltraSPARC T1を拡張し、1コアで8スレッドを実行可能とした。浮動小数点演算能力を大幅に増強したほか、整数演算能力も向上させた。 - 2006年7月 AMD、グラフィックチップメーカーのATI Technologiesを買収。CPUにGPUを統合する方向へ。
- 2006年7月 インテル Intel Core 2 発表。
P6+アーキテクチャを拡張してパイプライン数を増やし、さらに128ビット処理が可能な広バンド幅ALUを搭載した高IPC設計。Intel 64 搭載。従来デスクトップパソコン向けに提供されていたNetBurstアーキテクチャが予想以上の発熱と消費電力の増大で限界を迎えたため、Pentium Dをも置き換えるCPUとなった。 - 2006年10月 IBM 、サーバ向けCPU POWER6 を発表。
コアごとに4MBの2次キャッシュ、毎秒75GBのメモリアクセス、65nmプロセスで4.5GHzを実現。POWERファミリでは初めてVMXを搭載した。 - 2006年11月11日 ソニー・コンピュータエンタテインメント、Cell 搭載のプレイステーション3発売。
- 2007年7月20日 Intelの次世代64ビットマイクロアーキテクチャNehalemの実働試作CPUを発表。あわせて32nm液浸リソグラフィによる試作ウエハと共に一般公開された。
- 2007年11月12日 インテル、45nmプロセスで製作された Intel Core 2 プロセッサ (コードネーム : Penryn)を発表。
ハフニウムを使ったHigh-K絶縁膜・金属ゲートを初めて採用、Super Shuffleエンジン、ATA命令などを新たに搭載、Radix-16 dividerによる高速な除算を実現。 - 2007年11月19日 AMD K10マイクロアーキテクチャに基づいたデスクトップ用プロセッサ Phenomを発表した。Phenomのバリエーションにおいてはクアッドコアの他に、世界初の x86 トリプルコア採用 CPU Phenom 8000 シリーズが発売された。
- 2008年3月2日 インテル、低消費電力プロセッサ Intel Atom (コードネーム : Silverthorne)を発表。
あえてアウトオブオーダー実行を採用せず、他方同時マルチスレッディングを採用するなど、消費電力と性能に関する取り組みに特徴がある。 - 2008年4月9日、サンと富士通は、UltraSPARC T2 Plus(コードネーム : Victoria Falls)発表。
SMP対応機能が追加され、SMP構成で256ハードウェアスレッドをサポート。[1][2] - 2008年8月8日 インテル、Intel Core i7 を発表。
- ハイパースレッディング・テクノロジーを採用したNehalemマイクロアーキテクチャを実装。
- 2009年1月8日 AMD、PhenomⅡを発表。
- 45nm SOIプロセスを採用し、高クロック化やL3キャッシュの増量、TDPの改善を実現した。
- 2009年6月1日 AMD、ネイティブ6コアを搭載するOpteronを発表。
新たにHT Assist(Hyper Transport Assist)が実装された。HT AssistはL3キャッシュ1MBを消費してCPU間でのキャッシュのプローブトラフィックを軽減し、 データベース処理等を高速化する機能である。 - 2009年8月25日 富士通、SPARC64 VIIIfxを発表。
- HPC向け8コアRISCプロセッサ。理化学研究所の「京」に搭載するために開発された。
2010年代前半 CPUのSoC化
2000年代には、パーソナルコンピュータやPCサーバだけでなく、スーパーコンピュータやハイエンドのサーバーにおいてもx86の進出が進み、汎用CPUの分野においてはx86の勢力がますます強まった。クロック周波数当たりの性能を稼ぐためにSIMDなどCPUに内蔵された命令の複雑化・多様化が進み、並列処理に特化したGPUなどの専用回路もCPUの一機能として取り込まれつつある。
一方、2010年代に入り著しくなっているのが、組み込み用途とデスクトップの境界領域にあたる携帯デバイスの成長である。スマートフォンやタブレットコンピュータなど、モバイルオペレーティングシステムを搭載した情報機器にはパソコン並みの汎用性が強く求められ、組み込み向けプロセッサと汎用CPUの境界はあいまいとなりつつある。この分野においては多様なニーズに特化したSoCに組み込まれるARMアーキテクチャが標準の座を固めつつあり、Atomなどのx86プロセッサはニッチ的用途にとどまる。また、サーバ分野においても、圧倒的なシェアを誇るx86にARMが拡張性と電力効率を武器に食い込みを狙っている。
- 2010年2月9日 IBM、POWER7を発表。
- サーバ/メインフレーム用マルチコアCPU。POWER6の5倍の性能を持ち、8コアで最大で32スレッドを実行可能。
- 2010年9月9日 ARM、Cortex-A15 MPCoreを発表。
- 32ビットCPUコア。これまでARMアーキテクチャがターゲットとしてきた組み込み向けに加え、モバイルパソコンや高密度サーバもターゲットとした。最大1TBのメモリ空間、OSの仮想化支援、ソフトエラー訂正など、サーバ用途を意識した機能を搭載し、最大16コア構成が可能。
- 2011年1月4日 AMD、第一世代のAMD Fusionを発表。
- 64ビットシングルコア/デュアルコアCPUにGPUを密接に統合し、APU(Accelerated Processing Unit)と称する。部品点数と消費電力を削減できるメリットがあり、主に低価格パソコンやポータブルパソコン向け。
- 2011年1月5日 インテル、Sandy Bridgeマイクロアーキテクチャを採用した第二世代Coreシリーズを発表。
- 64ビットマルチコアCPU。「Intel Core i7」・「Intel Core i5」・「Intel Core i3」・「Intel Pentium」・「Celeron」および「Xeon」ブランドで発売される。GPUコアをオンダイで統合し、新SIMD拡張命令セットIntel AVX を搭載した。
- 2011年1月5日 NVIDIA、Project Denverを発表。
- パソコン・モバイル機器・高密度サーバ用SoC。独自開発のARMマルチコアにGPUを組み合わせ、従来のx86ベース汎用プロセッサの代替を狙う。
- 最大8コアのパソコン向けプロセッサ。マルチスレッドでパフォーマンスを稼ぐ設計思想で、2コアでFPUを共有する独特の構成をとる。
- 8コア64ビットCPU。2命令同時発行やアウトオブオーダー実行、3次キャッシュなどを実装した新開発のS3コアを実装し、前世代のSPARC T3に比較して、単一スレッド当たりの処理速度が約5倍、浮動小数点演算性能が約3倍に向上。
- 2011年11月1日 HP、ARMベースの省電力サーバプロジェクト「Moonshot」を発表。
- CalxedaのARM Cortex-A9を4コア搭載したサーバ用SoC採用し、x86/64ベースサーバに比較し消費電力を1/10、設置スペースを1/10に低減。
- 2012年4月24日 インテル、Ivy Bridgeマイクロアーキテクチャを採用した第三世代Coreシリーズを発表。
- 64ビットマルチコアCPU。3Dトライゲートトランジスタを採用し、統合GPUを大幅に強化。乱数ジェネレータとRdRand命令などを追加した。「Intel Core i7」・「Intel Core i5」および「Xeon」ブランドで発売される。
脚注
- サンプレスリリース (2008年4月10日). “2008.04.10 サンと富士通、「SPARC Enterprise」サーバシリーズにUltraSPARC T2 Plusプロセッサ搭載の新機種を投入” (日本語). 2008年4月13日閲覧。
- 富士通プレスリリース (2008年4月9日). “富士通とサンが新プロセッサ「UltraSPARC T2 Plus」でUNIXサーバ「SPARC Enterprise」のラインナップを拡充 : 富士通” (日本語). 2008年4月13日閲覧。
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