中国経済は「崩壊中か、それともすでに崩壊か」急激に増加する不良債権

 

 

 中国経済が「バブル化」していると囁かれて久しい。中国経済のバブルはすでに弾けつつあるという指摘もあるなか、中国企業および個人の債務問題が深刻化している。香港メディアの鳳凰網はこのほど、国際決済銀行(BIS)の統計を引用し、中国の企業および個人の債務残高が国内総生産(GDP)の2倍以上に達し、バブル崩壊後の日本の水準に近づきつつあると伝えた。

 記事は、世界金融危機の発生後に中国政府が打ち出した4兆元(約69兆2500億円)規模の景気刺激策によって、中国では設備投資や不動産投資が急増したと伝えつつ、金融機関の不良債権も急激に増加していると指摘。2015年末時点における金融機関の不良債権額は1兆2744億元(約22兆600億円)に達したが、13年末が5900億元(約10兆2200億円)、14年末が8400億元(約14兆5400億円)だったことを考慮すると、わずか2年間で2倍の規模にまで膨れ上がったことが分かる。

 続けて、中国経済の減速の影響により、業績の落ち込みが深刻な鉄鋼業界およびセメント業界に対する融資を回収することは困難を極めると主張。中国政府も赤字を垂れ流す「ゾンビ企業」の整理に向けた計画を打ち出しているとしながらも、銀行融資を制限すれば企業の投資が減少し、中国経済のさらなる下振れにつながる可能性もあると指摘した。

 また記事は、2月に開催されたG20の財務相会議においても、中国の債務問題が取り上げられ、「中国のみならず、世界全体のリスクであるとの認識が高まってきている」と主張。また、金融機関を除いた中国の民間の債務残高は15年9月末時点で21兆5000億元に達し、GDP比で205%に達したと紹介、「日本はバブル末期の1989年9月末に200%を超えたが、中国の債務残高が当時の日本に迫ってきている」と論じた。

 続けて、15年3月末時点における中国の不良債権比率は、日本の大手金融機関の不良債権比率である1.2%より「わずかに高い程度」であるとしながらも、中国の場合は経営者や監督当局の判断によって不良債権か否かが簡単に左右されてしまうと指摘し、中国の金融機関が抱える実際の不良債権の規模は「公表されている数字より悪い」というのが多くの見方であると論じた。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)