平行線が斜めに見える目の錯覚「カフェウォール錯視」を体感しよう!※追記あり
2017年08月17日 ι コメント(27) ι 知る ι サブカル・アート ι #
下の図の水平(横)のバーは曲がったり、斜めになっているように見えないだろうか?だが、ペンや定規などを当ててチェックしてみてほしい。
バーは実際にはまっすぐで、すべて平行だ。
これは「カフェウォール錯視」と呼ばれるもので、ターゲットパターン(ダーツの的のような同心円状の模様)や、列、色がさまざまに合わさると、脳が錯覚を起こして、バーが斜めになっているように勘違いするのだ。
カフェウォール錯視
この錯視を作ったのは、アメリカ・ジョージア州ロズウェル出身のプロのマジシャンでイリュージョンアーティストのヴィクトリア・スカイ氏(58)である。
スカイによると、これは「カフェウォール錯視」に基づいた作品で、来年のベスト・イリュージョン・コンテストに出品する予定だという。
この錯視のポイントは、それぞれのバーが交差するところの四隅にある白黒のダイヤ柄である。このバーを直立して見ると、ダイヤが交互になった四角が見えるだろう。
これが錯覚を引き起こしているのだ。長年、数えきれないくらい多くの錯視を見てきて、自分独自の作品を作り上げたというスカイ氏。
スカイ氏の作品は、カフェ・ウォール錯視がベースとなっている。
イギリス、ブリストルにあるカフェの壁に見られるレンガ模様からヒントを得て、リチャード・グレゴリーが作って有名になったオリジナルのカフェウォール錯視と、同じ基調効果を使って数多くのさまざまな錯視アートを手掛けてきた北岡明佳氏の作品をミックスさせたそうだ。
Martin S Taylor @martinstaylor
Terrific optical illusion by Victoria Skye. @RichardWiseman@chriscfrench
「わたしは、『Champions of Illusion』という本を共同執筆している、錯視神経科学者のステファン・マックニックとスサナ・マルティネス=コンデに錯視効果についての協力をあおいだ。この種類の錯視は、"歪んだコード"と呼ばれるもので、スコットランド人医師のジェームズ・フレーザーが、この形で最初の原型を作ったことをおしえてくれた」とスカイ氏。
ジェームズ・フレーザーによるビクトリアスカイのカフェウォール錯視
目の錯覚が起きる理由
目の錯覚が起きる理由は、白黒の縁がまっすぐに伸びた縁に沿って反対方向に交わっていることに関係があり、脳がだまされて線が傾いていると思ってしまうせいだ。
このイメージ全体をぼんやりさせると、錯視効果は消えてしまう。その理由は、ぼんやりすると小さな白黒の交差がはっきり分離して見えないため、脳がこれ以上だまされないのだ
もともとのカフェウォール錯視は、白黒の四角の並びによって作られている。
カフェウォール錯視の古典的なバージョン
それぞれの四角(レンガ)はグレイのライン(モルタル)で囲まれていて、このグレイのラインはふたつの色の間のわずかな隙間にあるのが理想だ。
それぞれ連続する四角の幅がずれて半分ほどが重なりあったときに、水平のはずのグレイのラインが斜めになっているように見える。
このグレイのラインを取り除いてしまうと、錯覚はなくなる。それぞれのラインが斜めに走っているように見えるのは、脳のニューロンが互いに交じり合って情報交換しているからだ。
それぞれ違うタイプのニューロンが、暗い色や明るい色に反応している。白と黒の四角の置き方によって、目の網膜にグレイのラインが場所によって明るかったり、暗かったりして映るのだ。
スカイ氏の作品『年齢、あなたの頭の中のすべて』は、2014年のベストイリュージョンコンテストでトップ10に入った。
2014 Best Illusion of the Year Contest Top 10, "Age it's all in your head"
ごく普通の人の顔写真を後ろや前に傾かせて、反対側(上や下)が見えなくなる消失点をつくる。傾けることで、頭の形や顔の造作が歪み、実際の年齢よりも年取って見えたり、若く見えたりする。この写真は、スカイの父親だという。
年齢、あなたの頭の中のすべて
錯視は、ブリストル大学の神経心理学者リチャード・グレゴリーと、西イングランド大学の実験認知心理学者のプリシラ・ハードによって初めて報告された。
1979年、グレゴリーのラボのメンバーが、ブリストルのセント・マイケルズヒルのふもとにあるカフェの壁の模様が本当は平行なのに斜めに歪んでいるように見える、錯視効果を発見した。
カフェの壁は、黒と白のタイルが交互にずれて並んでいて、タイルの間にはグレーのモルタルのラインがはっきり入っていた。この発見は、1979年の雑誌『Perception』に発表された。
ブリストルのカフェのレンガ
この現象は、ミュンスターベルグ錯視と言われることもある。1897年にハグ・ミュンスターベルグによって報告されていて、彼はこれは"変化するチェッカーボード図形"と呼んだ。この錯視効果は、グラフィックデザイン、建築、芸術などに応用されている。
※追記(2017/08/21)
海外記事をベースに記事を作成したが、錯視専門家の北岡明佳教授の説明によると、これは「カフェウォール錯視」ではなく「縁飾りエッジの錯視」によるものらしい。
縁飾りエッジの錯視とは、水平のエッジが左に傾いて見えるもので、濃い灰色と薄い灰色の市松模様の交点に、黒と白の星型を交互に配置することで得られる幾何学的錯視である。
via:Your Eyes are Playing Tricks on You, All of the Horizontal Blue Lines are Straight ≪TwistedSifter/ translated by konohazuku / edited by parumo
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