SF作品に登場した架空の宇宙服16をワーストからベストの順に評価
2017年08月25日 ι コメント(62) ι 知る ι サブカル・アート ι #
宇宙服はクールだ。テクノロジーを駆使した近未来的なデザインが我々を魅了する。作家や映画監督が宇宙服好きなのも当然だろう。
だが、彼らが劇中に登場させる宇宙服のすべてが実用的なわけではない。架空の世界だからしょうがないのかもりえないが、意味不明な代物もたくさんある。
海外サイトで、実用性皆無のものからかなり良い線いってる素晴らしいものの順(ワーストからベストの順)で、SFの世界に登場する宇宙服を評価していたので見ていくことにしよう。主観的な評価なので楽しみながら見ていこう。
16. スタートレックシリーズ
最新作の『スタートレック:ディスカバリー』の宇宙服は格好はよくても、現実的なものには見えず、防御力と推進力ばかり強調しているように思える。『宇宙大作戦』のそれはキラキラ光っている! カラフルな備品が装着されており、着用者は真正面しか見えないし、バイザーはどういうわけか頭上に伸びている。
幸いにも『エンタープライズ』ではかなりまともなものが登場した。
15. 月世界征服(1950年)
こちらも宇宙時代が到来する以前に作られた作品。しかし宇宙旅行をリアリスティックに描いた最初の作品の1つでもある。
可動式の関節、取り外し可能なヘルメット、生命維持装置など、基本的な要素はすべて備わっている。また視聴者が装着者を区別できるように色分けするといった工夫もある。NASAはアポロミッションの後でこのことに気づき、司令官のスーツには縞模様が入れられるようになったそうだ。
14. スターゲイト ユニバース(2009年~2011年)
本作品の宇宙服は現実的なものから奇妙なものまで様々だ。が、最新シリーズのそれは間違いなく後者だろう。彼らが装着するスーツはプロテクター満載で動くのも大変そうだ。またいろいろ凹凸があるので、周囲の物に引っかかってしまわないか気になる。
大昔に消えた進化した人類が設計したものであるという設定なので、多分登場人物は本当の使い方をよくわかってないのかもしれない。
13. ファイヤーフライ 宇宙大戦争(2002年)
序盤のシーンでレイノルズ船長が古い戦闘用ヘルメットのようなパーツを寄せ集めたツギハギだらけのスーツで宇宙空間を漂っている姿にびっくりした人も多いだろう。
同シリーズに登場する多くのアイテムと同じく、この宇宙服は積載物の強奪、外部の修理、宇宙遊泳など、あらゆる活動に使用可能であるようだ。テーマ的にはこれでいいのかもしれないが、こうした作業はどれもかなり専門性が高い。長期的な安全性や機能性を考えるなら、寄せ集め品の宇宙服は何があってもお勧めできない。
12. ギャラクティカ(2004年~2009年)
宇宙へ飛び立つという稀有な状況において、大抵のパイロットは戦闘あるいはパトロールの任務に向かう途中であり、一般的な宇宙服というよりは、高高度で脱出した際に生存を確保するパイロットスーツのようなものを着ている。
そうしたスーツは地表における生存を確保することができる。その大きなヘルメットは優れた視認性があり、また圧力にも耐えられる。だがSF的美観は忘れられていないため、動きづらそうで、また生命維持装置もきちんと備わっていないようだ。
11. ミッション・トゥ・マーズ(2000年)
この宇宙服は、地表でも宇宙空間でも着用可能で、ヘルメットの視界はかなり限られているように見える。だが評価できる点もある。
デザインが本物の宇宙服に似せられていることで、バックパック、チェストコントロール、可動式の関節、色による識別など、現実的なディテールを有している。
10. インターステラー(2014年)
本作品では過去の映画の宇宙服に回帰しており、色による識別など、実用的かつ現実的だ。地上の探索か、宇宙船エンデュランス操縦時の着用が主な用途であるようだ。
が、腕の推進器のように長時間の使用には不向きに思える機能もある。とは言え、劇中の他のデザインが素晴らしいことを考えれば、少々つまらない感じではある。
9. アルマゲドン(1998年)
マイケル・ベイ監督は作品用サンプルの宇宙服を見てがっかりしたらしく、「アディダスのジョギングスーツみたいだった。スーツが格好良くなければ、映画は大失敗する」と語っている。
実のところ、本作品ではかなり現実的な宇宙服も採用している。だが小惑星の上でクルーが着ているスーツは、架空の”次世代”デザインである。かなり複雑で、低重力下の地表で動き回るためのスラスターが付いている。
奇しくも、同じ年に『ディープ・インパクト』という隕石の衝突を食い止めようとする宇宙飛行士の活躍を描く映画が公開された。こちらの宇宙服は現実のものに近い。
8. アウトランド(1981年)
ショーン・コネリー主演の過小評価されることが多い本作には、役者の顔が見やすいようライトが取り付けられた大きなヘルメットを備えた、象徴的な宇宙服が登場する。
きわめてベーシックなデザインで、色による識別と生命維持装置のほか、何かに引っ掛かれとでも言いたいかのようなチューブが数本伸びている。かなり頑丈そうで、使い勝手は良さそうだが、ヘルメット内のライトの反射して気が散るかもしれない。
7. 月に囚われた男(2009年)
サム・ベルは非常に素晴らしい宇宙服を着ている。NASAの宇宙飛行士からインスピレーションを得たもので、『エイリアン』をはじめとする古典SF映画の影響も受けている。月面探索用に設計されたもので、シンプルゆえに着心地は良さそうだ。
ヘルメットは簡単に外れそうで、たくさんライトが付いている。が、これは見栄えの良さだけのために付けられたのではない。視認性の高さも評価したい。
6. 2001年宇宙の旅(1968年)
この作品ほど象徴的な宇宙服を探すことは難しい。劇中ではティコ・クレーターの探索やディスカバリー1号の異常を探すシーンなど、様々な状況で見ることができる。
1960年代のフューチャリズムが満載であるが、同時に細かい部分まで正しく作られている。コントロールパネルや生命維持装置を備え、ヘルメットを着用している限りきちんと機能してくれそうだ。制作にあたっては、着用時の呼吸音までこだわったそうだ。
5. エイリアンシリーズ
本シリーズにはいくつものクールな宇宙服が登場する。例えば、ノストロモ号のクルー達は、地表での船外活動で宇宙服を着用しているが、これは過酷な環境で使用されることが念頭に置かれているようだ。
一方でシャトルの中にも船外活動用スーツが収納されている。『エイリアン:コヴェナント』での宇宙服も軽船外活動と地上作業専用の設計である。
また重労働向けのハードスーツも登場する。だがおかしな点もある。『プロメテウス』の体にぴったりとしたスーツは美しいが、予期せぬ作業で使用するには機能的に思えないのだ。少なくともエイリアンの酸を防ぐには心もとないだろう。
4. エクスパンス ―巨獣めざめる―(2015年)
人類が太陽系で暮らし、生活するという現実的な未来を描いた本作品では、各種の宇宙服が登場する。
着用者の多くは、宇宙船や宇宙ステーションで働くブルーカラーだ。実用性がきちんと考慮されており、やたらと大きかったり、重そうだったりはしない。
ヘルメットは安全性や視界がきちんと確保されており、また様々な用途に応じてパーツの交換が可能である。ファイヤーフライのスーツのようにつなぎ合わされたような見た目だが、耐久性は高そうだ。軍隊が使用するプロテクター付きのハイテクスーツもある。
3. ゼロ・グラビティ(2013年)
本作品の宇宙服は、このリストの中では最も本物に忠実だろう。むろん使用している機材も実在のものを参考にしている。が、多少の自由も行使している。
ストーン博士はいともたやすく宇宙服を着脱するし、冷却服も着ていない。現実にはこれを着込むのは結構複雑な作業だ。だが、その見た目はハリウッドの大予算を裏切ることがない、リアルなものだ。
2. サンシャイン 2057(2007年)
映画に登場する宇宙服はときおりきわめて用途が限定されて設計されたものが登場する。それが本作品の宇宙服だ。
宇宙服は金色で、多目的を念頭に置いていないことは明らかだ。それが使用されるのは太陽を目指すイカロス号においてであり、これを着込んだ宇宙飛行士は苛烈な日光が届く船外でも活動できる。そのモデルとなったのは侍の鎧と深海用ダイビングスーツだとか。
1. オデッセイ(2016年)
未来における火星ミッションを描いた作品で、登場する宇宙服は劇中最も重要な環境であろう。火星に到達したマーク・ワトニーはこれをずっと着続けることになる。
この宇宙服はアポロミッションの宇宙飛行士が着用したものとはかなり異なっている。しかし火星ミッションに必要になるであろうリアリズムはきちんと考慮されている。
ヘルメットは可能な限り視界が確保され、いくつもの重要な情報が表示される。また原作によれば、それは個人個人に合わせたテーラーメイドである。また多目的なものでもない。地上でのミッションを念頭に置いたものであるが、NASAの現役スーツによく似た船外活動用の宇宙服も登場する。
via:18 space suits from science fiction, from worst to best - The Verge/ translated by hiroching / edited by parumo
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