中国壊滅は確定路線!? 南シナ海をめぐる米中軍事衝突→第三…
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事実、2015年5月のアメリカ国防総省による“暴露”以降、事態はとんとん拍子で進んでいる。早くも翌6月には、G7サミットで「中国が力による現状変更」を行っているとして、ロシアによるクリミア占領のケースと同列に置かれ、非難声明が採択された。
一方の中国の反発も凄まじい。7月、南シナ海で100隻以上の軍艦を動員して中国海軍史上、最大規模の軍事演習を行った。そして9月、首都北京で「抗日戦争勝利70周年軍事パレード」を敢行する。この際、米空母や米本土を直接攻撃できる最新のミサイル戦力が誇示された。同じ頃、中国軍は5隻の艦隊をアラスカ沖に送った。しかも、その出没海域は、かつて旧日本軍が侵攻した米本土であるアッツ島とキスカ島の近辺。さらにタイミングも、オバマ大統領のアラスカ訪問に合わせるという念の入れようだ。これは「中国はアメリカに屈しない」という政治的なメッセージだと思われる。
この挑発に対して、10月にアメリカは原子力空母「ロナルド・レーガン」を横須賀基地に派遣。南シナ海の人工島の領海内(12カイリ=約22km内)で“巡視活動”を行う「航行の自由作戦」を開始した。ただ、日本の安保関連法案が通った直後に、3・11後の「トモダチ作戦」に参加したロナルド・レーガンがやって来るというのも、なんだか話が出来すぎている気がするのは筆者だけか。仮に同空母が攻撃されれば、日本人もエモーショナルになり、進んで米軍に協力してくれるだろう、という算段だったのだろうか。
むろん、中国も猛反発している。人民日報系の「環球時報」は、米海軍が中国の“領海”内を航行した場合は、「挑発の程度に応じて必ず報復する」と啖呵をきった。実際、中国軍は「ロナルド・レーガン」に対して巡航ミサイルによる模擬攻撃を試験したという。
そして11月、アメリカは核兵器を搭載可能なB52戦略爆撃機を2機、人工島付近で飛ばす示威行動に出た。その後も繰り返し軍艦を派遣し続け、今年3月にはB2ステルス爆撃機を太平洋方面に配備し、原子力空母「ステニス」を旗艦とする空母打撃群を同海域へと送り込んだ。対する中国もまた、人工島の軍事基地化を加速し、地対空ミサイルを設置するなど、対決の構えを強める一方だ。2016年内には軍事基地を完成させる計画という。
■アメリカの狙いは先制攻撃を誘うことか?
このように、両者の対立がどんどんエスカレートしている現状にある。ただし、ご存じのように世界の目から見た「善悪」は極めてはっきりしている。アメリカ側は「わが国は武力による現状変更を認めず、あくまで公海における航行の自由と国際秩序を守る」という大義名分を掲げている。実際、「航行の自由作戦」というのは、いかにもアメリカ人が好きそうな正義然としたネーミングだ。対して中国は、南シナ海の全域を「自国の領海」と強弁し、「わが国の主権であり、人工島建設は合法」という声明を繰り返している。中国が喚けば喚くほど「強欲な悪者」との印象が広まっていく。
つまり、誰が見ても「正義がアメリカで、悪が中国」という構図なのだ。これが怪しいのである。なにしろ、アメリカの“正義”ほど胡散臭いものはない。
現状、大義名分と世界最強の軍事力を有するアメリカは、遠慮なく中国の人工島に異常接近を繰り返すことができる。イージス艦、潜水艦、空母「ロナルド・レーガン」や「ステニス」、B52爆撃機……と、次から次へと送りたい放題である。これはまるで、「さあ、攻撃してこい」と言わんばかりではないか。