【ガチ科学】「この宇宙は複雑な二次元世界、3D映画のような…【前半】 

 
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Daily Mail」の記事より

■ホログラフィック宇宙論の復権か

「私たちはまさか自分たちがホログラムの世界に生きてるとは思いません。しかしもし50年後の世界に行くことが出来たなら、物理の世界はきっと様変わりしているでしょう。今の我々の物理学が20世紀初頭のものとは大きく異なっているのと同様です」と研究チームのサウサンプトン大学、コスタス・スケンデリス教授は「Daily Mail」の取材に応えている。

 スケンデリス教授によれば、我々が目にしている世界は2次元の情報から構成された、いわば3D映画を観ているような世界であるという。映像が3Dであるのみならず、手触りも立体に感じられるように触覚情報も3Dに変換されているということだ。

 一般相対性理論をはじめとするアインシュタインの方程式は、おおむねこの世のすべてのことを説明できるといわれているが話を宇宙に広げると、その起源などの説明に徐々に綻びが出はじめてくるという。そして一方で現在の物理学ではもはや無視できない学説となった「量子論」の説得力が増してきている。

科学者たちはこの数十年、アインシュタイン理論と量子論の融合を熱心に試みてきました。そしてまさにこのホログラフィック宇宙論こそが、アインシュタイン理論と量子論を両立させるものになると一部では信じられています。私たちの研究がその目論みを前進させるものであることを望んでいます」(コスタス・スケンデリス教授)

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Daily Mail」の記事より

 視覚情報的には3D映画をはじめ、昨今はVRやARなど、現実を変容させかねないテクノロジーがもたらされていて、ひょっとしたらこの世の現実がバーチャルリアリティーであると明かされてもあまり驚かないところまできているのかもしれない。しかし手触りや肌に触れた感触などがバーチャルリアリティであるとは、今のところにわかには信じられないだろう。だがそれもホログラフィック宇宙論の前では信じざるを得ないことになる。そしてもし、宇宙と世界の本質が体積のない2次元だとすれば、物理的な距離や一方通行の時間についての認識もおそらく改めなくてはならない。ホログラフィック宇宙論が今後のどのような展開を見せるのか楽しいような怖いような……。
 

参考:「Daily Mail」ほか