英語版ウィキペディア
英語版ウィキペディアのロゴ
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URL
http://en.wikipedia.org/
タイプ オンライン百科事典
分野 限定なし
使用言語 英語
項目数 5,326,982記事 (2017年1月11日19時18分現在)
閲覧 無料
登録 一般的に不要。
一部の記事編集、投票、新記事立稿、記事の移動などでは必要。
著作権 場合に応じてフェアユーズが認められる。(引用文、各種ロゴ画像、各種表紙画像、音楽作品のサンプル等)
運営元 ウィキメディア財団
営利性 非営利
設立 2001年1月15日
設立者 ジミー・ウェールズ
ラリー・サンガー
現代表 マイケル・スノウ(2008年7月より)
執筆者 不特定多数の匿名の執筆者
編集委員 なし
査読制度 なし
現状 記事数増加中

英語版ウィキペディア(えいごばんウィキペディア、English Wikipedia)は、英語によって執筆・編集されているウィキペディアである。2001年1月15日に設立された最初のウィキペディアであり、現在に至るまで様々な言語のウィキペディアの中で最大規模を誇る。

2008年10月1日時点では、存在する全言語のウィキペディアの記事のうち、約22%強が英語版である。2003年10月までは、この割合は過半数を占めていたが、他言語版の記事数の増加により、その割合は徐々に低下している。

2006年3月1日午後11時9分(協定世界時)に総記事数が100万件を突破し、日本ではITMediaでも取り上げられた。当時は毎日約1700項目の新着記事があった。2009年8月17日に300万項目を達成した。300万件目の記事はノルウェーの女優Beate Eriksen(ベアーテ・エリクセン)の記事である。2015年11月3日には記事数が500万を突破した。英語版の記事数は他の言語版に比して常に圧倒的な量を保持してきた。これについては、そもそもの母語話者人口の多さのみならず、編集者が世界中から集まったうえで情報を持ち寄るという、事実上の国際共通語ならではの強みも加勢している。更には、ある程度以上の経験を積んだ参加者らが「メジャー昇格」というような形であらゆる言語版から集まってくるという現象も伝統的に知られており、これも強みの一つである。

Wikipedia 1.0により、記事に対しての格付けが行われている。

2010年5月13日、ユーザビリティ調査を基にユーザインタフェースを更新した[5]

 

目次

1論争
2特徴
3信頼性
4脚注
5関連項目
6外部リンク

論争

英語版ウィキペディアには、アメリカ英語(米語)、イギリス英語国際英語など、どの方言の英語で記述するのが適切かという課題がある。特には綴りの違いの問題である。これはポルトガル語版におけるポルトガル語ブラジルポルトガル語の問題、あるいは中国語版における各種方言の使用についてのそれと類似している。

これについては、1つの英語にまとめる、英語版ウィキペディアを各方言で分割するなどの提案が出されもした。事実上の方針となっているのは地域的な記事はその地域に適切な英語を使用するというものである。例として、「色」を表す「カラー(Color)」という単語は、イギリス関係の記事内においてはイギリス式の綴りを尊重し「Colour」と記すことが推奨されている。他の記事は英語の種類が記事の中で一貫している限りは、あらゆる種類の英語を認めている。

「英語版ウィキペディアとブリタニカ百科事典の精度は同じくらい」と報じた英ネイチャー誌に対して、ブリタニカが撤回を求めるなどの動きも見られる。 英語版では、2国間以上にまたがるデリケートな問題、例えば紛争戦争領土問題に関わる項目(ナゴルノ・カラバフトランシルヴァニアなど、現在でも帰属関係が係争中の領土)に関しては、互いの国の立場のユーザ同士でしばしば壮絶な編集合戦が巻き起こったあげく、結局保護扱い記事にされる例も少なくない。

これは、地球上で事実上の共通語として、また英語が多くの国で使われていることにも起因する。母国語が英語の国が5カ国以上存在するのも原因のひとつである。内容が英語で記述されているということは、それだけで引用元としてさまざまな方面からリンクしやすいということに繋がるからでもある。そのため、ユーザの所属する国と政府の主張に合致する方向での内容の書き換えが起こりやすいという問題を孕んでいる。

特徴

母数となる閲覧者、編集者が多いため一般的項目は充実しているものの、サブカルチャーへの関心も極めて高い。アメリカのポータルサイトCompete.comの実施した調査によれば、2007年4月に英語版で検索された言葉100語を分析したところ、25%が日本のアニメ関連のキーワードであり、セックス関係16%、ポップカルチャー関連16%、音楽関連10%であった。この調査は英語社会全体では余り浸透していないアニメ関連への関心がネットを使うことに慣れたユーザーの間では高い傾向にあることや、英語版でもアニメや芸能関係の関心が高いことを示した[8]。2009年にページビューの多かった上位20個の記事の大半がサブカルチャー・生活関連の記事であった。

中華人民共和国では共産党による一党独裁支配を維持するため、言論検閲をネット上でも実施しており、英語版への接続は不可能な時期があったが、2006年11月に接続が可能となり、ジミー・ウェールズも歓迎した。なお天安門事件のような政治的な項目については引き続き閲覧不能の状態であった。

信頼性

日経BP社の『PConline』によれば、英語版の科学関連の記述の信頼性は高く、ニッチ分野の研究者が自分から積極的に投稿を図ることが多かったからだと言う。更に、2009年7月、ウィキメディア財団はアメリカ国立衛生研究所と協力して、健康関連の記事の充実を図る方針を表明した。

その一方で、英語版でも記事の信頼性に疑問が投げかけられてきた。一例として、毎日新聞が発行する『WaiWai』にて出鱈目と偏見に繋がる内容の記事を配信して問題となった際には、その記事を出典としてToilets in Japanに「女性はウォシュレットによって、性的に刺激されているかもしれない」などの投稿がなされた。

ジミー・ウェールズは2007年に来日した際、情報通信政策フォーラム主催のシンポジウムに参加した。このとき、人物の記事を記事に書かれた人自身が編集する問題に関し、日本語版で大量削除を実施して話題となった西和彦と議論した。この中でウェールズは英語版でもある女優が自身の記事に書かれた経歴を匿名編集で削除した件を例示している。また、池田信夫はこのシンポジウムにて、英語版の従軍慰安婦問題の記述に問題がある旨を指摘したが、ウェールズは「歴史上の複雑な出来事も、公平な目で見、反対意見に対してもフェアでないといけない。友好的なアプローチを取っていきたい」と応えたという。

また、英語版では2000年代半ばよりアカウントを取得しないユーザーによる新規記事の立項は禁止となっており、2009年1月には人物関連記事の編集に際して承認制を導入する方針であると日本語の報道でも報じられた。この時点では財団は公式コメントを出していなかった。承認システムの概要としては投稿した編集は一旦保留扱いされ、貢献度の高い編集者が承認権限を与えられるという内容である。 2009年8月のスラッシュドットジャパンの報道はドイツ語版での実施例を挙げており、当時は7500人のユーザーに権限が与えられており、英語版では記事数の比率よりその3倍以上のユーザーに権限を付与する必要があると報じられている。

編集者が減少する動きは日本語版でも見られたが、英語版にもあり、『ウォール・ストリート・ジャーナル』は2009年11月、スペインの研究者Felipe Ortegaの話を引用し、2009年第一四半期に4万9000人以上の編集者が英語版から去ったことを報じている。

脚注