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7/21日経新聞記事より抜粋

「ソフトバンクG」の子会社、英半導体設計「アーム・ホールディングス」の「サイモン・シガースCEO」は、同社の回路設計を使う半導体の「出荷数」が

「次の4年間で累計1000億個と急激に増える」

との見通しを示した。

1990年の設立以来、同社の回路設計を使う半導体の「出荷数」はこれまでの

「累計で約1000億個」

だったが、今後4年間だけで同数の出荷規模となる。

シガース氏は「次の波はIoT」と語り、あらゆるモノがネットにつながる「IoTの普及」で今後も「搭載機器が爆発的に増える」と自信を見せた。成長の軸足を「スマホ向け半導体」から「IoT向け」に移す考えを示した。

「IoTの普及」に伴い急増する「サーバー向け」は、米半導体大手「クアルコム」や中国の「華為技術(ファーウェイ)」と共同開発を進めていることも明らかにした。

「ソフトバンク」が3兆3000億円強で「アーム」を買収すると表明して約1年。技術者中心に採用を増やし、従業員数を15年末の「4000人弱から5000人規模」に増やした。IoT向けでは「ソフトウエア開発の人員を増やしている」という。

ソフトバンク傘下となり「非上場企業」になったことで、シガース氏は「投資の自由度が高まった」と話す。

「上場時」は短期的な視点で投資を迫られていたといい、「将来的に強い技術を確立するために幅広い分野の研究開発に投資できる」と評価。

アームは、
IoT向けではデータを生み出す「端末用マイコン」、
情報を伝達する「通信用半導体」、
ビッグデータを解析する「サーバー用CPU」
の3分野の半導体を手掛ける。

足元では米インテルがほぼ独占する「サーバー向け」で攻勢をかける。IoT時代にはビッグデータを集めて演算処理するサーバーの需要が急増するからだ。

ソフトバンクの「孫正義」会長兼社長もIoT事業で「アームは中核」と言明。

半導体の電力消費量の抑制と効率的に半導体を使いこなすソフトウエアの開発力を強みに「90%以上のシェア」を持つ「スマホ向け」と同様、「IoT向け」でも「デファクトスタンダード(事実上の標準)」を握る考えだ。

ただ、広範な分野の機器を扱う「IoT向け」では、半導体メーカーや半導体設計会社などと再び競争にさらされる。

シガース氏は「次世代のデバイス開発は非常に複雑で十分な開発環境が必要。費用も巨額となるため我々に強みがある」と自信を見せる。


通信が柱のソフトバンクにとって「アーム」は「直接のシナジー(相乗)効果がない」(孫氏)。それでも3兆3000億円もの巨費を投じたのは、将来への「布石」の意義が大きい。孫氏は「囲碁で言えば50手先の一手」と話していた。

ただ、今後は徐々に成果が表れそうだ。孫氏はサウジアラビアと組んで「10兆円規模の投資ファンド」を発足させた。投資先には、IoTのプレーヤーとなる人工知能(AI)やロボット関連のベンチャーが名を連ねる。

「アーム」にとっては「課題を話し合うことで(将来の製品が)ロードマップ化する」(シガース氏)効果が見込める。ソフトバンクの投資先と連携する機会が生まれそうだ。