広汎性発達障害 Ⅱ【中核】分類 小児自閉症 非定型自閉症 … 

 
 

原因

抗うつ薬、特にSSRIを妊娠中に使用することは、母体のうつ病を考慮しても、子供が自閉症スペクトラムになるリスクを増大させる[11]

バルプロ酸ナトリウムを妊娠中に使用することは、母体のてんかんを考慮しても、子孫が自閉症や自閉症スペクトラムになるリスクを増加させる[12][13][14][15][16][17]

ニキビ治療薬イソトレチノインを子宮内で曝露した子供の 30-60% が神経認知障害を有することが報告されている[18]

2012年の東京大学大学院の研究では、自閉症スペクトラム者に特徴的な幼少期の一過性の脳体積増加がニューロン以外のグリア細胞などの組織増加であることが間接的に示された。脳体積が正常化する成人期にかけては定型発達者と変わらないレベルになることも示された。幼少期にグリア細胞の一過性増加を引き起こす炎症の様な反応が自閉症の原因に関わることを支持している[19]

社会的状況

PDDに対する誤解

PDDは前述のように、先天的もしくは幼少期に生じる障害である[20]。しかし、家庭での子育てが原因であるかのような議論も存在する。2012年には、超党派の議員連盟である親学推進議員連盟が開いた勉強会で、発達障害児の育児環境について「子供への声掛けが少ないため」とした上で、発達障害は「予防可能」などの記載を行っていたことが明らかになっている[21]

刑事裁判における問題

姉を殺害したとして殺人罪で起訴された、発達障害の一つであるアスペルガー症候群を持った男性被告について、2012年7月30日大阪地裁の判決は、被告にはアスペルガー症候群が見られ、その影響下で起こされた事件であることは認めつつも、母親ら親族が被告との同居を断っており、出所しても社会に受け皿がないとして、「再犯の恐れがあり、許される限り内省を長期にわたり深めさせることが社会秩序のためになる」として、殺人罪の有期刑の上限であり求刑よりも重い懲役20年とした[22]
この判決に対し、「共生社会を創る愛の基金」は、「アスペルガー症候群についての認識に重大な誤りがあり、発達障害者の矯正に結びつかない」、「『危険な障害者は閉じ込めておけ』との思想に基づいた判決で、隔離の論理に基づいている」などと批判した[23]。この事件の法廷は裁判員裁判であり、発達障害(者)への差別・無理解・偏見といった「市民感覚」によって裁判の結果が左右され得る点についての疑義が呈された[24]

医療現場での問題

精神科医の島田能考によると広汎性発達障害の患者を診ることが増えると、発達障害を専門にしている医師だというデマ情報が流れ、ますますその系統の患者が増えてしまう悪循環が生まれる問題がある[25]。これは発達障害を専門とする研究者や臨床医師が少ないためである。

PDDとトラウマ

PDDとトラウマアダルトチルドレンには密接な関係がある。虐待・いきすぎたしつけなどによって生じるトラウマは、発達障害の「増悪因子」となり、発達障害を重篤化させる[26][27]

脚注