広汎性発達障害
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この項目では、ICD-10の定義による分類について説明しています。DSM-5の定義による分類については「自閉スペクトラム症」をご覧ください。 |
広汎性発達障害 Pervasive developmental disorder |
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分類および外部参照情報 | |
診療科・ 学術分野 |
精神医学, 小児科学 |
ICD-10 | F84 |
ICD-9-CM | 299 |
DiseasesDB | 33524 |
eMedicine | ped/1780 |
MeSH | D002659 |
広汎性発達障害(こうはんせいはったつしょうがい、英: pervasive developmental disorders, PDD)とは、特異的発達障害(英語版)との対義であり、世界保健機関(WHO)が定めた現在のICD-10(疾病及び関連保健問題の国際統計分類第10版)、さらにかつてアメリカ精神医学会が刊行したDSM-IV-TR(精神疾患の分類と診断の手引 第4版新訂版)などにおける分類上の概念として取り扱われている。[1]。
PDDは、社会性の獲得やコミュニケーション能力の獲得といった人間の基本的な機能の発達遅滞を特徴とする、5つの精神と行動の障害のグループである。PDDには以下5つの疾患が含まれる[1][2]。うち、1-3番目は自閉スペクトラムと呼ばれ一般的である。4-5番目は稀であり、自閉スペクトラムに分類されることもあるが、そうでないこともある[3][4]。
- 自閉性障害(自閉症、Autism)。
- アスペルガー症候群(AS, AD)
- レット症候群
- 小児期崩壊性障害 (CDD)
- 特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)。非定型自閉症を含み、47%と最も一般的[5]。
なお、その後のDSM-5ではPDDは自閉スペクトラム症に再編され、もはやPDDという概念は用いられていない[1]。そのためICD-10とDSM-5では、分類体系は一致していない[1]。
目次
概要
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広汎性発達障害には、知能指数が低い場合と高い場合の双方が見られる(後者は、知的障害がない、という意味で「高機能PDD」と称する)。知能指数が低い場合の方が、発見が比較的容易だったとされることから旧来より認知されてきており、知能指数の高い場合については、1980年以降からしばしば認知されるようになった。
かつてアメリカ精神医学会が刊行したDSM-IV-TR(精神疾患の分類と診断の手引 第4版新訂版)においては、広汎性発達障害に、自閉症、アスペルガー症候群、レット障害、小児期崩壊性障害、特定不能の広汎性発達障害(非定型自閉症を含む)が掲げられており、世界保健機関が定めたICD-10(疾病及び関連保健問題の国際統計分類 第10版)においては、DSM-IV-TRと診断分類および診断基準ともに、やや異なる[1]。
知能指数が知的障害の領域にない広汎性発達障害は、高機能広汎性発達障害(一般的には、略称の「高機能PDD」を用いるが、通常は高機能自閉症とアスペルガー症候群の2つの総称を指す)と呼ばれることもあり、発達障害に分類される。自閉症には、知的障害をともなう場合と、知的障害をともなわない場合である高機能自閉症があり、これらは、別個の障害ではなく一連の要素を含む先天性認知障害である。
WHOのICD-10においては、症状がいつ認められるかについて統一性がない。自閉症は遅くとも生後30ヶ月以内に症状が認められる症候群であるとされているが[6]、小児期崩壊性障害はそうではない。
広汎性発達障害、特異的発達障害は、双方ともに発達障害であるものの、発達障害の概念については整理のやり直しが行われており、「○○発達障害」という診断名でなくても、日本の公的機関における取り扱いにおいては発達障害に含められるものもある[7]。
広汎性発達障害に承認された治療薬はないが、漢方薬の処方例と改善例がある。[8][9]