ステルス性 Ⅲ【中半】兵器種によるステルスの差 形状制御技…

 
 

光学ステルス

詳細は「光学迷彩」および「遮蔽装置」を参照

可視領域の電磁波(光)での探知を困難にする技術(光学迷彩)は実用化されていないものの、研究は行われている。いわば「見えない兵器」を実現しようというもの。

電磁波である可視光をねじ曲げて、その途中に存在する物体を目に見えないようにする技術が考えられている。2006年10月20日付けのUSA Today紙はデューク大学のデービッド・スミスを中心とした研究グループ[2]が同様の理論でマイクロ波(可視光ではない)をねじ曲げる事に成功したと報じた[3](詳細な内容はアメリカの科学雑誌 Science に掲載された[4])。現在はまだ確立していない技術であるが、理論的には同じ方法で可視光をねじ曲げる事が可能で、実現可能であると主張されている。この技術によって目に見えない究極の戦闘機等を作成可能かもしれないが、問題は外から戦闘機が見えないのと同様に戦闘機からも外が見えなくなる事である。

他のアプローチとしては、カメラとディスプレイ装置を組み合わせる方法がある。カメラで撮影した映像を、カメラの後方に設置したディスプレイで表示する。原理的には、後方から見た場合に「何も無い」ように見えるように調整できるはずである。これを前後左右に設置すれば、四方から見ても何もないように見える事になる。問題は、見る角度がずれてしまえば、風景を映しているディスプレイがあると分かってしまうことである。光学迷彩を施したい物体の表面に、無数の超小型のカメラと表示デバイスを形成して解決するというアイデアもあるが、技術的・理論的に見て、実現の日は遠いと思われる。

そこまで完璧な光学迷彩を実現しなくとも、周囲の色彩やパターンに合わせた迷彩パターンを、リアルタイムに計算して表示する「アクティブ迷彩」のようなものでも、高い効果が期待できそうである。カメレオンの擬態のようなものだが、このようなものならば、近い将来に実現可能かも知れない。

また、人間の脳による視覚処理の裏をかいて、「脳が認識できない」「脳が混乱してしまう」パターン・映像を表示するというアイデアもあるが、そもそも、そういった現象があり得るのかはっきりしていない。

なお、光学的な迷彩は、技術的には非常に興味深い一方で、乗り物に使用した場合は、騒音が大きいと音で大体の位置が予測されてしまう為あまり意味が無いのではないか、野外において埃や泥が付着すれば簡単に無効化されてしまうのではないか、既存の迷彩塗装と比較して迷彩効果そのものが過剰であり、投じるコストに見合った損耗率の低下が得られるのか=費用対効果に優れるのか、等の疑問も存在している。

など、景色が透けて見えるほどの光学迷彩を積極的に必要とする理由が薄く、当分は、研究・実験レベルにとどまると思われる。

航空機の光学的ステルス

航空機のステルス技術の進歩がレーダー電波による探知性能を弱めており、人の目視による敵航空機の捜索が無視できなくなる。以下に航空機の目視捜索を困難にする技術について説明する。

ユーディの光

詳細は「ユーディの光」を参照

ユーディの光(Yehudi lights)またはイェフディの光と呼ばれる技術は機体の下部を照明によって照らし出す。地上や海上から空中の航空機を見た場合に背景となる空と同じ明るさにして、光学的なステルスを得るという方法。既に第二次世界大戦中のイギリス空軍のショート サンダーランド(Short Sunderland)のドイツ軍Uボートへの攻撃時に成功を収めていた。米軍のグラマン・アヴェンジャー(Grumman TBF Avenger)雷撃機では約1,000mに近づかないと発見されなかった。その後のレーダーの発達でこの技術は使用されなくなったが、近年の電波に対するステルス技術の発展によって、光学的ステルスとして再び関心が寄せられている。
飛行機雲
どれだけ高性能なステルス機も飛行機雲によって容易に発見される。B-2は飛行機雲抑制剤(Contrail-inhibiting chemical)のタンクを備えており、飛行機雲の発生を抑えるよう考慮されている。
塗装

詳細は「軍用機の塗装」を参照

カナダの低視認国籍マーク

低視認性を志向した塗装は、を背景としたとき低視認となるよう、わずかに青みがかった灰色が多いが、想定戦域によっては緑や褐色の迷彩(砂漠迷彩、森林迷彩など)もある。爆撃機の場合は、夜間作戦を想定した暗灰色が多い。鮮やかな色の国籍マーク第二次世界大戦後徐々に小さくなる傾向にあり、淡い色に変更されることもある。

対ステルス技術