メディアミックス Ⅱ【前半】メディアミックスの問
代表的なメディアミックス
漫画が原作
アニメ化・ドラマ化・ゲーム化・小説化など、漫画の原作から派生した作品は非常に数が多く、メディアも多岐にわたる。また漫画のアニメ化作品では、『魔法使いサリー』『ゲゲゲの鬼太郎』『風の谷のナウシカ』のように原作の知名度が低いが、アニメとしては大ヒットする作品も少なくない。従って、しばしば漫画原作である作品が、「アニメが原作」であるものと混同されがちである。
- 鉄腕アトム
- 同名の漫画を特撮ドラマ化、テレビアニメ化。アニメとしては、「日本で最初の1話30分の連続テレビアニメ」といわれることが多い。詳しくは該当項目を参照。
- サブマリン707
- プラモ化による展開が漫画の人気を後押ししたという、後年の『機動戦士ガンダム』に先駆けた成功例である。当時非常に高い人気を誇り、ソノシートでイメージソングも発売されたが、アニメ化自体は頓挫している。
- ルパン三世
- 何度もアニメ化・映画化され、現在も続編が製作されている。他にもゲーム化やノベライズなど多数。原作漫画は完全な大人向け漫画(とくに性的描写が多い)であり、アニメになったときも最初はハードな路線で製作されようとしていた。しかし、PTAなどから苦情が来たため、徐々に子供向けな内容が多くなりながら最初のアニメシリーズは23話で終了した。なお、その後は放送上問題ないよう、申し訳程度にお色気シーンが含まれている。
- 美少女戦士セーラームーン
- 同時期にアニメ化、アニメ映画化のほかミュージカル化もされ、更に後にはテレビドラマ化もされた。
- KAIKANフレーズ
- 漫画『快感♥フレーズ』をアニメ化、作中のロックバンド「Λucifer」が実際にデビューし話題になった。
- 釣りバカ日誌
- 同名の漫画を実写映画化、テレビアニメ化。
- 遊☆戯☆王
- 同名の漫画をテレビアニメ化。また、作中で登場したカードゲームを中心として、実際にカード化やゲーム化なども展開されると、再びアニメ化。特にトレーディングカードのヒットは国内だけでなく、海外でも展開された。これらは後継作品にも引き継がれている。
アニメが原作
漫画化・ゲーム化・映画化・ノベライズなど。アニメの場合、原作者が個人(自然人)名義でクレジットされることはほとんどなく、合同のペンネーム(擬人名称)または法人名義(アニメ制作会社など)でクレジットされることが多い。これは著作権登録の際、法人名義が認められず、個人名義でなければならない時期があった頃の名残として残されていることに起因する(例:サンライズの矢立肇・東映アニメーションの東堂いづみなど)。
漫画原作と比べ、他メディアでの展開の際には世界観やキャラクター設定のみを継承したパラレルワールド的な作品を展開することが多い。
宇宙戦艦ヤマト
再編集された映画版が人気を呼び社会現象となった。後に漫画・映画・ゲーム・ノベライズなど幅広い展開を見せた。
- 新世紀エヴァンゲリオン
- 同名の漫画がアニメ放送よりも先に連載されているが、こちらは放送に先行して連載開始したコミカライズであり、アニメが原作である。漫画の他にも映画化、ゲーム化など。本作はメディアミックスモデルの可能性を娯楽ビジネス業界内に最も印象付け、普及・完成を促したともいえる代表的な成功例だが、昨今では、それと同時にその経済効果を副次的創作物によって受容・刺激せんとする試験的戦略が採られている作品でもあるといえる。(新世紀エヴァンゲリオン 鋼鉄のガールフレンド2nd (漫画)、新世紀エヴァンゲリオン 碇シンジ育成計画 (漫画)など)
- また、前述通り娯楽作品業界における製作委員会方式を完成させた作品でもある。
- 天地無用! シリーズ
- OVA『天地無用! 魎皇鬼』を基にテレビアニメ化、ノベライズなど多数。スピンオフ作品も存在。
- プリキュアシリーズ
ゲームが原作
映画化・アニメ化・漫画化・ノベライズなど、特に近年ではハリウッドで映画化される展開が多い(バイオハザードシリーズ、トゥームレイダーなど)。
- スーパーマリオブラザーズ
- アニメ映画『スーパーマリオブラザーズ ピーチ姫救出大作戦!』として1986年7月20日に公開された(後述のテレビアニメ『Bugってハニー』の放送開始より2か月半ほど先)。設定等は原作からアレンジされている。同日には『RUNNING BOY スター・ソルジャーの秘密』も公開されているが、こちらは「ゲームソフト『スターソルジャー』を開発する人々の話」になっている。
- ドラゴンクエストシリーズ
- アニメ『ドラゴンクエスト』、漫画『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』の他、ドラマCD、小説など多数。4コマ漫画などによるアンソロジーコミックスの発売なども1990年頃から行っている。また制作社(エニックス→現スクウェア・エニックス)で出版部門を持っていることもあり、多くの作品が自社展開していることが多い。
- ポケットモンスター
- アニメを始めとして、漫画、アニメ映画、トレーディングカードゲーム、ラジオドラマなどさまざまな商品展開がなされている。公式ライセンス商品は3500アイテム。また、主要都市にグッズ専門店を展開しているのも特長である。海外を含めた世界市場での定着と、兆単位にもおよぶ他に類を見ない巨大市場の形成と理想的な成長例(2011年現在は3.5兆円市場)から、経済情報誌などではキャラクターフランチャイズの成功例として上げられることが多い。
- バイオハザードシリーズ
映画版バイオハザードが世界中で大ヒット。監督・脚本のポール・W・S・アンダーソンと主演のミラ・ジョヴォヴィッチは共に原作の大ファンであり、自ら望んで本作に携わったとされる。現在、4作目まで作られている。また、ゲームを原作とした小説版も出版されている。
SIREN
映画版『サイレン 〜FORBIDDEN SIREN〜』が、堤幸彦監督により2006年2月11日東宝洋画系公開。また、ゲーム・映画のアナザーワールドとして漫画版『サイレン 〜ETERNAL SIREN〜』がある。
トゥームレイダー
アンジェリーナ・ジョリー主演で映画化されている。 - サクラ大戦シリーズ
- 小説、TVアニメ、OVA、アニメ映画、ドラマCD、漫画、歌謡ショウなど。
- ときめきメモリアルシリーズ
- ライトノベル、OVA、ドラマCD、実写での映画化、更にゲーム本編とは別に投票で人気の高かったキャラクターをヒロインにした「ドラマシリーズ」と銘打たれたサイドストーリーもゲームとして出ている。また、キャラクターが実際に歌手デビューし、話題となった。特に藤崎詩織の人気が高かった。
- 逆転裁判
- 漫画、小説、テレビドラマ、映画、アニメ化され、宝塚歌劇団などで舞台化もされた。
ライトノベル(小説)が原作
漫画化・アニメ化・ドラマ化・ゲーム化・映画化など。特に1990年代以降メディアミックス展開の中心核となり、アニメ業界と強力なコネクションを築いた角川ホールディングス系列の各出版社のレーベルから刊行されているジュブナイル・ライトノベルの作品については、人気が出れば即アニメ化・漫画化という形で直結する傾向が強い。
また、脚本家兼小説家であるあかほりさとるや、様々なジャンルの作品で原作を手掛けるマルチクリエイターの広井王子に代表される様な、ライトノベル・テレビアニメ・テレビゲームなど複数の業界に多岐にわたるコネクションを持つ人物が、小説形式で原作を担う場合、当初からライトノベルのシリーズの企画と各種メディアミックスの企画が平行して進められてゆくこともある。
- 機動戦士ガンダムシリーズ
- 女子小中高生を中心に人気が広まり、再放送とプラモ化で大ブームを引き起こした。現在も制作され続けている。漫画化やゲーム化も盛んである。
- 時をかける少女
- 1972年のNHKの少年ドラマシリーズの『タイム・トラベラー』を皮切りに1983年と1997年の映画版、1985年および1994年、2002年のテレビドラマ版、2006年のアニメ映画版と世代を超えて製作され、日本のメディアミックスの元祖のように取り上げられることも多い。
- 乙一作品群
- 『GOTH』『ZOO』『きみにしか聞こえない』など映画、漫画化だけにとらわれず、舞台化などのメディア展開もある。
- セイバーマリオネット、爆れつハンター、MAZE爆熱時空
- あかほりさとるによる三作同時展開のメディアミックス企画。直近のスレイヤーズを始め、従来は「売れた作品」「評価された作品」に対して、二巻目以降などからメディアミックスが追随する展開であったが、本作では最初から意図的に三作同時のマルチメディア展開を行い、相乗での宣伝効果を得ることを目的としていた。
- また、当時はメディアミックスのいわゆる旗振り役が存在せず、あかほりさとる個人が関係各所との関係を繋ぐ形で旗振りをしていたとの事。総体としての収支管理もされていなかった。
- ハリー・ポッターシリーズ
『ハリー・ポッターと賢者の石』『ハリー・ポッターと秘密の部屋』『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』の5作が映画化されている。ゲーム作品も多く発売されている。
映画が原作
漫画化・ノベライズ・ゲーム化など。
- スター・ウォーズシリーズ
- 映画関係者以外の者によって作られた小説が、多く出版された。非公式の設定であるため、原作である映画とストーリーが矛盾する物も多数存在する。また、『エピソードII』と『エピソードIII』の間の話となるアニメ『スター・ウォーズ クローン大戦』という作品がある。こちらのストーリーは公式設定である。ゲームソフトも発売されており、外部委託作品の他、権利と世界観を厳守するために公式にルーカススタジオで制作されたものも多い。
- 七人の侍
- ハリウッドが同作品をリメイクし西部劇をモチーフとした『荒野の七人』がある。
- 2004年に映画公開50周年を記念して『SAMURAI 7』としてアニメ化された。更にアニメ版は小説化もされた。ゴマブックスより刊行。全7巻。
- ウォーターボーイズ
- 劇場版の大ヒットしてから、テレビドラマ化されシリーズ化された。
玩具がモチーフ、もしくは設定を流用
同時進行で展開されたケースも含む。
絵本が原作
- それいけ!アンパンマン
- 原作のタイトルは、「アンパンマン」で、1988年にテレビアニメ化されたのを皮切りにアニメ映画やゲームにもなる。国内で最も多種の展開がされているキャラクターの一つ。
ラジオドラマが原作
- 火星物語
- 1994年 - 2000年にかけて放送されたラジオドラマ。1998年に、漫画・ゲーム・小説と他媒体に進出している。
雑誌の連載が原作
- 電撃G's magazine連載の企画
- 誌上で行う読者参加企画から派生してメディアミックス作品を展開することが多い。著名なものとしては2010年から当誌で企画として連載されたものをベースに漫画・小説・テレビアニメ・映画・ゲームなど多数の媒体に進出したラブライブ!など。
プロジェクトが原作
- けものフレンズ
- 2015年にゲーム配信が最初にスタートし、その後漫画・テレビアニメと他媒体に進出しているが、あくまでゲーム・漫画・テレビアニメは同時に並行して企画が進められたため、ゲームが原作ではなくプロジェクトそのものが原作となっている。