超心理学 Ⅳ ヤギ・羊効果 実験者効果 自発的想像傾向 仮… 

 

研究者となっている人物、および進路としての超心理学

人物

超心理学研究にあえて足を踏み入れていった科学者たちは、一体どういう人物だったのかというと、別に奇人変人というわけでもなく、疑似科学者だったというわけでもない。例えば、ピーター・フィリップスは見識ある物理学者であったし、テイラーは現代物理学に関する多くの啓蒙書を著したことでよく知られており、ロンドンのキングス・カレッジに講座ももっている。ロバート・ジャン (Robert G. Jahn)[42]は、プリンストン大学の工学部で教授を務めている人物である[43]

これらの人物をはじめとする科学者らにとって、超常現象というものは、対象として扱い始めた時は、現代科学で用いられている実験方法をもってすれば、どうにか解決可能な問題だと見えるものなのだ、ということには留意しておく必要がある[44]。そう見えたにもかかわらず、成果らしい成果を出すには至らなかった[45]とも言われているのである。

 

進路として

大部分の科学者は、超常現象に関する研究は、(研究者として)実りが無いと見なしている。ただし、すでに終身在職制度で自身の地位が守られている場合は、テーマに人気があろうがなかろうが、自由に研究課題が選べる[46]

しかし、将来の教授のポジションや終身在職権を狙っている学者が、超常現象の研究を行うことでそれを得るというようなことは非常に困難である[47][48]。明治大学の石川幹人は、超心理学の周辺の学問(心理学等々)の学位を取得しその分野の研究者の職を得た上で超心理学の研究を行うことをひとつの方法として勧めた。

 

超心理学者のリスト

:en:Category:Parapsychologists」も参照

参考文献

  • 石川幹人『超心理学―封印された超常現象の科学』紀伊國屋書店、2012。ISBN 4314010983 ISBN 978-4-314-01098-6
  • 羽仁礼『超常現象大事典』成甲書房、2001。ISBN 4880861154
  • マイケル・W. フリードランダー『きわどい科学―ウソとマコトの境域を探る』白揚社、1997。ISBN 4826900767

脚注

  1.  もっとも、「心と物の相互作用」を研究するのは超心理学に限られない。例えば、「梅干」のイメージを思い浮かべると(心の変化)、当人の口の中に唾液が出る(具体的な物体が物理的に変化する)という現象やプラセボ効果などは、生物学や医学でも研究されている。
  2.  注. フロイト、ユングらは、心理学を語る上で欠かせない人物らであるが、現在ではこれらの研究を、現代的な意味では心理学と認めない心理学者も多い。
出典
  1.  「超心理学とは、未だに物理的には説明がつかない、心と物、あるいは心同士の相互作用を科学的な方法で探究する研究分野です。」(日本超心理学会HPでの定義文。 2009年1月-2014年9月 確認)
  2.  超心理学の定義は、「既知の自然の法則では説明できない現象を研究する学問」(出典:リン・ピクネット『超常現象の事典』青土社、1994年、ISBN 4-7917-5307-0 p.486)
  3.  羽仁礼『超常現象大事典』成甲書房、2001年、ISBN 4-88086-115-4、p.36
  4. ^  『超常現象大事典』p.36
  5.  羽仁礼『超常現象大事典』
  6.  リン・ピクネット『超常現象の事典』
  7. ^  『超常現象の事典』p.486 (Dessoirと書いて、フランス式読み方で「デソワール」)
  8.  英語式の発音では「パラサイコロジー」。
  9.  『超常現象大事典』p.57
  10.  『超常現象大事典』p.57
  11.  『超常現象大事典』p.57
  12.  『きわどい科学』p.228
  13. ^  『超常現象の事典』p.487
  14. ^ マイケル・フリードランダー『きわどい科学』白揚社 p.231
  15. ^ 『超常現象大事典』p.53
  16. ^ 『超常現象大事典』p.53
  17. ^ 『超常現象の事典』p.488(元は1990年の原著の情報)
  18. ^  『超常現象の事典』p.488
  19. ^ 『超常現象の事典』p.488
  20. ^ 同書p.488
  21. ^ ロバート・モリスと3人の同僚は、関連分野におけるさまざまな方法や展開に関する論評をまとめた400ページの分厚い1冊の穏健な教科書を著した。Foundations of Parapsychology (London : Routledge and Kegan Paul, 1986)
  22. ^ マイケル・フリードランダー『きわどい科学』白揚社 p.226
  23. ^  『きわどい科学』白揚社 p.227
  24. ^ 関連項目:対照実験
  25. ^ 「超心理学における7つの誤解」
  26. ^ 『きわどい科学』白揚社 p.232
  27. ^ 『きわどい科学』白揚社 p.236
  28. ^ 『きわどい科学』白揚社 pp.237–238
  29. ^ 『きわどい科学』白揚社 p.238
  30. ^ Nature 245 (1973)
  31. ^ 『きわどい科学』白揚社 p.232
  32. ^ しかし、そもそも「ゲラーの立ち振る舞いはまったく監視されておらず、程度はともかく、ゲラーに課される試験の準備はゲラー本人の自由にゆだねられていた」という意見もある『「超科学」をきる』化学同人p.125
  33. ^ 『きわどい科学』白揚社 p.232
  34. ^ 『きわどい科学』白揚社 p.241
  35. ^ 『きわどい科学』白揚社 p.242
  36. ^ 小久保秀之、笠原敏夫 2006「特異現象に関する1990年代の日本の研究」
  37. ^ 石川幹人『超心理学 封印された超常現象の科学』紀伊国屋書店
  38. a b c d 石川幹人『超心理学 封印された超常現象の科学』紀伊国屋書店
  39. ^ 羽仁礼 『超常現象大事典』第2章。成甲書房、2001年。ISBN 978-4880861159。
  40. a b c 『懐疑論者の事典』 下 p.61
  41. ^ 関連項目:科学における不正行為
  42. ^ 著書『実在の境界領域―物質界における意識の役割 』技術出版 1991年 ISBN 4-906255-07-8
  43. ^ 『きわどい科学』白揚社 p.237
  44. ^ 『きわどい科学』白揚社 p.239
  45. ^ 『きわどい科学』白揚社 p.239
  46. ^ 『きわどい科学』白揚社 p.239
  47. ^ 大学で終身在職権を得るために必要なことは、どれだけしっかりした結果が出せたかということだからである。
  48. ^ 『きわどい科学』白揚社 p.240

関連項目

関連文献