技術的特異点(2045年問題から転送)Ⅳ 2045人
進化の6つのエポック
レイ・カーツワイルは、宇宙における情報の進化の一部として収穫加速の法則を述べている。
レイ・カーツワイルは、宇宙における情報の進化は6つの段階を経ると述べた。ここで、技術的特異点はエポック5と同義である。
進化は間接的に作用する。ある能力が生み出され、その能力を用いて次の段階へと発展する。
- エポック1 物理と化学
- 原子構造の情報
- エポック2 生物
- DNAの情報
- エポック3 脳
- ニューラル・パターンの情報
- エポック4 テクノロジー
- ハードウェアとソフトウェアの設計情報
- エポック5 テクノロジーと人間の知能の融合
- 生命のあり方(人間の知能も含む)が、人間の築いたテクノロジー(指数関数的に進化する)の基盤に統合される
- エポック6 宇宙が覚醒する
- 宇宙の物質とエネルギーのパターンに、知能プロセスが充満する
時期の予測
ヴィンジは、1993年のエッセイにおいて技術的特異点の到来を2005年から2030年の間の時期であると予想した。齊藤元章は2030年よりも前に技術的特異点が訪れる可能性があるとしている。カーツワイルは、コンピューターの知性が人間を超える時期を2020年代と予想している。
・人間の知能を模倣するために必要なハードウェアが、スーパーコンピューターでは10年以内に、パーソナル・コンピュータ程度のサイズの装置ではその次の10年以内に得られる。2020年代半ばまでに、人間の知能をモデル化した有効なソフトウェアが開発される。
・ハードとソフトの両方が人間の知能を完全に模倣できるようになれば、2020年代の終わりまでには、コンピューターがチューリングテストに合格できるようになり、コンピュータの知能が生物としての人間の知能と区別がつかなくなるまでになる。 ポスト・ヒューマン誕生 P.40、レイ・カーツワイル著、2005年
またカーツワイルは、2030年代の始めには、コンピュータの計算能力は現存している全ての人間の生物的な知能の容量と同等に達し、2045年には、1000ドルのコンピューターの演算能力がおよそ10ペタFLOPSの人間の脳の100億倍にもなり、技術的特異点に至る知能の土台が十分に生まれているだろうと予測しており、この時期に人間の能力と社会が根底から覆り変容すると予想している[7]。このカーツワイルの予測時期を取って、技術的特異点は2045年問題とも呼ばれている[15]。
特異点が発生することを予測する他の論者も、21世紀半ばから22世紀半ばにかけて起こると予測していることが多い[16]。しかし、ゴードン・ベルのように技術的特異点の概念自体は認めながらも、実現時期は遠い将来であると考える識者も存在する。