天下り(あまくだり)官僚腐敗官官官民民民談合汚職収賄横領着…
天下りの問題
単に退職者が所管団体や関連企業等に再就職する点に問題はないが、以下のようなことが問題として指摘されている。
- 官民の癒着、利権の温床化
- 人材の仲介・斡旋について、中央省庁の権限の恣意的な使用
- 公社・公団の退職・再就職者に対する退職金の重複支払い
- 実質的な終身雇用による官僚の成長意欲の低下、及び責任転嫁体質の定着
- 幹部になりづらくなることによる生抜き職員のモチベーションの低下
- 役職の水増しに伴う産業全体の生産性低下と生抜き職員に対する待遇へのしわ寄せ
- 天下りポストを確保することが目的になり、そのことによる税金の無駄遣いの拡大
- 公益法人の場合、認可の見返りの天下りによって、公益性を損なう[2]
経済学者の野口旭、××秀臣は「『天下り』の経済学的本質は、『賄賂』と同じである」と指摘している
一方で民間企業の側からも、官庁の人脈作りや情報収集、退職した官僚の持つ技術や見識など、人材を迎え入れるニーズがあることも指摘されている(後述)。
隠れ天下り
2009年11月17日、厚生労働省所管などの独立行政法人が中央官庁の天下りOBを嘱託職員として高給で雇用していた事実が発覚。マスコミはこれを「隠れ天下り」と表現した。役員雇用でないので、情報公開義務などの天下り規制には引っかからないとしていたが、「天下り隠し」との批判が相次いだ。総務省が公表した、年収1000万円以上の嘱託職員の調査結果によると、厚生労働省関連4独法で計8人と最も多かった。肩書きは「参事」や「参与」などがついていた。
嘱託以外にも天下りの抜け道は様々あると指摘されており、将来の天下りが確定している「出向」や、「非常勤」と言う名の雇用があるとし、今回の隠れに対して規制を掛けても後からまた違う手口が出てくることは必至とされた。
総務省が同年12月25日に公表したデータに、全独立行政法人98中、5省所管の12法人で、年収1000万円以上の嘱託採用OBが24人存在することが同年12月26日の日刊ゲンダイで報道され、さらに「対象者のプライバシー」を理由に伏せられていた氏名も日刊ゲンダイの取材・調査により判明した。肩書きは「有期技術員」や「審議役」、「特別顧問」などがあった[6]。
渡り
天下りの一種であるが、一旦天下った官僚OBが助成金や業務委託などで深いつながりのある民間会社や公益法人各社各団体を渡り歩くこと。再就職と退職の度に退職金が発生する。例として産経新聞2009年2月4日付け記事で報じられた農水省OBは、6団体を渡り、3億2000万円を手に入れたという[7]。
天下りの実態と対応
2004年8月31日の閣議決定によれば、中央省庁の斡旋や仲介で民間企業に再就職した国家公務員は2003年までの5年間で3,027人にのぼっている。省庁別では、国土交通省の911人をトップに法務省629人、総務省313人、文部科学省261人、財務省251人、農林水産省245人、警察庁127人、防衛庁85人、会計検査院64人、経済産業省46人、人事院29人、公正取引委員会23人、厚生労働省19人、宮内庁17人、内閣府3人、外務省2人、内閣官房・金融庁0人であった。
2004年12月27日、政府は、2003年8月から一年間に退職した中央省庁の課長・企画官以上の国家公務員1268人のうち552人が独立法人・特殊法人・認可法人・公益法人に再就職したと発表した。天下りの温床と批判されることの多いこれらの団体に再就職した比率は43.5%にのぼっていることになる。
天下り構造の解消は国家財政の再建と公正な行政の実現の要になると、国民の関心も高い。天下りを根絶するのに最も単純な方法の一つは、公務員の再就職を一律に禁止することであるが、単純に再就職を禁止することは個人の就業の自由および職業選択の自由を不当に制限し、憲法に違反するもので問題があるという点と、民間企業・特殊法人等からも「官庁を退職した優秀な人材を雇用したい」「官庁に対する必要な情報を得たり、人脈を作りたい」などのニーズがあるので実施は難しい。そのため、特殊法人改革や再就職禁止規定の厳格化、ひいては公務員制度全般の改革など各種政策が検討・実施しているが、名目を変えながら実質的に天下りは存続しているとも指摘されており、また独立行政法人から民間企業へ役員ポストを渡した上で、民間企業へ省庁退職者を受け入れさせるという「天下り隠し」も指摘されている[8]。
また、2009年8月の衆議院議員選挙で、天下りの廃止を唱える民主党が過半数を取り、民主党が政権交代を勝ち取ったが、これを前にして各省庁で駆け込み的に多数の天下りが行われている。9月には、厚労省所管の独立行政法人が天下り先に対して、同省OBの年収額や、その報酬を事業委託費から支払うよう指示していたことが明らかとなった[9]。
2009年に民主党政権は官僚OBの独立行政法人への再就職について9月末に原則禁止を決定した。その一方で、2009年10月に民主党政権は元大蔵次官斎藤次郎を日本郵政社長にする内定人事や2009年11月に人事官に元厚生労働次官の江利川毅を起用したことなどが、「天下り原則禁止に反する」と批判された。民主党政権は「府省庁が退職後の職員を企業、団体などに再就職させること」が天下りであると定義をし、「我々の場合は政治家である大臣による選任であり、天下りに該当しない」と述べ、「元次官の起用が天下りではない」と主張した。しかし、大臣の斡旋は府省庁の斡旋になるので政府見解では法律論は成り立たないという批判や、天下った官僚OBが他の官僚OBを呼び寄せた場合は天下りに該当しないことになるのかという疑問、そして福田康夫元首相が元官僚3人を労働保険審査会や運輸審議会と公害健康被害補償不服審査会の各委員3人に選任した際、2007年11月14日に国会同意人事で天下りを理由に民主党など当時の野党が反対して不同意としたことについて「整合性がない」と指摘された。
2011年7月22日、総務省は国家公務員の天下りとして同一の中央省庁出身の元幹部を独立行政法人、特殊法人、認可法人、特別民間法人および国所管の公益法人が3代連続した役員として受け入れているのは2010年4月1日時点で1285法人、受け入れ人数は1594人と発表した[12][13]。2009年の公益法人などの5代連続した受け入れは338法人であった[13]。
2012年7月31日の総務省の発表によれば、国家公務員出身の常勤理事がいる504の公益法人に国は2010年度計3347億円支出したが、これら法人の事業の契約の約6割は一者応札・一者応募となっている。
- 再就職の制限
国家公務員法では、退職者が、退職以前5年間の地位に関係する民間会社へ再就職することを退職後2年間禁止している。この再就職制限は公務員として知りえた機密情報漏洩を防止するための規定である。そのため、人事院により退職者の再就職が機密漏洩につながらないと判断された場合は、退職後2年経過していなくても、再就職をすることができる。また承認が得られなくても、退職後2年経過したら当時知りえた情報に価値がなくなるとみなされるため、民間企業に再就職できる。
この国家公務員法は2007年6月に成立した改正国家公務員法で、退職後2年間は原則として職務に関わる営利企業に再就職することを禁じた現行の規制を廃止する代わりに、再就職後に出身省庁に対して口利きをすることに対し刑事罰を設けた。
日本たばこ産業関係