電磁波過敏症

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電磁波過敏症(でんじはかびんしょう、: electromagnetic hypersensitivity [EHS] )または電磁場に起因する特発性環境不耐症(でんじばにきいんするとくはつせいかんきょうふたいしょう、: idiopathic environmental intolerance attributed to electromagnetic fields [IEI-EMF] )とは、「ある程度の電磁波(=電磁場)に曝露すると、身体にさまざまな不調が現れる」とする疾病概念、心気症の一つであるとされ、健康を害する電磁場に曝されてる(という観念)事によって引き起こされると称されている症状、疾病を記述する用語である。「特発性」(idiopathic)とは原因不明であることを意味する。現状、明確に疾病概念は定まっていない。

テトラサイクリン系抗生物質などの薬剤に光線過敏という副作用があり、少なくとも薬剤使用中に電磁波(可視光または紫外線など)に対し過敏になることは医学的に広く認められている[1]。紫外線は可視光ではない。

 

目次

  

 

概要

電磁場を発生させる高圧線

アメリカ合衆国医学者であるウィリアム・レイ (William J Rea) [2]によって「Electrical Hypersensitivity(電気過敏症)」と命名された。電磁波および電磁場の健康への悪影響については否定的な見方があるが[3][4][5][6]、現在でも様々な疫学的研究が行われている[7][8]

マラリア予防薬としてよく使用されているドキシサイクリンは、紫外線(可視光ではない電磁波)によるものと考えられる日焼けが有意に増加することが分かっている。

詳細は「ドキシサイクリン」、「ミノサイクリン」、「テトラサイクリン」、および「テトラサイクリン系」を参照

現在までに行われてきた誘発試験の結果の多く[要出典]が示すところによれば、自称電磁波過敏症患者は本物の電磁場にさらされることと偽物の電磁場にさらされることとを区別することができない。そのため医学ないしは科学コミュニティーは電磁波過敏症のことを病状とは認めていない。2005年の系統だった調査結果は、電磁波過敏症が電磁場によって引き起こされることを示す科学的で説得力のある証拠を何ら示さなかった。それ以来、二重盲検法による実験の結果がいくつか公表されてきた。それらの実験結果のどれもが示したところによると、自称電磁波過敏症患者は電磁場の存在を検出することができないのであり、本物の電磁場にさらされたあとと偽物の電磁場にさらされたあとのどちらにおいても同様に体調不良を訴えるのである。

疫学調査を参照

世界保健機関(WHO)は「電磁波過敏症」とされるものについてとりまとめた研究報告(ファクトシートNo.296日本語訳 )において、様々な症状の存在は真実とした上で、「医学的診断基準はなく、その症状が電磁界曝露と関連するような科学的根拠はない」としている。また、このファクトシートによれば、二重盲検により実施された研究から、症状が電磁界曝露と相関しないことが示された。これらの症状が、以前から存在する精神医学的症状、健康影響を恐れるストレス反応によるかもしれないことを示唆するデータもある。

電磁波には、波長の短い順にガンマ線エックス線(この2つは放射線)、紫外線可視光線赤外線電波がある。電波には波長の短いマイクロ波から、長い極超長波まであり、さらに細かく分類される。

詳細は「電波の周波数による分類」を参照

「電磁波過敏症」を主張する人々は主として、送電線や家電製品から発せられる商用電源周波数(50/60Hz)と携帯電話基地局塔(形式としてはアンテナのついた電柱同等)からのマイクロ波を症状の原因とみなしている。一方、同じ電波においても、携帯電話(マイクロ波)と送電線極超長波)との電磁波の間の波長や周波数の比は、7桁ものオーダーに達する。このため、性質も異なり、両者を同列に議論することはできない。両者の中間の周波数のものには、テレビラジオ電磁調理器RFIDがある。

マイクロ波には、電子レンジの能力に見られるように加熱作用があるが、電磁波過敏症と称される症状で議論になるのは、加熱によって生じる副次的な熱的効果ではなく、それ以外の非熱効果、すなわち「電磁波そのもの」が、健康に影響を与えるか否かという点である。

なお、放送局を始めとする各種無線局の周辺在住者、送信所で保守業務に従事する無線従事者達が、このような主張をした事はなく、単なる体感不安だけで、携帯電話の基地局アンテナのみを目の仇にしている傾向が、基地局反対運動には見受けられる。

2015年3月に、電車内でスマートフォンの電磁波で激痛を感じた男性が、スマートフォンを持っている男性に暴行を加え逮捕される事件が起きたが、和歌山地裁での判決は供述内容を「常識に照らすと理解不能」とし、精神鑑定の結果に基づいて、被告が統合失調症であったと認定して、心神喪失による無罪が下された[9]

症状