糖尿病
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糖尿病 | |
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![]() 世界糖尿病デーのシンボルマーク「ブルーサークル」[1] |
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分類および外部参照情報 | |
診療科・ 学術分野 |
diabetology[*] |
ICD-10 | E10–E14 |
ICD-9-CM | 250 |
MedlinePlus | 001214 |
eMedicine | med/546 emerg/134 |
Patient UK | 糖尿病 |
疾患 | DALY (100万) |
割合 (%) |
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1 | 下気道感染症 | 94.5 | 6.2% |
2 | 下痢性疾患 | 72.8 | 4.8% |
3 | 大うつ病 | 65.5 | 4.3% |
4 | 虚血性心疾患 | 62.6 | 4.1% |
5 | HIV / AIDS | 58.5 | 3.8% |
6 | 脳血管疾患 | 46.6 | 3.1% |
7 | 未熟児、低出生体重 | 44.3 | 2.9% |
8 | 出生時仮死出生外傷 | 41.7 | 2.7% |
9 | 交通事故 | 41.2 | 2.7% |
10 | 新生児の感染症など | 40.4 | 2.7% |
11 | 結核 | 34.2 | 2.2% |
12 | マラリア | 34.0 | 2.2% |
13 | COPD | 30.2 | 2.0% |
14 | 屈折異常 | 27.7 | 1.8% |
15 | 成人発症性の難聴 | 27.4 | 1.8% |
16 | 先天異常 | 25.3 | 1.7% |
17 | アルコール使用障害 | 23.7 | 1.6% |
18 | 他傷による怪我 | 21.7 | 1.4% |
19 | 糖尿病 | 19.7 | 1.3% |
20 | 自傷行為怪我 | 19.6 | 1.3% |
糖尿病(とうにょうびょう、ラテン語: diabetes mellitus、DM)は、血糖値やヘモグロビンA1c(HbA1c)値が一定の基準を超えている状態をさす疾患である。東洋医学では消渇と呼ばれる。なお、腎臓での再吸収障害のため尿糖の出る腎性糖尿は別の疾患である。
糖尿病は高血糖そのものによる症状を起こすこともあるほか、長期にわたると血中の高濃度のグルコースがそのアルデヒド基の反応性の高さのため血管内皮のタンパク質と結合する糖化反応を起こし、体中の微小血管が徐々に破壊されていき、糖尿病性神経障害・糖尿病性網膜症・糖尿病性腎症などに繋がる。
糖尿病患者の90%は2型であり、これは予防可能な病気である[3]。2型糖尿病の予防や軽減には、健康的な食事、適度な運動、適切な体重管理、禁煙が有効である[3]。
世界における有病率は9%であり3億4,700万人、世界のDALYの19位を占め(1.3%)、2012年は150万人が糖尿病により死亡した。糖尿病による死者の8割は中低所得国であり、さらにWHOは2030年には世界第7位の死因となると推定している[3]。
目次
概要
血液中のグルコース濃度(血糖値、血糖)は、様々なホルモン(インスリン、グルカゴン、コルチゾールなど)の働きによって常に一定範囲内に調節されている。いろいろな理由によってこの調節機構が破綻すると、血液中の糖分が異常に増加し、糖尿病になる。糖尿病は1型と2型があり、この調節機構の破綻の様式の違いを表している。1型糖尿病では膵臓のβ細胞が何らかの理由によって破壊されることで、血糖値を調節するホルモンの一つであるインスリンが枯渇してしまい、高血糖、糖尿病へと至る。一方2型糖尿病では、肥満などを原因として、膵臓のランゲルハンス島(膵島)にあるβ細胞からのインスリン分泌量が減少し、筋肉、脂肪組織へのグルコースの取り込み能が低下(インスリン抵抗性が増大)し、結果として血中のグルコースが肝臓や脂肪組織でグリコーゲンとして貯蔵されず、血中のグルコースが正常範囲を逸脱して高い血糖値(空腹時血糖≧126mg/dL、HbA1c≧6.5%、経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)で2時間値が200mg/dL以下など)となり、糖尿病となる(正常値:空腹時血糖60〜100mg/dL、HbA1c4.6〜6.2%、75gOGTTの2時間値が140mg/dL以下)。HbA1cは、1〜2か月前の血糖コントロール状態が反映される。その他にも、妊娠糖尿病があり、妊娠糖尿病は、妊娠後初めて糖尿病には至らない程度の耐糖能異常が生じたもので、児の過剰発育による周産期のリスクが高く、出産後に糖尿病を発症するリスクも高いため、厳格な血糖管理が行われる。また、妊娠前に糖尿病と診断されていた女性が妊娠したものを糖尿病合併妊娠という。
「糖尿病」の名称は、血糖が高まる結果、尿中に糖が排出されることに由来する。1型糖尿病の場合、放置すると容易に急激な高血糖と生命の危険も伴う意識障害を来す糖尿病性ケトアシドーシスが起こるため、インスリン注射などにより血糖値をコントロールすることが基本的な治療目標となる。一方2型糖尿病においては、治療せず長期に放置すると糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症などの糖尿病慢性期合併症の起こる頻度が多くなるため、生活習慣の是正、経口血糖降下薬やインスリン注射により血糖値をコントロールすることで合併症を防ぐことが治療目標である。糖尿病は心臓病や脳血管障害の発症の危険因子でもある[5]。長期的に落ち着いている1型糖尿病においては、やはり治療目標は2型と同様のものになる。妊娠糖尿病においては、妊婦の高血糖を原因として胎児奇形や妊産婦合併症の頻度が高くなる理由となるので、それを防ぐために血糖値を下げる治療をするのである。