諜報活動(Intelligence assessment)…

 

人間

人間を介した情報収集の方法。有識者から話を聞いたり、重要な情報に接触できる人間を協力者として獲得・運営し、そこから情報を入手する。英語では「ヒューミント」(HUMINT:Human intelligence)と呼ぶ。

各国の在外公館(大使館・総領事館など)には情報機関からの出向者などが駐在してヒューミントに従事している場合が多いが、彼らは赴任国で合法的なヒューミントを行うのが一般的である。合法的なヒューミントにとどまっている限りは犯罪ではないが、赴任国政府の防諜機関(日本の場合だと公安警察)は情報機関からの出向者を捜査対象としており、一線を超えた場合にはペルソナ・ノン・グラータが発動され、赴任国から退去を求められることになる。

画像

偵察衛星偵察機によって撮影された画像を継続的に分析する事で情報を得る手法。英語では「イミント」(IMINT:Imagery intelligence)、「イマジント」(IMAGINT)と呼ぶ。写真撮影による情報収集を「フォトミント」と呼ぶこともあるという。

電波、電子信号

通信や電子信号を傍受する事で情報を得る方法。英語では「シギント」(SIGINT:Signals intelligence)とも呼ばれる。旧日本軍では「特殊情報」と呼ばれた。

シギントの中には、電話や無線、インターネットなどの通信を傍受して 暗号解読(本文が分らなくとも交信(トラフィック)解析だけで手がかりになり得る)を行う「コミント」(COMINT:Communication intelligence)、レーダーなどから放射された信号を傍受する「エリント」(ELINT:Electronic intelligence)、水中に設置したセンサーソナーなどを使って潜水艦などが発する音を収集する「アシント」(ACINT:Acoustic intelligence)、テレメトリー、ビーコン信号等からの情報収集を行う「フィシント」(FISINT:Foreign instrumentation signals intelligence)などがある。

このほか通信傍受とは少し異なるが、郵便を検閲するのも一般的な情報収集手段である。

化学

赤外線や放射能、空気中の核物質といった科学的な変化をとらえる事で情報を収集する方法。英語で「マジント」(MASINT:Measurement and Signatures intelligence)と呼ばれる。核実験の探知など、主に軍事諜報に用いられる。 以下のような手段を用いる。

  • 「ラディント」(RADINT:Rader intelligence):レーダー信号の傍受を行う
  • 周波数情報(Frequency―):核爆発や、エンジンの周波数から得られる情報の収集
  • E-O情報(E-O―):紫外線、可視光線、赤外線から得られる情報の収集
  • 地球物理学情報(Geophysical―):地震、大気の振動、磁場の変化等から得られる情報の収集
  • ヌシント(NUCINT:Nuclear intelligence):放射線から得られる情報の収集(異常増加で原子力施設の事故や核実験などが探知出来る)
  • 物質情報(Materials―):化学物質の分析から得られる情報の収集

装備の研究

外国軍の装備を研究し、使われている技術や弱点などを見つけ出す手法。

英語では「テキント」(TECHINT:Technical intelligence)と呼ばれる。

他機関との協力

利害関係を同じくするインテリジェンス機関が相互に協力すること[4]。英語では「コリント」(COLLINT:Collective intelligence)と呼ばれる。友好国のあいだでは相互に「リエゾン」と呼ばれる連絡要員を派遣している場合があり、定期的に情報交換を行っている。

日本の情報機関と主に用いる手段

破壊活動防止法第四条には、有線通信または無線通信による破壊活動も規定されているところ、かつては通信傍受(コミント)も行われていたとの指摘もあるが、現在は情報収集のための直接の手法としては用いられていないとされる。[5]