振り替え案
「#行政コストの削減」を参照
無税国家論
松下幸之助の提唱した無税国家方式。現行の財政予算使いきり方式ではなく各年度「貯蓄」してゆき、その貯蓄運用により税を補填するとするもの。たとえば政府系ファンド方式はこれにあたる。マクロ経済の観点では他国(外部)利害を前提としており、国益論における貿易黒字政策にあたる。また外部を想定しない経済においては課税方式の「名づけ方」の差異であって、例えば議会が企業の株式を40%取得することと、同企業に対して純利益の40%に法人税を課することは純利益の分配の観点からは同値である。この場合、「税率が高い国(領域)が豊かである」との命題と同等の主張を含んでいる可能性がある。また基金の市中での運用が成功することを前提とした議論であり、公的年金基金や外国為替資金特別会計などの運用状況から課題が容易ではないことが推測される。
天然資源
鉄・銅・ボーキサイト・ウラン鉱・石油・石炭等の天然資源を売却し、収益を国民に分配する。(ジョージズム)
景気刺激策としての効果
ベーシックインカムの導入による景気刺激効果が期待できるという意見がある。
高所得層よりも低所得層の方が消費性向が高く、所得を消費に回す率が高いため国民経済全体としての消費需要が高まり、景気が活性化するとする。累進課税方式の場合は、所得の再分配機能から高所得層から低所得層への所得移転が起きるため、この効果はより大きくなる。売上税(消費税)を財源とする場合、各所得階層間の再分配機能はより緩やかになり、消費性向による刺激効果も限定的となる。このため所得制限つきベーシックインカム論や品目別売上税率の設定などが提案されている。前者については制限水準近傍での勤労者のモラルハザードが発生する可能性がある。
貨幣発行益が財源の場合、高所得層も低所得層も所得が増大するので、どちらの消費需要も高まるという意見がある。しかし日本のように高度に金融資本の発展した経済ではインフレ税(信用の裏づけの無い通貨による景気刺激策)そのものは荒唐無稽な思考実験に近い論述であり、一部の論者の経済学的思考実験にとどまっている。インフレ税採用の宣言により従来の発行済み国債の価値は経時的に低減してゆくことになるため、信用秩序に与える影響は予測できない。インフレ税導入論の背後には日本経済破局論や根拠のない略奪税(租税徴収確保主義)の主張が含まれている可能性がある。
ただし、類似の論調としては、政府短期証券を累次発行し為替介入を続け、円売り外債買いをつづけることで恒常的な通貨売り(インフレ)をもたらし、かつ外債運用益を財源にすべしとの案も提案されている(政府系ファンド論)。もっとも2009年現在での外貨準備運用はせいぜい年2.9兆円程度[29]であり、しかも受け取りは外貨建てであり財源として期待できる規模は限定的である。また恒常的な自国通貨売りは典型的な近隣窮乏化策であるため、IMFを始めとする従来の国際自由貿易体制に許容される可能性は低い(ないしは対象国から対抗介入され無効化される可能性がある)。
ケインズ経済学の知見では、技術進歩や資本蓄積によって、生産力が十分に高まった先進国の経済では、潜在的な供給量が常に過剰であり、需要不足ゆえの失業が常に生じる[17]。この場合、消費の呼び水となるベーシックインカムは雇用拡大の有力な手段に成りうる。