現行制度との兼合い

ベーシックインカムによる生活保護や公的扶助など福祉水準の低下
ベーシックインカムによって形式的に最低限の収入を保証された場合、それ以上の公的扶助を行うことは困難になる。必要に応じて更なる扶助も行えなくなることから、福祉水準の低下を危ぶむ見方もある。収入状況や保有資産の状況に関係なく平等に現金が給付されるため公的分配の平等性は確保されるが、制度設計によっては健康状態や困窮状態に関わらず給付が一律となるため社会的公正はかえって阻害される可能性がある。一方で行政コストは低下することが期待できるため全体での給付水準は上昇する可能性がある。
また、生活保護では級地制度など柔軟な対応が出来るが、原則一律に実施されるベーシックインカムではそれが不可能で地域によっては生活水準を下げてしまうという批判もある。
在日外国人特別永住者など日本国籍を持たない住民の取扱い
ベーシックインカムの給付対象について日本国民に限定しない場合、国庫収支が十分に計算できない状態で日本国内に移民が殺到し、国庫財政が破綻するという意見がある。
反対に、日本国民(日本国籍保有者)のみを対象とした場合、非対象者には納税義務だけが存在しベーシックインカムを受けられないことが問題になるという意見がある。これに対しては、それにも関わらず日本にきて就労する外国籍労働者がいるならば納得づくであり問題がないとの反論もある。他方、特別永住者にはこうした反論が成り立たず人道上の政治問題あるいは在日特権とみなされる逆差別的な優遇が生じるという見方も存在する。