熊本地震(2016年4月16日) | |
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![]() 熊本 熊本地震 (2016年) (日本) |
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本震 | |
発生日 | 2016年4月16日 |
発生時刻 | 気象庁発表 1時25分5.4秒(JST) 米国地質調査所発表 1時25分6.3秒(JST)[1] |
持続時間 | 約20秒[1][2] |
震央 | ![]() |
座標 | 気象庁発表![]() 米国地質調査所発表 ![]() |
震源の深さ | 12km |
規模 | 気象庁マグニチュード Mj7.3/モーメントマグニチュード Mw7.0[JMA 1] |
最大震度 | 震度7:熊本県熊本地方(益城町,西原村). |
津波 | なし |
地震の種類 | 右横ずれ断層[3] 大陸プレート内地震 |
余震 | |
回数 | Mj5.0以上かつ最大震度3以上の地震(注 1)が11回(注 2) 発生日 4月16 - 8月31日 震央 熊本県熊本地方/熊本県阿蘇地方/大分県中部 |
最大余震 | 1.発生日時 4月16日1時45分55.4秒 (JST) 震央 熊本県熊本地方 規模 Mj5.9/Mw5.8[JMA 1] 最大震度 震度6弱 2.発生日時 4月16日3時3分10.7秒 (JST) 震央 熊本県阿蘇地方 規模 Mj5.9/Mw5.6[JMA 1] 最大震度 震度5強 3.発生日時 4月16日3時55分53.0秒 (JST) 震央 熊本県阿蘇地方 規模 Mj5.8/Mw5.6[JMA 1] 最大震度 震度6強 |
被害 | |
死傷者数 | #被害・影響 を参照 |
被害総額 | #被害・影響 を参照 |
被害地域 | 熊本県と大分県を中心とする九州地方 |
注 1: 気象庁は、この地震に後続して発生した地震を必ずしも「余震」とは呼んでいない[JMA 2]。 |
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プロジェクト:地球科学、プロジェクト:災害 | |
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熊本地震(くまもとじしん)は、2016年(平成28年)4月14日21時26分(日本標準時[注釈 1])以降に熊本県と大分県で相次いで発生している地震である。
気象庁震度階級では最も大きい震度7を観測する地震が4月14日夜(前記時刻)および4月16日未明に発生したほか、最大震度が6強の地震が2回、6弱の地震が3回発生している[JMA 2]。日本国内の震度7の観測事例としては、4例目(九州地方では初)[4]および5例目[JMA 3]に当たり[注釈 2]、一連の地震活動において、現在の気象庁震度階級が制定されてから初めて震度7が2回観測された[5]。また、一連の地震回数(M3.5以上)は内陸型地震では1995年以降で最多となっている[6]。
目次
- 1概要
- 2前震
- 3本震
- 4余震域外での地震活動の活発化
- 5地震活動の推移
- 6地殻変動
- 7火山活動への影響
- 8被害・影響
- 9日本国内の対応
- 10国際社会の対応
- 11関連する犯罪・問題行為
- 12復旧・復興
- 13国際共同研究
- 14脚注
- 15関連項目
- 16外部リンク
概要
4月14日21時26分、熊本県熊本地方[注釈 3]を震央とする、震源の深さ11km、気象庁マグニチュード (Mj) 6.5、モーメントマグニチュード (Mw) 6.2[JMA 1]の地震(前震)が発生し、熊本県益城町で震度7を観測した[JMA 5]。
その28時間後の4月16日1時25分には、同じく熊本県熊本地方を震央とする震源の深さ12km、Mj7.3、Mw7.0[JMA 1]の地震(本震)が発生し、西原村と益城町で震度7を観測した[JMA 6]。Mj7.3 は1995年(平成7年)に発生した兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)と同規模の大地震である。 当初、14日に発生したMj6.5 の地震が本震で、その後に発生するものは余震であり地震の規模で上回るとは想定されていなかった。しかし16日未明に上記Mj7.3 の地震が発生したことを受けて、気象庁は同日、後者(16日未明)の地震が本震で、前者(14日)の地震は前震であったと考えられるとする見解を発表している[7][8]。過去に当初の発表から訂正され、本震と余震が入れ替わる事態は海溝型地震である2011年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)においても起こっているが、内陸型(活断層型)地震でマグニチュード6.5以上の地震の後にさらに大きな地震が発生するのは、地震の観測が日本において開始された1885年(明治18年)以降で初めてのケースであり、また一連の地震活動において震度7が2回観測されるのは、1996年に現在の気象庁震度階級が制定されて以来初めてのことであった[5][9]。一方で、静岡大学の吉田明夫客員教授は14日と16日の地震のメカニズムが異なるとし、「『前震−本震』ではなく独立した活動とみた方がいい」と指摘している[10]。
14日の地震は日奈久断層帯の北端部の活動、16日未明の地震は布田川断層帯の活動によるもので、隣接する二つの断層帯が連動することで発生した連動型地震とみられている[10][11]。東京大学地震研究所の纐纈一起教授は「活発な断層帯が隣り合う特別な条件下において一連の地震が発生した」と指摘している[5]。一方、名古屋大学の鈴木康弘教授も「別々の断層帯でなく、一続きの断層帯とみるべき」と主張しており、前震の割れ残りが動いたことで本震が発生したとしている[12]。
さらに16日の本震以降、熊本県熊本地方の北東側に位置する熊本県阿蘇地方から大分県西部にかけての地域と、大分県中部[注釈 3](別府-万年山断層帯周辺)地域においても地震が相次ぎ、熊本地方と合わせて3地域で活発な地震活動がみられた(詳細は後節)。熊本県熊本地方の大地震が離れた地域の地震活動を誘発した可能性(誘発地震)が考えられているが、このような例は気象庁の担当官も「(日本の)近代観測史上、聞いたことがない」としている[13]。これらの理由により、前震・本震・余震の区別が難しいとされ[10]、気象庁は「16日のものが本震とも言えるが、3種の区別をせずに見ていきたい」と説明している[5]。
各地震の震源分布
各地震の時間、規模、地域の分布
最大震度6弱以上が観測された7件の地震の主なデータは次の通り [JMA 3][JMA 1]。
- 発生日時 / 震央の区域 - 規模 Mj(Mw) / 最大震度
- 4月14日21時26分 / 熊本県熊本地方 - Mj6.5(Mw6.2) / 7
- 4月14日22時7分 / 熊本県熊本地方 - Mj5.8(Mw5.4) / 6弱
- 4月15日0時3分 / 熊本県熊本地方 - Mj6.4(Mw6.0) / 6強
- 4月16日1時25分 / 熊本県熊本地方 - Mj7.3(Mw7.0) / 7
- 4月16日1時45分 / 熊本県熊本地方 - Mj5.9(Mw5.8) / 6弱
- 4月16日3時55分 / 熊本県阿蘇地方 - Mj5.8(Mw5.6) / 6強
- 4月16日9時48分 / 熊本県熊本地方 - Mj5.4(Mw5.2) / 6弱
名称
気象庁は最初の4月14日21時26分の地震を「平成28年(2016年)熊本地震」(英語: The 2016 Kumamoto Earthquake)と命名し、4月15日に発表した[JMA 7]。4月16日には、さらに規模が大きい地震が発生し、同庁は4月17日、今後の状況を見た上で名称を再検討する意向を表明[14]。しかし4月18日に、気象庁地震津波監視課の青木元課長が記者会見で一連の地震について「熊本地震と引き続く地震活動と捉えている」との見解を示し、名称を変更しない考えを明らかにした[15]。4月21日に気象庁は、「平成28年(2016年)熊本地震」は「4月14日21時26分以降に発生した熊本県を中心とする一連の地震活動」を指すとする説明を発表した[JMA 8][16]。
報道においては、朝日、産経、毎日、読売の各全国紙の電子版で熊本県外への地震の影響に言及する記事(2016年5月1日以降)でも見出しなどで「熊本地震」という呼称を使用している例がある[17][18][19][20]。他方、大分県の地方紙である大分合同新聞の記事(4月22日付け朝刊以降)では、「熊本地震」のほか「熊本・大分地震」という呼称も使用している[21][22][23]。