学問や自然科学との関係
- 一神教を母体として生まれた自然科学
ヨーロッパ中世においては「神は二つの書物をお書きになった」、「神は、聖書という書物と、自然という書物をお書きになった」と考えられていた[33]。よって自然を解明することはそのような被造物を創造した神の意図を知ることになり神の偉大さを讃えることにもなると考えられた。ヨハネス・ケプラーやアイザック・ニュートンなど宗教的情熱、神の意図を知るために自然を知ろうとし、結果として自然科学の発達に大きく貢献した、ということは指摘されている。自然科学が発達した地域が、ほかでもなくイスラム世界やキリスト教世界であったのは、上述のような自然観と神への信仰が原動力となった、ということは指摘されている。それをリン・ホワイトは「近代的な西欧科学はキリスト教の母体のなかで鋳造された」と表現した(「宗教と科学#キリスト教と近代科学」も参照)。
実際ヨーロッパでは神の存在について研究する神学は長きにわたって学問上の基礎科目であり、オックスフォード大学もケンブリッジ大学も、ハーバード大学も元は神学校である。 現代でも、科学者のおよそ半数が神や超越的な力を信じている、ということがアンケート調査で明らかになっている(「科学者#科学者と信仰」も参照)。
- 「神の死」
ヨーロッパの中世では広く神の存在が信じられ、神を疑う人は稀であった。神が、人々に人生の意味、生きる意味を与えてくれていた。だが、ルネ・デカルトは(当時としては非常に大胆なのだが)神を疑うような考え方を提示、代わりにego(エゴ)や(cogito)コギトを基礎に置くような思想を展開した(いわゆる「我思う、ゆえに我あり」と要約される思想。『方法序説』などで提示)、18世紀には哲学者・思想家によって唯物論など神を介しない哲学的な考え方も論じられるようになった。さらに19世紀に自然哲学が自然科学へと徐々に変化し大学で教えられる学問の体系が変化するにつれ、学問体系からは神や人生の意味とのつながりが次第に抜け落ちていった。そして、神を信ずる人の割合は中世などに比べじわじわと減ることになった。そうした一連の風潮を、19世紀にはニーチェが「神の死」という言葉で指摘した。「神の死」はニヒリズムをもたらしがちであるが、ニーチェは、神が思想から失われた時代になっても、神に代わって人々に生きる意味を与えてくれるような、ニヒリズムを乗り越えさせてくれるような思想を打ち立てようとした。20世紀前半、マックス・ウェーバーは、学問体系が「神」や「人生の意味」を失ってしまった状態でそれに取り組むことはどのようなことなのか、その厳しさ・残酷さを学生たちに理解させようとした(『職業としての学問』)。しかし神の定義は有神論、理神論、汎神論など様々あり曖昧である。
サムシング・グレート
村上和雄が述べた宇宙の大いなる存在。生命の存在は進化論だけでは十分に説明できないと考え、サムシング・グレートと呼ぶ存在を想定し自身の立場が「知的設計論者の意見に近い」と述べている。
他
- 「神」の字を含む人名
漢字の「神」が付せられた最も古い人名は神農(しんのう)である。神農は中国神話や、江戸時代に官学として説かれた道学における三皇五帝の三皇の一人。百草を嘗めて効能を確かめ、諸人に医療と農耕の術を教えたという。神農は炎帝(5500 - 6000年前)と一体視され、また、炎帝の妻は東海の外れに住み十日を産んだ羲和とされる。
脚注
注釈
^ a b c d e f g ブリタニカ百科事典【神】
^ 『大辞泉』 小学館『大辞泉』編集部/編、小学館、1998年11月20日、増補・新装版、pp. 548-549。ISBN 978-4-09-501212-4。
^ a b 引用元・出典:『漢字源』961頁、学研、1996年4月1日改訂新版第3刷
^ 春秋左氏伝‐荘公三十二年 中国哲学書電子化計画
^ Preston Hunter, Major Religions of the World Ranked by Number of Adherents
^ ヘブライ語対訳英語聖書 Genesis 1
^ ヘブライ語対訳英語聖書 Genesis 2
^ ヘブライ語対訳英語聖書 Genesis 3
^ ヘブライ語対訳英語聖書 Deuteronomy 10:9
^ ヘブライ語対訳英語聖書 Genesis 3
^ ヘブライ語対訳英語聖書 Genesis 3:20
^ 正教会からの出典:信仰-信経:日本正教会 The Orthodox Church in Japan
^ 東方諸教会からの出典:■信仰と教義(シリア正教会)
^ カトリック教会からの出典:教皇ベネディクト十六世の2006年6月11日の「お告げの祈り」のことば
^ 聖公会からの出典:英国聖公会の39箇条(聖公会大綱)一1563年制定一
^ ルーテル教会からの出典:私たちルーテル教会の信仰
^ 改革派教会からの出典:ウェストミンスター信仰基準
^ バプテストからの出典:Of God and of the Holy Trinity.
^ メソジストからの参照:フスト・ゴンサレス 著、鈴木浩 訳『キリスト教神学基本用語集』p103 - p105, 教文館 (2010/11)、ISBN 9784764240353
^ 正教会からの参照:Jesus Christ, Son of God, Incarnation(アメリカ正教会)
^ カトリック教会からの参照:Christology(カトリック百科事典)
^ 聖公会からの参照(但しこの「39カ条」は現代の聖公会では絶対視はされていない):英国聖公会の39箇条(聖公会大綱) 1563年制定
^ ルーテル教会からの参照:Christ Jesus.(Edited by: Erwin L. Lueker, Luther Poellot, Paul Jackson)
^ 改革派教会からの参照:ウェストミンスター信仰基準
^ バプテストからの参照:Of God and of the Holy Trinity., Of Christ the Mediator. (いずれもThe 1677/89 London Baptist Confession of Faith)
^ メソジストからの参照:フスト・ゴンサレス 著、鈴木浩 訳『キリスト教神学基本用語集』pp.73-75, 教文館、2010年11月、ISBN 9784764240353
^ 鈴木範久 『聖書の日本語 - 翻訳の歴史』 岩波書店、2006年2月。ISBN 978-4-00-023664-5。[要ページ番号]
^ 高島俊男 『お言葉ですが…』11、連合出版、2006年11月。ISBN 978-4-89772-214-6。[要ページ番号]
^ a b 『ゴッドと上帝』、pp. 120-131。
^ 『ゴッドと上帝』、pp. 160-162。
^ 『ゴッドと上帝』、p. 122。
^ ヘブライ語対訳英語聖書 Deuteronomy 10:9
^ 村上陽一郎『奇跡を考える』岩波書店、pp.133-138
参考文献
柳父章 『ゴッドと上帝 - 歴史のなかの翻訳』 筑摩書房、1986年3月。ISBN 978-4-480-85301-1。
出典は列挙するだけでなく、脚注などを用いてどの記述の情報源であるかを明記してください。記事の信頼性向上にご協力をお願いいたします。(2014年9月)
河合隼雄 『宗教と科学の接点』 岩波書店、1986年5月。ISBN 978-4-00-001026-9。
佐藤幸治 『心理禅 - 東洋の知恵と西洋の科学』 創元社、2004年8月。ISBN 978-4-422-93270-5。
渡辺正雄 『科学者とキリスト教 - ガリレイから現代まで』 講談社〈ブルーバックス B-686〉、1987年4月。ISBN 978-4-06-132686-6。
ヘルマンス, ウィリアム 『アインシュタイン、神を語る - 宇宙・科学・宗教・平和』 雑賀紀彦訳、工作舎、2000年4月。ISBN 978-4-87502-326-5。
関連書籍
鹿嶋春平太 『神とゴッドはどう違うか』 新潮社〈新潮選書〉、1997年2月。ISBN 978-4-10-600512-1。
関連項目
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外部リンク
- 「Western Concepts of God」 - インターネット哲学百科事典にある「西洋における神の概念」についての項目。(英語)
- 「Concepts of God」 - スタンフォード哲学百科事典にある「神の概念」についての項目。(英語)
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