節税Ⅰ【概説】前半
- 消費税による節税
- 新たに設立された法人で、資本金が一千万円未満などの要件を満たすものは、最大2年間消費税免税事業者である(個人事業が法人に成る場合に特に有用である)
- 基準期間の課税売上高が五千万円以下の場合だと、簡易課税を選択できるが、一般課税のままより税額が低い場合がある(※ 専門家に相談したほうが良い)
- 翌期に大型の設備投資を予定している場合には、決算日までに一般課税の課税事業者になる届出をすることで還付を得られるケースがある(※ 専門家に相談したほうが良い)
- 簡易課税の場合で、通常の仕入商品の売上は小売の第2種だが、相手先が事業者である場合には卸売の第1種とすることができ、概算の仕入税額控除を大きくできる。
- 簡易課税の場合で、建設業者等(第3種)が仕入商品を売り上げた場合に、納品等であると別途明記する事により、小売の第2種や卸売の第1種とすることができる。
- 一般方式で個別対応方式の課税事業者が土地等の非課税資産を臨時に売却する場合、課税売上に対する課税仕入の割合を、前三期分の状況で算定できる届出(該当する期中に提出する)がある。
- 印紙は、金券ショップ等の再販売業者で購入する事で、課税仕入となる。
- 修正申告、更正の請求等
- 申告税額に不足があれば直ちに修正申告する(自発的な修正であれば過少申告加算税が軽減される)
- 申告税額が過剰であれば1年以内に更正の請求を行う
- 税務調査上での修正申告には安易に応じず更正処分も検討する
- 投資による節税
- 土地の譲渡については、長期保有した場合の方が特別控除が大きいため、短期で売却するのを我慢すること。(転売益の特別加算は停止中)
個人の節税例
日本では国民の多数を占める給与所得者の所得税(及び地方税)が雇用者の年末調整で計算・精算されるため、国民の納税意識が低く、一部高額所得者を除いて節税への関心は必ずしも高いとは言えなかったが、消費税導入後は目に見える形での納税を実感する傾向にある。
- タイミング
- 税控除の対象支出の年末までの延期: 例えば、税控除の対象となる100万円の寄付行為を1月1日に行うのと12月31日に行うのでは、その年度の所得税から控除されることは同じだが、後者は前者に比べてほぼ1年間余計に100万円の資金を手元に確保できるので、その資金を投資・預金に回せば運用益が見込めるか、または手元流動性が改善する。
- 税率引き上げ前の購入: 自動車などの耐久消費財や不動産はその高額故、消費税率の引き上げにより数万円から百万円単位の負担増になるので、税率引き上げ前に購入する。ただし、この様な駆け込み需要の直後には反動として販売低迷→価格引き下げが期待されるのが一般的であり、必ずしも得策となるとは限らない。特に、「消費税率引き上げ」のみに踊らされて、不要あるいは希望にそぐわない物件を購入するなどの失敗の危険もある。
- 下取りの活用
- 例えば、査定額20万円の現有車を下取りに出して200万円の新車(あるいは中古車)を購入する場合、下取り額を10万円にして購入車の価格を190万円に値引きしてもらう。すると、販売店に入る本体金額はいずれの場合でも180万円(200万-20万または190万-10万)で変わりないが、購入車価格が10万円下がるので、消費税率10%なら1万円の節税になる。ただし、このような操作を実態(実勢価格)と大きく隔たった金額で行うと、税務当局により課税逃れとみなされる恐れがある。また、中古車の仕入れは販売店側では課税仕入れになるので、差額が一定であれば、販売店が支払う消費税は変わらない。
節税商品
税金を下げるための商品開発が行われる事例も存在する。
- ビール類のケース
- ビールの課税に対して発泡酒や第三のビールが開発された。
- 軽自動車
- 2010年代には軽自動車の市場シェアが40%程になっているが、この背景にランニングコストの安さがある。
その中には当然自動車税も含まれるため、軽自動車も一種の節税商品という見方ができる。 - 軽ボンネットバン - 軽ハッチバックのうち4ナンバー登録のグレード。区分上商用車として見なされる(メーカーもビジネスグレードとして位置づけている)為軽自動車税は軽乗用車の約半分である。この類の車両は商用車として必要な荷室を確保する為に5ナンバー車に比べて後席が狭いが、ビジネスユースはもちろんのこと「一人一台が当たり前」の地方住民など2シーターと割り切れる層からは税金の安い「節約乗用車」として根強い需要がある。最終型三菱・ミニカに至っては販売台数の3/4がバンという状態にまで至り、途中でバンのみの設定にしたほどである。
人気は全盛期ほどではないが2015年現在もスズキ・アルト、ダイハツ・ミラ(とそのOEMのスバル・プレオ)に設定されている。
- 2010年代には軽自動車の市場シェアが40%程になっているが、この背景にランニングコストの安さがある。
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