自然や宇宙の神秘と謎【自然宇宙:TOCANA】

 >  >  > 記憶に関する5つの不思議な研究結果

2016.03.18

 

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イメージ画像:「Thinkstock」より

記憶は“合成”できる

 昨年4月、富山大学の井ノ口馨教授らが、2つの別々の記憶を合成し、「新しい記憶」を作り出すことに成功したと発表した。研究チームは、マウスを丸い形の箱と四角い形の箱に入れる実験を行ったが、四角い箱に入れた時には電気ショックを与えて恐怖の記憶を植えつけた。その後、マウスの脳神経細胞にレーザー光を当てて記憶を制御すると、丸い箱に入れた時も恐怖を思い出して怯えるようになったという。

 つまり、私たちはたとえ関連性が弱い記憶であっても、それらの記憶を結びつけることで個々の記憶から知識や概念を新たに作り出すことができるというわけだ。これは、自身の経験を介すことなく新しい物事を考えることができるという“強み”であると同時に、記憶が必ずしも事実とは限らないという“弱み”であるともいえる。同研究の進展によって、さまざまな精神疾患の治療法開発につながると期待されているようだ。


■記憶は驚くほど“大容量”

 今年1月、米・ソーク研究所のテリー・セチノウスキー教授が主導する研究によって、人間の脳がこれまで考えられていたよりも10倍もの情報を記憶できることが判明した。教授らは、シナプスの記憶容量を測定することに成功、脳全体では約1ペタバイトの情報を記憶することが可能であることを導き出した。これは従来学説の10倍の記憶容量に相当するという。

 しかも、研究では一般成人の脳が起床時にわずか20ワットのエネルギーしか消費していないことも判明。脳は極めて低エネルギーで超高度な演算処理を行っていたのだ。AI人工知能)の目覚ましい発展が語られるようになって久しいが、まだまだ私たちの脳はその遥か彼方に位置する存在だったというわけだ。