>  >  > 半年でスーパー記憶術が身につく!

2017.03.29

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記憶力は適切な訓練を行えば短期間で著しい向上を見せる

 最初の実験では、記憶アスリートたちは与えられた20分という記憶時間で、72語中平均70語という非常に高いレベルで記憶力を発揮した一方、比較対象被験者らは平均して40語という結果になった。

 脳スキャンの結果は、比較対象被験者らの脳の活動と記憶アスリートたちのそれは脳内では、「デフォルトモードネットワーク」と総称される一連の脳神経の活動を調整する構造体での活動反応に顕著な差が見られ、また脳内で記憶を司る領域である海馬とその周辺領域での活動にも差がみられた。

 海馬においては、記憶は空間的なイメージ記憶と強く関連しており、記憶アスリートたちが記憶の際に、記憶する対象と空間イメージをリンクさせながら記憶していくことも確認された。

 しかし、6週間後の再検査の時には、「記憶の宮殿」法で空間と記憶対象をリンクさせながら行う記憶術を訓練したグループの被験者らは、記憶アスリートたちと類似した脳内ネットワークの活動を見せ、さらに4カ月後に行われた最後のスキャンの際には、記憶アスリートたちに限りなく近い脳の動きを見せ、記憶作業においても著しい向上を見せたのである。

 ワーキングメモリーのトレーニングを行ってきたグループと、トレーニングを全く行わなかったグループでは、脳の活動に変化は見られないという結果になった。この実験調査によって、記憶力は適切な訓練を行えば比較的短期間で著しい向上を見せることが確認されたわけである。

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 画像は「Wikimedia Commons」より

 どうしても暗記が苦手という人には朗報ともいえる調査結果だが、実際、毎日30分間のトレーニングができるかどうかは疑問である。1日10分で痩せられる簡単トレーニングでさえ10日程度で面倒になってしまう人が多い中、30分のトレーニングは、かなりの目的意識を持っていないと続いてはいかないのではないだろうか。
(文=高夏五道)

参考:「The Guardian」ほか