大学入学資格検定
大学入学資格検定(だいがくにゅうがくしかくけんてい、英語: University Entrance Qualification Examination)とは、2004年度(平成16年度)以前の日本で実施されていた、日本の大学に入学する学力の有無を判定し、試験合格者は高校卒業者と同等の資格が得られる国家試験のことであった。大検(だいけん)と略称されていた。
2004年度(平成16年度)末に廃止され、2005年度(平成17年度)より高等学校卒業程度認定試験(高認)に移行している。
目次
1概要
2受検資格
3試験科目
4制度の沿革
4.1開始まで
4.2開始後の改訂[3]
5大学入学資格検定(およびその前身に相当する試験)を受けた有名人
5.1専検・高検など
5.2大検
6大検を扱っているメディア
7参考文献
8関連項目
概要
この大学入学資格検定という制度は、大学入学資格を有しない者(高等学校を卒業していない人)に対して、「高等学校を卒業した者と同等以上の学力があるかどうか」を認定するために検定を行い、その合格者に対して大学入学資格を与えるためのものであった。
大学入学資格検定に合格した者は、中学校卒業程度認定試験(中検)にも合格したものとみなされる。合格時に18歳未満であった者(その年度中に18歳になる者は除く)は、18歳になる年度から大学入学資格が与えられる。また、大学入学資格検定に合格している者は、高等学校を卒業した者と「同等以上の学力」があると認められるので、大学受験や就職の際の扱いは高等学校卒業程度認定試験の合格者と同じで(高卒認定試験では、大検で合格した科目は免除扱いになる。)、公務員試験や、国・都道府県・地方自治体が主催する各種国家資格試験での学歴要件を満たすことが多い。ただし、合格した場合であっても、民間企業への応募に際しては応募者を高校卒業扱いとするかどうかは、文部科学省所管の高等学校以外の学校卒業者と同様に企業によって、判断が分かれる場合もある[1]。
出題は、主として多肢選択による客観式の検査方法で、解答はマークシート方式によっていた。1995年ころまでは合格難易度が高かったが、2000年代になって合格必要科目数が減ると同時に合格最低点が下がり、合格率は上昇した。
朝鮮学校などの卒業者は日本の学校教育法では高校卒業の資格とはならなかったので、これに対して大検を免除するべきかが議論となった。堤清二、橋爪大三郎等は、大学入学資格検定のかわりに「高等学校学力検定試験(高検)」を新設するべきだと主張していた。[2]
履歴書の学歴欄記入例 「平成○○年○○月 大学入学資格検定合格」
受検資格
- 中学校を卒業した者
- 中等教育学校の前期課程を修了した者
- 盲学校の中学部・聾学校の中学部・養護学校の中学部(当時。いずれも現在は特別支援学校に改称)を卒業した者
- 就学義務猶予免除者等の中学校卒業程度認定試験に合格した者
- 中学校を卒業していない者で、受検年度内に16歳以上になる者
以上のうち、どれかを満たす人が受検できた。かつては最後の条件が定められていなかったため、民族学校卒業者や就学免除者は、「就学義務猶予免除者等の中学校卒業程度認定試験」に合格しない限り受検資格がなく、特に民族学校卒業者は「就学義務猶予免除者等の中学校卒業程度認定試験」も受験資格がない場合もあった。
上記の条件を満たしていても、
- 高等学校の全日制の課程に在籍している者
- 高等専門学校に在籍している者
- 中等教育学校の後期課程に在籍している者
- 盲学校の高等部・聾学校の高等部・養護学校の高等部に在籍している者
- 高等学校を卒業した者
- 中等教育学校の後期課程を修了した者
- 高等専門学校の第3学年を修了した者
- 盲学校の高等部・聾学校の高等部・養護学校の高等部を卒業した者
- すでに大学入学資格検定の全科目について合格した者
のうちどれかを満たす人は、受検資格がなかった。
注意点としては、高等学校の定時制の課程・通信制の課程を卒業した者は受検できないが、在籍している者は受検できるということ、全日制の課程などに在籍する者であっても大学入学資格検定の試験日までに退学すれば受検できることである。
試験科目
廃止時点において合格に必要な科目は以下の通りで、科目数は11(現代社会でなく、倫理と政治・経済を選択した場合は12)だった。選択科目は必須選択科目からの選択を除いて2科目を選択した。ただし、同一名称の科目は1つのみ。また、公民はどちらか1グループのみ。
- 国語
- 国語:必須
- 古典:選択
- 地理歴史
- 公民
- 数学
- 数学Ⅰ:必須
- 数学Ⅱ・数学A:選択
- 理科
- 家庭
- 家庭:必須
- 保健体育
- 保健:選択
- 外国語
- 英語:選択
- 工業
- 工業数理:選択
- 商業
- 職業訓練に関する科目
- 情報関係基礎:選択