革命Ⅰ【概要】
日本における革命
「日本の革命」も参照
中国大陸は易姓革命も含めて多くの革命を経験しており、また朝鮮半島やベトナムでも易姓革命や近代以後の革命は起こっているが、それらに比して日本では、有史以来革命が起こったことがないとされている。政権の交代はしばしば発生したが、天皇家、ひいてはその家長たる天皇が名目上の最高の支配者であり続け、実質的な最高権力者でも天皇の臣下(大臣や大連、摂政や関白や太政大臣、征夷大将軍や執権や管領や老中、内閣総理大臣など)という形式を崩さなかったからである。江戸時代の山崎闇斎(『泰山集』)や水戸学の藤田東湖(『弘道館記述義』)のように、日本は天照大神以来の万世一系の皇統を持つ唯一無二の国家であるとして、易姓革命を否定して国粋主義を高揚させる逆説的な論理で用いられることもあった。ただしクーデターや内戦の類とされるものは多数起きており、その中には他国の革命に相当するほどの劇的な政治体制の変化が起きたこともある(大化の改新、承久の乱、天下布武など)。
吉田松陰の思想を背景として起こった明治維新は保守革命ともいわれ、あるいはまた西欧でいうクーデターとは異なる独自の意味として「維新」を考える学説もある(藤田省三、松本健一ら)。またマルクス主義の立場からは、日本共産党などは明治維新を絶対主義の成立とするが、スターリン主義の影響を受けてない潮流はブルジョワ革命とすることが多く、日本資本主義論争などに繋がった。
なお明治維新の英訳語は「王政復古」という意味で「Meiji Restoration」である。
北一輝らの民族主義ないし国家社会主義的革命理論では、天皇および国体を真正のものへと変革(革命)することが目指された。三島由紀夫も陽明学の影響のもとに、保守革命を企画した。
主な革命一覧
政治
市民革命(ブルジョワ革命)(結果的に資産階級が利益を得た革命)
オランダ独立戦争(1568年 - 1648年) - 最初の市民革命とも言われる。独立宣言は1581年とされている。独立の事実上の確定は1596年のグリニッジ条約。スペインの独立承認は1648年のミュンスター条約。
清教徒革命(1642年 - 1649年、イギリス)
名誉革命[7](1688年、イギリス)
自由の時代(1730年 - 1771年、スウェーデン) - 議会によって統治法が制定。スウェーデン最初の立憲君主制時代。後半は国力が弱体化し絶対王政が復活。
アメリカ独立戦争(アメリカ革命)(1775年 - 1783年)
フランス革命(1789年 - 1794年)
5月3日憲法(1791年、ポーランド) - ポーランド・リトアニア共和国時代にスタニスワフ2世国王による憲法制定。現代の基準から見ても先進的だった。
1809年革命(1809年、スウェーデン) - 軍人、貴族のクーデターでグスタフ4世国王を追放。再び立憲君主制に。
五月革命(1810年、アルゼンチン) - 1816年に独立宣言。
スペイン独立戦争(1808年 - 1814年)
スペイン立憲革命(リエゴ革命)(1820年 - 1923年) - 1812年憲法が復活するも、王政復古したフランスの侵攻で終わる。
1820年自由主義革命(1820年 - 1829年、ポルトガル)
メキシコ帝国崩壊(1823年) - 独立の翌1822年にメキシコ帝国となるも同年末から反乱が拡大し1823年に崩壊、連邦共和制に。
ニューサウスウェールズ法(1823年、オーストラリア) - イギリスの法律。植民地オーストラリアで本国並みの権利を求める運動が高まり、各植民地ごとに立法、行政、司法機関が設置された。独立は1901年。
フランス7月革命[8](1830年)
ポルトガル内戦(1828年 - 1834年) - 立憲君主派と絶対王政派の内戦。1834年に立憲君主派の勝利。
第一次カルリスタ戦争(1833年 - 1839年、スペイン) - 立憲君主派が勝利して自由主義的改革が行われるが、イサベル2世女王は反動的だった。
護憲党のクーデター(1842年、セルビア) - オスマン帝国内のセルビア公国のクーデター。独立は1878年。
アイスランド独立運動(1843年頃から) - 世界最古の議会がある。ヨン・シグルズソンを指導者とする独立運動が起きる。1843年に議会(アルシング)復活。1864年に外国貿易完全自由化、1874年に自治法成立。1918年に独立。
分離同盟戦争(1847年 )とスイス連邦の成立(1848年) - 自由主義諸州とカトリック諸州の内戦。現在のスイスの原型が出来る。西ヨーロッパの1848年革命の発端となった。
1848年革命(諸国民の春)(1848年 - 1849年) - 西ヨーロッパ中心に市民革命が連続して発生。フランス以外は古典的な市民革命。
ドイツ・オーストリア3月革命[9] - ドイツはプロイセンが中心。オーストリアは本国以外にも波及。
ハンガリー革命 - 1848年3月15日に発生。独立を求めたが1849年に鎮圧された。
ヴェネト共和国(1848年、イタリア) - 1848年3月に成立。1849年にオーストリアに降伏。
ポーランド暴動 (1848年)(英語版)
第一回汎スラヴ会議(チェコ人中心) - 1948年6月に開催。影響力はなかった。
ルクセンブルクの制憲議会(英語版)
ワラキア革命とモルダビア革命(英語版)(ルーマニア)
ローマ共和国(1849年、イタリア) - 1849年にフランスに降伏。
自治領カナダの成立(1867年) - 独立は1931年。
スペイン名誉革命(スペイン語版)(1868年)とスペイン第一共和政(1873年 - 1874年) - 1868年にプリム将軍のクーデター。1870年に新憲法制定されるもプリム将軍暗殺。1873年に共和制。1874年にカンポス将軍のクーデターで王政復古。
イタリア統一(1859年 - 1870年)
ドイツ統一(1864年 - 1871年)
明治維新(1867年 - 1872年、日本)
トンガの立憲制改革(1875年) - 太平洋の国で珍しく現地人の統治を守った。しかし王政への不満は高まり、2005年にトンガ動乱が発生。
ミドハト憲法(1876年 - 1878年、 トルコ) - オスマン帝国で近代化改革のタンジマートの失敗後、大宰相ミドハト・パシャが公布。露土戦争の敗北後に停止。
ウラービー革命(1879年 - 1882年、エジプト)
共和制革命(1889年、ブラジル)
1903年のクーデター(1903年、セルビア) - ペータル1世 が即位。自由主義的な憲法が制定。
ロシア第一革命(1905年)
イラン立憲革命(1906年 - 1911年)
青年トルコ人革命(1908年 - 1909年、 トルコ) - オスマン帝国末期に青年トルコ人のクーデター政権が憲政を復活させたが帝国の崩壊は止まらなかった。青年トルコ人運動からトルコ革命の指導者が登場する。
1910年10月5日革命(1910年、ポルトガル)
辛亥革命(1911年、中国)
ロシア革命の二月革命(ユリウス暦1917年2月) - 二月革命の時点では古典的な市民革命。
トルコ革命(1922年 - 1923年)
スペイン第二共和政(1931年 - 1939年) - 無血革命で共和制に。1936年に人民戦線政府。同年フランコ将軍がクーデターを起こす。スペイン内戦となり1939年にフランコの勝利。
立憲革命(1932年、タイ) - 政変自体はクーデターだが結果として近代化が進んだ。
7月14日革命(1958年、イラク) - クーデターによるハーシム王政の打倒。アメリカの中東支配に打撃を与えた。
立憲君主制の導入(1959年 - 1960年、ネパール) - マヘンドラ国王が立憲君主制を導入したが、初の総選挙で就任したコイララ首相の急激な封建的制度の改革への反動で翌年国王がクーデター。絶対王制に回帰。
イエメン革命(1962年) - 汎アラブ主義によるクーデターで(北)イエメン(当時は南イエメンの独立前)の王制廃止。
ザンジバル革命(1964年) - クーデターで王制廃止。同年タンガニーカと合併してタンザニアに。
ジャナ・アンドラン(人々の運動)(1990年、ネパール) - 民主化運動によって、立憲君主制の下で議会民主制の復活。
立憲君主制の導入(2002年、バーレーン)
立憲君主制の導入(2008年、ブータン) - ジグミ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク国王による憲法制定で立憲君主制に。
2月17日革命(2011年、リビア) - 2月17日はデモが大規模化した日。政権崩壊は8月。アラブの春の1つ。カッザーフィー政権は政体を直接民主制のジャマーヒリーヤ(人民共同体といった意味)と称したが、実態は憲法も議会も内閣もないカッザーフィーの私物国家。以前は絶対王政だから、カッザーフィー政権を絶対王政の延長と考えれば、2月17日革命が古典的な市民革命に相当する事になる。その後内戦状態になりつつある。
市民革命的な植民地独立(資本主義経済の確立を伴う。その後破綻国家になったかは問わない)
ハイチ革命(1791年 - 1804年) - フランス革命の影響を受けたルーヴェルチュールらが、ナポレオンの侵攻を打ち破り、奴隷制度を廃止し、世界初の黒人による共和国ハイチを建国した。
パラグアイ独立(1811年)
メキシコ独立革命(1810年 - 1821年) - 市民革命として始まり1813年に独立宣言するが1815年に敗北。その後宗主国スペインの革命に反発する保守派が主導権を握って1821年に独立。独立はむしろ市民革命に対する反動。
スウェーデン=ノルウェー連合王国の成立(1814年) - ノルウェーが独立宣言、憲法制定、スウェーデンとの戦争を経て、スウェーデンと同君連合を形成。ノルウェーは1905年に独立。
チリ独立(1818年)
コロンビア独立戦争(1810年 - 1819年、コロンビア) - その後大コロンビアの形成後、各国に分裂。
ベネズエラ独立戦争(英語版)(1810年 - 1821年) - 1911年にベネズエラ第一共和国(英語版)成立するも崩壊。1821年に独立が確定。
ウルグアイ独立戦争(1811年 - 1828年) - 1811年独立戦争開始。1815年独立宣言。ラテンアメリカ最初の農地改革が行われる。1820年にポルトガル=ブラジル連合王国軍に敗北。アルゼンチン・ブラジル戦争の結果1828年に独立。
ドミニカ独立(1821年) - 1822年にハイチに占領される。1845年ハイチから独立。1861年スペインに再併合。1865年再々独立。
ギリシャ独立(1821年 - 1833年)
中米連邦成立(1823年、グアテマラ、エルサルバドル、ホンジュラス、ニカラグア、コスタリカなど) - 1923年のメキシコ帝国崩壊で中米地域は中米連邦となる。自由主義政策が進められたが、保守派の反乱があり1838年から1841年までに各国に分裂。
ボリビア独立(1825年) - 国名はラテンアメリカ独立の英雄ボリバルにちなむ。
ベルギー独立革命(1830年) - 完全な独立は1839年。
リベリア独立(1847年)
ニュージーランド自治領成立(1852年) - 独立は1947年。
オーストリア=ハンガリー帝国の成立(1867年、オーストリア、ハンガリー) - ハンガリーがオーストリアから独立し、対等の立場で連合の帝国となる。他の民族の不満は解消されなかった。
モンテネグロ公国独立(1876年、モンテネグロ) - 1852年に世俗国家化。1860年からオスマン帝国からの独立戦争。
ルーマニア独立(1866年 - 1878年) - 1866年に新憲法起草。1877年に独立宣言、翌年独立。
フィリピン独立革命(1896年、1898年)
キューバ独立(1902年) - 米西戦争でアメリカが介入してスペインからは独立。事実上はアメリカの保護国。
ブルガリア独立(1909年)
南アフリカ連邦の成立(1910年) - 独立は1931年。人種差別法は残った。
モンゴル独立(1911年 - 1915年) - 辛亥革命によってモンゴル人の民族運動が激化。1911年に独立宣言。1915年に自治権を認められる。
チベット独立時代(1912年 - 1950年) - 辛亥革命により独立宣言。独立か自治か曖昧な状態が続く。1950年に中国軍が侵攻。1951年に中国に併合。
アラブ反乱(1916年 - 1918年、イラク、シリア、レバノン、ヨルダン、パレスチナ、アラビアなど) - オスマン帝国からのアラブ人独立と統一アラブ国家の樹立を目指す運動。トルコからは離脱したが、イギリス領内の王国やフランス領になった。
チェコスロバキア独立(1918年)
ポーランド第二共和国(1918年) - 第一次世界大戦でドイツ、オーストリアが敗北、ロシアで革命が起きたため独立を回復。
セルビア人・クロアチア人・スロベニア人王国の成立(1918年、ユーゴスラビア) - 汎スラヴ主義に基づき、既に独立国だったセルビアとモンテネグロに加えて、オーストリア=ハンガリー帝国領だったクロアチアやスロベニアなどが加わって成立。1929年に国王独裁となってユーゴスラビアに改名。セルビア人主導だったため他の民族の不満は強かった。
フィンランド独立(1917年 - 1919年)
エジプト革命 (1919年)(エジプト独立)(1919年 - 1923年) - ワフド党による独立運動。1922年に独立。1923年に憲法起草。
アイルランド独立(1922年)
サウジアラビア独立(1932年) - 建国は1902年。イギリスからの独立が1932年。
東トルキスタン独立運動(三区革命)(1933年 - 1934年、1944年 - 1949年、中国の新疆ウイグル自治区) - 2つの東トルキスタンの領域は重ならない。中国では東トルキスタン共和国という名は忌避され、第二次東トルキスタン共和国が三区革命と呼ばれる。
レバノン独立(1941年)
シリア独立(1946年)
ヨルダン独立(1946年)
フィリピン独立(1946年)
インド・パキスタン分離独立(1947年)
ビルマ独立(1948年、ミャンマー)
イスラエル建国(1948年)
南ベトナム独立(1949年) - 実質はフランスの傀儡国家。
インドネシア独立戦争(1945年 - 1949年)とインドネシア共和国の成立(1950年)
ラオス、カンボジア独立(1953年)
スーダン、モロッコ、チュニジア独立(1956年)
ガーナ独立(1957年) - 1956年自治政府成立。1957年にブラックアフリカで最初に独立。
マラヤ連邦独立(1957年、マレーシア) - 1963年にマレーシアになる。
ギニア独立(1958年)
アフリカの年(1960年、カメルーン、セネガル、トーゴ、マダガスカル、コンゴ民主共和国、ソマリア、ベナン、ニジェール、ブルキナファソ、コートジボワール、チャド、中央アフリカ共和国、コンゴ共和国、ガボン、マリ、ナイジェリア、モーリタニア) - フランス植民地を中心にアフリカで多くの国が独立。
シエラレオネ独立(1961年)
タンガニーカ独立(1961年) - 1964年にザンジバルと合併してタンザニアになる。
アルジェリア独立戦争(1954年 - 1962年)
ウガンダ独立(1963年)
ケニア独立(1963年)
マラウイ独立とザンビア独立(1964年)
シンガポール独立(1965年)
ボツワナ独立(1966年)
フィジー独立(1970年)
ポルトガル領アフリカの独立(1974年 - 1975年)、ギニアビサウ(1974年)、モザンビーク(1975年)、アンゴラ(1975年) - ギニアビサウ独立戦争は本国ポルトガルのカーネーション革命の発生に影響を与えた。
パプアニューギニア独立(1975年) - 自治政府議会の選挙は1964年。
グリーンランド自治政府成立(1979年、グリーンランド)
ジンバブエ独立(1980年) - 1965年に白人植民地政府がローデシアとして一方的に独立を宣言。1980年に選挙で黒人政権が成立して正式に独立。国内的には人種差別撤廃の市民革命。
ニューカレドニア独立運動(1985年 - )
ミクロネシア、マーシャル諸島独立(1986年)
ナミビア独立戦争(1966年 - 1990年)
エリトリア独立戦争(1961年 - 1991年)
パラオ独立(1994年)
東ティモール独立(2002年)
南スーダン独立(2011年)
社会階級とはあまり関係のない現代の意味における「市民」による革命
フランス2月革命(1848年)[10] - 1848年革命(諸国民の春)の1つ。フランスでは以前のブルジョワジー主体の市民革命から労働者主体の革命になった。他は古典的な市民革命。
メキシコ革命(1911年 - 1920年)