>  >  > マスク氏が指摘する超高知能エイリアンとは?

2017.02.28

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「ある人々は私のことをエイリアンだと考えているが、それは違う」――。先日ドバイで行なわれた国際会議でイーロン・マスク氏が口にした言葉だ。彼は、現在、民間人2人を乗せた有人宇宙船「ドラゴン」を2018年後半に月周回旅行に打ち上げると発表したスペースX社の社長。実現すればアポロ17号以来46年ぶりとなる。

 会議の開催期間中に行なわれた特別対談でマスク氏はみずからの“エイリアン観”を率直に語っている。


人工知能が“超高知能エイリアン”になる日

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 「Express」の記事より

 先の2月11日~13日の間、中東はUAE・ドバイで開催された「World Government Summit 2017」には世界139カ国から4000人のトップリーダーが集い、今後地球規模で取り組むべき問題が話し合われた。

 テスラ・モータース及びスペースXのCEOであるイーロン・マスク氏がUAE内閣総務未来省大臣のムハンマド・アブドラ・アレガウィ氏の司会で大勢の観衆を前に対談を行なっている。トークの内容は、マスク氏が現在取り組んでいる仕事の内容からアイディアの源泉、近未来の社会についてなど多岐にわたり、幅広い話題で自説を展開したマスク氏だったが、その中で“エイリアン”についての話が持ち上がったのだ。

 ことの発端は人工知能の話からだった。かねてから人工知能の進化に警鐘を鳴らしているマスク氏だけに、司会のアレガウィ氏が人工知能の何が危険であるのかと質問したことが話のきっかけとなった。そこでマスク氏がたとえとして引き合いに出したのが“超高知能エイリアン”である。

「今から20年以内ほどの社会に、“超高知能エイリアン”がやってきたことを想像してみてください」とマスク氏は説明する。つまり現在の人工知能の急激な進化は、近い将来に超高知能エイリアンを社会に招くことと同じであると解説したのだ。凄まじい進化を遂げるAIは、人類よりもはるかに頭の良いエイリアンと同じような不気味な存在になるということである。

「デジタルな超高知能はエイリアンのような存在です」(イーロン・マスク氏)

 こうして人工知能についての話が繰り広げられたのだが、ここで司会のアレガウィ氏の口から「では、この地球上に他所からやってきた知的生命体はいるのでしょうか?」という国際会議らしからぬ(!?)質問が飛び出したのだ。

 

 

WGS17 Session: A Conversation with Elon Musk 動画は「World Government Summit」より


イーロン・マスク「彼らはすでに我々を観察している」

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 「Express」の記事より

 現在、地球上に他の惑星から来た生命体がいるのか? 「それはあり得ることだね……」と反射的に口にしたマスク氏は続ける。

エイリアンはどこにいるのか? それは物理学的と哲学の問題として私はとても重要な問いであると考えています。すでに我々の中に彼らが混じっているのかもしれませんが、私にはわかりません。ある人々は私のことをエイリアンだと考えているようですが、残念ながらそれは違います」(イーロン・マスク氏)

 と会場に笑いを誘ったマスク氏。するとアレガウィ氏はそもそも人類自体が、地球外からの起源の生命であるという、いわゆる“パンスペルミア説”に近い自説を少し述べた後、「今後50年の間に我々はエイリアンと接触の機会を持つと思いますか?」と切り出したのだ。

それは難しい質問ですね……、もし超高知能エイリアンがいるとすれば、彼らはすでに我々を観察しているでしょう。それはいかにもあり得る話ですが、残念ながら我々はそれに気づくことができないのです」(イーロン・マスク氏)

 さらにマスク氏は、進んだエイリアン文明の最優先の野心は銀河の中での生活圏の拡大にあるとし、ざっくりとした計算では、光速の10~20%の移動速度が可能な文明は1000万年、遅くとも2000万年あれば銀河系全体に殖民できると話している。

 ご存知の通り、2020年代中にスペースX宇宙船を使って火星に人を送り込む計画を発表し世を驚かせているマスク氏だが、火星に向かう宇宙船のスピードは一説には時速10万km(宇宙空間内で)に達するといわれている。先進的エイリアン文明が実現しているという光速の10分1、時速1億kmにはまだまだ手が届かないが、それでも2020年代に時速10万kmの宇宙船が開発されるとすれば凄い話だ。着々と計画を進めるマスク氏の自信はいったいどこから来るのか。

 UFO情報ブログ「UFO Sightings Daily」でスコット・ウェアリング氏は「マスク氏はエイリアンになり得る存在だ」と言及している。“エイリアンになれる”とはどういう意味なのか? ウェアリング氏によれば、マスク氏はDARPA(アメリカ国防高等研究計画局)などのアメリカ政府機関を通じてエイリアン由来のテクノロジーの供与を受けているはずだと述べている。そして政府はマスク氏がそれらの技術をどう扱うのか、注意深く見つめているという。つまり現在、マスク氏およびスペースXはエイリアンの先進技術を獲得する過程にあり、まさにエイリアンになりつつあるということなのである。

 対談はこのほかにも、自動運転車や人間のサイボーグ化、全人類規模のベーシックインカムなどにも話は及び会場を賑わせた。マスク氏の言動には今後も大いに注目を集めそうだ。
(文=仲田しんじ)

参考:「Express」、「UFO Sightings Daily」ほか