>  >  > 高速電波バーストの謎!物理学者が徹底検証!後編

2017.01.16

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画像は「BBC」より引用

 2012年に観測されて以来、科学者を悩ませ続けてきた、深宇宙から届く爆発的な電波「高速電波バースト(FRB)」の出所が今年に入り確定された。その科学的な重要性は言うまでもないが、トカナでは敢えてオルタナティブな真実を追求するため、世界的に有名な物理学者X氏に名前を伏せることを条件に、突撃インタビューを敢行。世界のどのマスメディアも報じていない“地球外知的生命体メッセージ説”の可能性が浮き彫りとなった。

 前編では、「FRBが今後の宇宙論に与える影響」から「地球外知的生命体からのメッセージ説」までお伝えしたが、後編でも「メッセージ説」に加え、「矮小銀河に地球外知的生命体が存在する確率」までオカルト的興奮に溢れるトピックを詳細に語り尽くしてもらった。

——そもそも(映画『コンタクト』のように)電波に何らかの意味が含まれていたとしても、それを解析する技術が地球にあるのですか?

X氏 地球の科学技術では、超高度な地球外知的生命体のメッセージを解読できない可能性はもちろんあります。

『コンタクト』では、地球外知的生命体のメッセージ発信方法が非常に合理的でした。まずは、知的生命体のみが発生可能な分かりやすい「2、3、5、7、11…」という素数のシグナルで我々の注意をガッチリ掴みました。そして、よく聞くとその裏に3次元空間を利用した超高度な形式のデータを格納していることが分かったのです。結局そのデータはワームホールでワープ航法を行う装置の設計図でした。

 地球外知的生命体が自分の存在をアピールするだけであれば、意図的にわかりにくいメッセージを発する理由がありません。『コンタクト』のように人為的でわかりやすい、素数などのシグナルを用いるべきです。しかしながら、何かの設計図のように高度で大量の情報を伝える場合は、より高度で複雑なメッセージにならざるを得ません。科学技術をもってわずか100年程度の地球人がそのような高度なメッセージを理解できない可能性は十分にあります。

 

 

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『コンタクト』「CNET」より引用

 例えば、30年前の人類が宇宙人へのメッセージとして惑星探査機「ボイジャー」に載せたのは「金色のレコード」でした。今となっては、地球上でさえレコードは骨董品として売られています。30年前の人に現代のスマホから出ている電波を送ってもそれが音声だとは、ましては“ウェブページ”であるとはすぐには気付かないでしょう。

 銀河系内の地球外知的生命体の数を知るためのドレイク方程式の最後の重要な項にもなっている“知的文明の寿命”がどれくらい長いかはわかりませんが、楽観的に1万年と考えたとして、地球上でも1万年後にどの程度科学技術が発展しているか想像もつきません。このような超高度な知的文明であれば、電波や情報をはるかに高度に用いていることでしょう。そのような存在が、現在の地球に合わせたレベルの信号を送ってくることはほとんど期待できません。現代の我々も伝書鳩の時代の人にわざわざ伝書鳩で高度なコンピューターの設計図を送ろうとは思わないはずです。だって、面倒くさいじゃないですか(笑)

 もしも、今回のFRBが知的生命体からの宇宙の狼煙であれば、耳をすませばさらに高度な情報が重ねて送られてきている可能性はあります。また、狼煙としても素数などの原始的なものではなく、宇宙のどの知的生命体にとっても共通かつ唯一のゴールとなるであろう “万物の理論”(*)をカギとした狼煙やメッセージを送っている可能性があります。知的生命体であれば、宇宙の無二の答えを教科書として共有したいと思うはずです。

* 量理論と一般相対論を統合し自然界に存在する4つの力(電磁力、弱い力、強い力、重力)を説明する究極理論。現在のところ「超弦理論」や「M理論」などが候補として挙がっているが、完成していない。また、現在は5つ目の力があるともいわれている。

 

 

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画像は「Thinkstock」より引用

——ドレイクの方程式が話に挙がりましたが、今回FRBが送信された矮小銀河に方程式を当てはめた場合、高度な知的文明が存在する確率はどの程度なのでしょうか?

 X氏 矮小銀河に知的生命体がいる可能性はもちろんあります。

 矮小銀河は我々の銀河系の100分の1程度の恒星しか存在しない暗く小さな銀河です。このような銀河は全体の重力が弱いために恒星間物質が希薄であるということを除けば、矮小銀河に存在する恒星と我々の銀河に存在する恒星に決定的な違いはありません。よって、一つ一つの恒星の周りの惑星に地球外知的生命体が発生する確率は矮小銀河でも銀河系内でも決定的に異なることはないでしょう。矮小銀河に知的生命体がいる可能性はあるのです。

 では、地球から受信可能な地球外文明の数を見積もるためのドレイク方程式の具体的な数式を見てみましょう。

N=N*×fp×ne×fl×fi×fc×L (*)

 このドレイク方程式を矮小銀河に適用してみましょう。しかし、ここで注意が必要です。ドレイク方程式の定義はそもそも、我々の銀河系の中で現在通信可能な地球外文明の数を計算する方程式です。そこに はるか遠方の信号のほぼ届かない“矮小銀河の分”を加えたところで、N*(銀河系の恒星の数)が実効的にほんの僅かに増えるだけで我々にとってチャンスは何も変わらないのです。

 では、ドレイク方程式を矮小銀河の中で適用してみましょう。すると、矮小銀河のなかで、今、通信可能な知的文明の数が計算できます。しかし銀河系と比べて、矮小惑星内の恒星の数が100分の1と少ない分、違う文明同士が矮小銀河内で出会う確率も100分の1になります。よって、先に可能性として挙げた超々高度文明間における宇宙戦争の可能性も方程式上ではかなり低いということになります。

* N:銀河系内に存在し人類とコンタクトする可能性のある地球外文明の数、N*:銀河系の恒星の数、fp:恒星が惑星を持っている確率、ne:ひとつの恒星系が持つ、生命の存在が可能となる状態の惑星の平均数、fl:生命の存在が可能となる状態の惑星において、生命が実際に発生する確率fi:発生した生命が知的なレベルまで進化する確率、fc:知的なレベルになった生命体が星間通信を行う割合、L:知的文明の寿命

 前後編に渡り、FRBのオルタナティブな可能性を語って頂いたが、読者はどう思われただろうか?

 X氏の予想では、FRBの発信源が地球外知的生命体であるならば、今後さらに巧妙な暗号のようなメッセージが送られてくるとのことだ。30億年をかけてはるばる宇宙を旅してきた電波がいつ地球に届くかは未知数だが、近い将来SF顔負けの事実が明らかになるかもしれない。今後もFRBから目が離せない!
(編集部)