天才ハーバード大教授がガチで答えた! 人工知能、超光速… … Ⅰ

 
 

2016.07.05

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撮影:編集部

■ひらめきは、どこからやって来るのか?

――独創的な視点で研究に取り組んでいらっしゃる博士ですが、日々の生活において、どういった時にアイデアが浮かぶのでしょうか? そこに神意のようなものも関わっていると思いますか?

ランドール  本を執筆している期間は、研究している時よりもアイデアが浮かぶことが多かったように思います。なぜなら、ものを書いていく過程で多くのアナロジー(類推)に触れるからです。ひらめきはいろいろな瞬間に訪れます。人と話しているとき、まだわからないデータや理論を理解しようと努めてもいるとき、メールをしている最中でも。

 家に帰っても、よく考えがまとまらないことはありますが、いつも頭の片隅に留めておけば、いずれはアイデアが浮かぶことがあります。でも、書くという行為自体がどれだけ直接そういった“ひらめき”に関係しているかはわからないですね。何か浮かんでも、大したアイデアではないかもしれないですし。ですから、神の意向のような、特別な黄金則があるというわけではないですね。

――ひらめきや独創性という点に関して言えば、芸術(ランドール博士の場合は執筆)と科学には多くの共通点があるのでしょうか?

ランドール  科学と芸術の間には、多くの共通要素があります。その一つとして、少なくともどちらも問題解決に関わりますね。いくつもの異なった考えを、順序立てて提示するのは簡単ではありません。私は、常に論理において正しい方向性を見極めることで達成感を感じます。もちろん、本来それらはわかりやすくあるべきです。

――創造性とともに掘り下げていくという観点から、芸術と科学には多くの共通点がある、と。では、そのプロセスにおいて、どんな気づきがもたらされるのでしょうか?

ランドール  前著『宇宙の扉をノックする』にも創造性のことはたくさん記しています。私の場合は、(本の執筆時に)多くの異なる要素を織り交ぜることで、面白いものになるようにしています。芸術も科学も、何かしらの物事をより効果的に生み出し、追求していくことに関わっています。ただし科学は、自然を相手に検証という作業を行う必要がありますが。


人工知能、リアリティ、超光速について

――ここからは、最新の科学的話題について、ひとつひとつお聞きしたいと思います。昨今、さまざまな分野で頻繁に人工知能AI)の話を耳にします。人工知能の発展は、人間にとって潜在的脅威となるでしょうか?

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撮影:編集部

ランドール  近未来における人工知能の危険性に関しては、少し大げさに捉えられているように思います。コンピュータは急速に進化を遂げた一方で、人工知能についての理解はそれほど進んでいません。日本では特に多くの人々が関心を持っているようですが、もっとほかに重要なことに目を向けるべきではないかと思います。私が言いたいのは、ロボットは私たちに人間とはどういうものかを考えさせてくれるという点において、非常に興味深いということです。ただし、新たなテクノロジーを常に慎重に取り扱う必要があることは指摘するまでもありません。

――ダークマター、ヒッグス粒子やボース粒子のように、人間が感知することのできない存在について研究する際、どれほどのリアリティを感じているのでしょうか? また、私たちはどのようにリアリティを感じることができますか?

ランドール  ダークマターにリアリティがないということはありません。リアルというのは、実際に触ったり、感じたりすることだけではないと思います。それらを方程式、もしくは概念化することで、抽象的ではあるものの存在を認めることができるわけですから。 

 

 

――光速より速い素粒子は見つかるでしょうか?

ランドール  可能性はあると言えます。ただ、時空の対称性など既知の法則とは異なる物理法則が必要になってきます。そのため、身近な場所や、観測手段では見つからないと思いますが、探し続けていくことで、いずれは見つかるかもしれません。

――博士は森羅万象を物理法則化できると思われますか?

ランドール  それは無理ですね。あらゆる物事を理解し、体系化する必要があるわけですから。

――研究者としての姿勢について教えて下さい。博士は、なぜ宇宙やダークマターについてもっと知りたいと思うのでしょうか? というのも人間は誰しもが、こんなに小さな地球に生まれた一生命体に過ぎません。与えられた環境をそのまま受け入れてしまえば、宇宙の謎など解き明かさなくても、生きていくことに何の支障もないと考えられます。

ランドール  人間は好奇心が旺盛だからでしょう。ほかの文化を知りたいとか、見知らぬ土地に行きたいと思うことと同じです。これは、もともと人間性に根差したものかもしれません。しかし一方で、自分の居場所にずっと留まりたいという欲求もあって、私たちはその2つの思いの間を行ったり来たりしているように感じます。


 さて、話がいよいよ広がってきたところで、ついにトカナの十八番であるオカルトについて質問したのだが……。博士の口から飛び出した言葉とは!? 怒涛のインタビュー第3回へ続く!

(中田雄一郎/科学ライター)