良いニュースと悪いニュース、人はどっちを先に聞きたいか?どっちを先に伝えるべきか?(米研究)

2013年11月21日 ι コメント(20) ι 知る ι 料理・健康・暮らし ι #

 

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 自分にとって良いニュース、悪いニュースの2つがあった場合、あなたはどちらを先に知りたいだろうか?それらのニュースはどちらを先に伝えるべきなのだろうか?米カリフォルニア大学リバーサイド校のアンジェラ・レッグとケイト・スウィーニーは、この質問に対する答えを研究した。

 


 レッグ氏によると、この質問に対する答えは、回答は、悪いニュースを伝える側か聞く側かによって、さらにはその情報が相手の行動に改善を促すものかによって変わっていくという。

 実験の結果によると、聞く側の方は、「悪いニュースを先に聞きたい」という人が75%超と、圧倒的多数を占めている。それとは対照的に、伝える側の方は、「良いニュースを先に、悪いニュースを後に話したい」という人が65~70%を占めた。

 聞く側は、「どうせ悪いニュースを聞かされるのなら、さっさと聞いてしまった方がいいという気持ちあるのだろう」とレッグ氏は分析する。その後に良いニュースが続けば、“最終的にほっとできる”というわけだ。逆に伝える側としては、「悪いニュースを伝えるのが楽しいという人はいない。心理的不安からどうしても悪いニュースを先延ばしにしてしまう。」

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 「しかし、相手の行動を改めさせようとする場合、良いニュースを先に伝え、その後で悪いニュースを伝えることが有効な戦略になるケースがある。」とレッグ氏は言う。

 伝えたいニュースがいくつかあった場合、悪いニュースを良いニュースの間に挟んで伝える「サンドイッチ・アプローチ 」は、相手の気分を損ねずに、悪いニュースを伝えることができる。例えば医師がダイエットが必要な患者に、「コレステロール値が下がっていますよ。血圧は大分高いですね。血糖値は良好です。」と説明することだ。

 相手の気分を良くしたいのなら有効な方法ではあるが、悪いニュースが軽く扱われ、聞き手を混乱させてしまうことになり、相手の行動改善は望めない。医師が患者に診断結果や予後予測を伝える場合は、まず悪いニュースから始めて、その後で肯定的な情報に移る方が患者に受け入れてもらいやすいとレッグ氏は言う。



 だが、ショックを和らげる良いニュースがない場合、医師はどうやって悪いニュースを伝えればいいのか? 

 米メリーランド州、ジョンズ・ホプキンス大学の緩和医療部長を務めるトマス・J・スミス氏は、「多くの医師が、はっきりとしたことが分かるまで悪いニュースを伝えるべきではないと考えている」と話す。緩和医療は、重症患者との率直で偽りのないコミュニケーションに重きを置く、比較的新しい医療分野だ。

 肺癌患者の調査データを見ると、死期が近いという事実を医師から伝えられたケースはわずか22%に留まっている」とスミス氏は言う。「ほとんどのケースで、“治癒することはないが治療はできる”という言葉と共にこの事実が伝えられている。そして多くの場合、再び同じ会話が繰り返されることはない」。



 だが実際には、90%の人が偽りのない真実の情報を知りたいと回答している。「“悪いニュース”を伝える会話は1度限りで終わらせるべきではない。」とスミス氏は強調する。「悪い診断結果を聞かされたら、どちらにしてもその後3週間は誰の言うことも耳に入らないだろう。それだけショックが大きいということだ」。 

 そんな状況は現在改善されつつあるという。現在、ジョンズ・ホプキンス大学では、医学部の学生が役者の卵の演じる“患者”に対して悪いニュースを伝える練習を行っているそうだ。

「ほかの多くの国でも状況は変わりつつある。日本では、かつて情報が誰にも知らされなかった時代があったが、今ではたとえ悪いニュースであれ、すべての人に知らされるようになってきている」。 

 また聞く側も、悪いニュースを前向きにとらえることで、残された時間を有意義に過ごすという選択をできるようになってきているという。

via:nationalgeographicnationalgeographic