ドリーム・ライフ~夢の異世界生活~    作者:愛山 雄町

第一章「少年時代:ラスモア村編」  << 前の話 次の話 >>  2/278  

第一話「キャラクター作成」

 

(何々、種族を選んで、ステータスを設定、キャラクターポイント(CP)を決める。CPはスキルの修得やステータス強化に使えるポイントか……スキルを選んで、それから、出生環境を選ぶか。階級が王家から奴隷まであるのか。それに、生まれた家が繁栄しているか、没落しているか、都会に生まれたのか、辺境に生まれたのか……なるほどね。意外と細かいな。全部、十面体サイコロで決めていくんだな)

 ステータス設定の項目を読み始めた。
 ステータスは戦闘に特化したものではなく、筋力、反射神経、肉体制御能力、耐久力、魔力、精神力、知力、製作能力、容姿、魅力の十個あり、十面体を二つ振って、一から百までの数字を決めることとなっていた。

 

(十面体二つで一から百のランダムで種族を選ぶか……竜人一〇〇、魔族九十六、エルフ九十一、ドワーフ八十一、獣人六十六、人間一……三分の二が人間か。CPは決めていないから完全にランダムになるんだな。人間以外がいいな)

 俺は最初の一投に少しだけ、緊張する。

 気合を込めて、サイコロをコタツの天板の上に振りだす。

 出た目は、“四十一”

(人間か……振り直しもできるけど、振り直しても人間だと馬鹿らしい。このまま進めよう)

 次にステータスを設定するとあるが、俺は先にキャラクターポイントを決めることにした。
 キャラクターポイントはサイコロを三回振った数の積。つまり、一から千までになる。

(普通に振れば百から二百くらいの数字になるんだろうけど、振り直しはここで使った方がいい。CPが大きければステータスの補正はできるし、スキルもたくさんとれる。それに環境にも使える)

 まずCPを決めるため、サイコロを一回ずつ振っていく。

 一投目は“九”が出た。俺は幸先のよさにガッツポーズを決める。

 二投目は何と“十”だ。これで最低九十のCPを確保した。

 そして、三投目。“てえぃ!”と気合を入れて、賽を振る。

 俺の目の前にあるのは、“二”の数字が上を向いた十面体サイコロだった。

(えっ? “二”かよ……まあいい。振り直しだな。下がる可能性は十分の一、上がる可能性は十分の八。完全にリスクよりリターンが上回っている……)

 俺は三度目の数字をキャンセルし、振り直しを選択した。
 そして、もう一度気合を入れ直し、十面体サイコロに念を送って転がした。
 よく転がる十面体サイコロが“コロ”という音を立てて止まる。
 出た数字は“九”。

(ヨッシャ! 九掛ける十掛ける九で八百十。相当ステータスが低くてもリカバリーできる。みんなには悪いが、チートキャラにさせてもらう。ふふふ……)

 俺はほくそ笑みながら、数字を眺めていた。
 そんな姿を見ていたのか、『早くしろよ。遅いぞ』と、アキラの急かす声が聞こえてきた。

「わりぃ。つい夢中になった」

 俺は慌ててステータスの設定に入る。

 筋力から決めていく。
 気合を込めて、サイコロを振っていき、筋力:三五、反射神経:八二、肉体制御能力:八三、耐久力:二〇、魔力:九六、精神力:四一、知力:九九、製作能力:四五、容姿:八七、魅力:八一となった。

(結構いい数字が集まったな。これだけ見れば、完全に魔法使い系キャラだな。肉体労働は誰かにお任せしますっていう感じだ)

 いい感じの数字に気を良くした俺は、スキルの獲得の項目に移った。

 スキルの説明では、“才能”と“特殊能力”があると書かれており、それぞれCPを使ってキャラクターに付与できるとあった。
 才能は武術系や魔法系、生産系など、生まれながらの才能に関するもので、才能を修得したからといって、すぐに使えるわけではない。修行や訓練、教育によって使えるようになるとあった。
 もう一つの特殊能力は、頑健、病気耐性、毒耐性など基礎能力に関わるものと、よく分からない“前世記憶”というものや、簡易なヘルプ機能のような“参照”のような、まさに“特殊”な能力もある。

(武術だけでも十個以上あるな。魔法は八つの属性があるのか。おっ、お得な八属性全部って言うのもあるな。八百十もCPがあると、取り放題な感じか……うん? 才能はレベルがあるのか。一で村一番、二で街一番、三で名人、四で天才、五で百年に一人の天才か。分かりにくいな。おっ、例が書いてあるな。何々、野球に例えると、一で草野球のスター、二で甲子園出場クラス、三でプロの二軍クラス、四でプロの一流選手、五はMLBの殿堂入りクラスか……才能が高ければ高いほど、スキルレベルの上昇速度が上がるか……本職にするなら三以上、普通に使うなら一でも十分ってとこか)

 俺はステータスの特性を生かし、魔法関連の才能を多めに取得した。

(魔力付与が良く分からないな。五〇CPもするし、生産系に関連するだけならいらないか……)

 肉体強化系も可能な限り修得する。そして、護身術くらいは使えるようにと、武術系のスキルもいくつか押さえることにした。
 修得した才能を並べると、
 武術系:剣術一、格闘一、回避五
 魔法系:魔法才能全属性修得、魔力効率向上、魔力防御
 生産系:なし
 その他:体術三、馬術一、調教一、交渉一、気配察知三、隠密三、罠二
 特殊能力:頑健、病気耐性、毒耐性、精神耐性、視力強化、死力発揮、前世記憶、参照

 これだけのスキルを修得してもCPは五百七十

 身分には王家から始まって奴隷まであり、七十以上で支配階級である騎士以上、四十以上で商人、十五以上で農家、五以下は奴隷となる。

(奴隷に生まれるのは絶対に嫌だな。ステータスにもCPを振りたいし、奴隷以外なら、良しとするか。後は、出生家系と家庭環境のバランスだな。もし、農民になったとしても、環境を昇運にしておけば、成長に問題はなさそうだし、家系は奴隷を回避するだけにしておくか。それにしても、五以下なんて、確率は二十分の一。勿体ない気もするな。まあ、保険と考えれば安いものか……)

 俺はCPを五だけ使い、五以下の数字を無効にした。
 そして、サイコロを振ると、“〇三”。

(あぶねぇ! CPを使わなきゃ、奴隷だった……)

 気合を込めて振り直すと、“七十一”、底辺ではあるが、支配階級の騎士となった。

(よし、いいぞ! 騎士の家に生まれた。騎士の家で魔法使いはしんどそうだな。後で武術の才能を見直すか)

 次に家の状況を決める。
 昇運から崩壊までの環境があり、最低崩壊していない三十以上となるように、俺はCPを三十使った。
 出た結果は、三十八の“没落気味”。

(折角三十も使ったのに、三十八かよ。なんか損した気分だな。まあ、落ちぶれつつある騎士の家っていうのも、キャラ設定的にはありってことにしておくか。没落しつつある家を建て直すため、冒険者になった。ありそうな設定だ)

 俺は気楽にそんなことを考えていた。

 そして、出生地を選ぶが、これも首都から人跡未踏の荒野まであり、俺はこれにもCPは使わなかった。
 その結果は、“辺境”。

(辺境の没落気味の騎士の家。名声と富を求めて旅立つ主人公。完璧な設定じゃないか……)

 出生環境も決まり、残りのCPは二百五。

(これをステータスに割り振るか。それとも、更に才能を取るか……まずは武術の見直しをするか)

 俺は、騎士の家ということもあり、剣術を三に上げ、更に投擲と盾防御を一ずつ修得した。そして、魔闘術という魔力を攻撃等に使える特殊技能を付けることにした。

(これで残りは百四十か。ステータスを上げていくか……)

 俺は再度説明書を読む。
 才能とスキルの習得方法の説明を見ると、成人(このゲームでは十五歳)までにスキルを

 習得するには、訓練が必要とあった。
 そして、訓練でのスキル習得については、家庭環境(家が裕福で教師を付けられる)と、

 訓練の成功判定を行う必要があると書いてあった。
 幼少期の訓練成功判定は、精神力以下の数字で成功。訓練実施回数は年間、

 耐久力数までとなっている。

(……つまり、幼少期の訓練は耐久力と精神力によって、習得速度が変わるということか……体が丈夫で根気のある奴が訓練をやり抜く。妙に現実臭いな……

どっちも低いんだよな。思い切って上げておくか……)

 俺はまず耐久力を二〇から八〇へ、精神力を四一から八〇に上げる

(後は短所を改善するか、長所を伸ばすかだな。才能的には十分にとってあるし、残りのCPを使い切ってステータスを上げてしまうか)

 俺はそう考え、筋力を三五から五〇、反射神経を八二から九〇、肉体制御能力を八三から九〇、魔力を九六から一〇〇、知力を九九から一〇〇、製作能力四五から五〇、魅力を八一から八二にした

 最終的には、筋力:五〇、反射神経:九〇、肉体制御能力:九〇、耐久力:八〇、魔力:一〇〇、精神力:八〇、知力:一〇〇、製作能力:五〇、容姿:八七、魅力:八二となった。
 修得した才能を並べると、
 武術系:剣術三、格闘一、投擲一、盾防御一、回避五
 魔法系:魔法才能全属性修得、魔力効率向上、魔力防御
 生産系:なし
 その他:体術三、馬術一、調教一、交渉一、気配察知三、隠密三、罠二
 特殊能力:頑健、病気耐性、毒耐性、精神耐性、視力強化、死力発揮、前世記憶、

 参照、魔闘術

 すべてのキャラクターポイントを使い切り、もう一度、確認する。

(ふふふ……ステータスの平均は八十。ファイブシグマ、十万人に一人のステータスが二つ、千人に一人のステータスが六つ。平均以下なしか……くくく、正にチート。才能も豊かだし、育てがいのあるキャラだよ……)