もしもの話で恐縮ですが、仮に日本がアメリカに対して、これからは自分の国は自分で守ることにしたから、すべての基地を撤去してもらいたいと宣言したらどうなるのでしょうか。相手はどう出てくるのでしょうか。「いくら友好国とはいえ、国家予算の都合でもはや守りきれないところまで来てしまっていたから、よくぞ言ってくれました。望むところです」と言って大歓迎し、さっさと手を引いてくれるのでしょうか。
そして日本が、航空母艦を建造し、長距離ミサイルと、それに搭載できる原子爆弾やら水素爆弾の開発に手を染め、北朝鮮はおろか中国やロシアを相手にしてもどうにか闘えるほどの軍事力をつけたら、近隣諸国はもちろん、当のアメリカですらいい顔はしないでしょう。かつて日本軍に奇襲攻撃を受けたパールハーバーのことを生々しく思い出し、時間の問題で敵対視するようになることでしょう。警戒する余り、その力を早いところで殺いでしまおうと、ありとあらゆる締めつけ策を行使し、しまいには天然資源の供給を停止させる手段に出ることでしょう。
すると日本は危機感と疎外感を強め、せっかく高めた軍事力に物を言わせて打開するしかないという方向へ追い詰められ、国民の結束力と団結力をより強固にするために、またしても天皇を人間以上の位置に高々と担ぎ上げ、武士道とやらのほとんど何の役にも立たない精神主義にしがみつき、現在の北朝鮮がまともに思えてしまうほどの異様な国家に成り果て、結局は世界中から総スカンを食らい、しまいには袋叩きの目にあわされて、二度目の無条件降伏と似合わない民主主義を押しつけられることになるでしょう。