自分の仕事に行き詰まりを感じながらも、また、すでにその世界で通用するのは、かつて馳せた名声の名残りのみという困難な状況下を意識しながらも、楽をして世渡りできたことの悪癖が抜けず、ために、今更頑張る気持ちにはとてもなれず、何とかしなければという切羽詰まった気持ちに小突き回されているとき、そうした同類が集まる飲み屋で酒の席を借りて、あくまで個人的な問題にすぎない、おのれの不満と憤懣を社会問題にすり替え、おだをあげているうちに、きまって誰かがこんなことを言い出すのです。
ここでいくら騒いでみたところ日本は少しも良くならない。ひとつおれたちで何か始めようではないか。とりあえずはスローガンのひとつも打ち出せる組織を作り、絶望が希望につながるような活動を開始しようではないか。何かしないことには何も始まらないのだから。
話を一気に盛り上がり、怪気炎が飛び交い、アイデアが続出し、気の利いた会の名前が決まり、言葉にしては素晴らしい趣旨も打ち出され、そして慢性的にネタに飢えているマスコミも飛びついて、華やかなスタートを切るのです。その前後だけかれらは往年の名声が復活したような錯覚を味わい、胸をときめかせるのですが、しかし、結局はそこまでの空騒ぎに終わってしまいます。実務能力が著しく欠落した、「おいしいところ取り」の、イメージ人間がいくら集まったところで、長い時間をかけてじっくり物事を進めてゆくという地道な努力を避けて、華やかな面のみに首を突っ込むような性格がたちまち裏目に出てしまい、最初の現実の壁にぶつかった段階で腰が引け、あとはもう言わずもがなの空中分解を迎えて、自然消滅というお定まりのコースを辿るのです。
ここでいくら騒いでみたところ日本は少しも良くならない。ひとつおれたちで何か始めようではないか。とりあえずはスローガンのひとつも打ち出せる組織を作り、絶望が希望につながるような活動を開始しようではないか。何かしないことには何も始まらないのだから。
話を一気に盛り上がり、怪気炎が飛び交い、アイデアが続出し、気の利いた会の名前が決まり、言葉にしては素晴らしい趣旨も打ち出され、そして慢性的にネタに飢えているマスコミも飛びついて、華やかなスタートを切るのです。その前後だけかれらは往年の名声が復活したような錯覚を味わい、胸をときめかせるのですが、しかし、結局はそこまでの空騒ぎに終わってしまいます。実務能力が著しく欠落した、「おいしいところ取り」の、イメージ人間がいくら集まったところで、長い時間をかけてじっくり物事を進めてゆくという地道な努力を避けて、華やかな面のみに首を突っ込むような性格がたちまち裏目に出てしまい、最初の現実の壁にぶつかった段階で腰が引け、あとはもう言わずもがなの空中分解を迎えて、自然消滅というお定まりのコースを辿るのです。