ご存じのように、かのムッソリーニも、かのヒトラーも、自国の経済がとことん疲弊したときに登場してきました。かれらは理念を優先させるばかりの左翼系の政党を蹴散らし、要するに国民が欲しているのは理屈ではなくパンであるということをよくよく弁えて、芝居っけたっぷりの演説と、わかり易く現実的なスローガンをくり返し、双方ともまずは経済の建て直しに着手し、アウトバーンに象徴されるような公共事業に税金を注ぎこむことで一気に繁栄をもたらすことに成功し、豊かになった税収と、国民からの絶大な支持を利用して、軍事力を高め、コンプレックスの裏返しである愛国主義を煽って、世界制覇の野望に燃え、実行し、そして、最初の小さな勝利にすっかり酔い痴れてしまって冷静な判断を下せなくなり、正しい認識が保てなくなり、結局はお決まりの破滅の坂道を転げ落ち、大悲劇を招くことになったのです。
つまり、為政者がそれまで低迷していた経済を復活させたときが危険のサインだということです。それが戦争への道をふたたび切り開く予兆ということです。間違ってもかれらにそれを成功させてはなりません。よしんば成功させてしまったとしても、かれらにそれ以上のことまで期待してはいけません。かれらは支配欲に駆られただけの、そして、実際にはたちまち人気にのぼせ上がって無謀な決断を下すような、愚かな妄想に振り回される、臆病で冷酷なナルシストでしかないのです。しかし、大衆もまたかれらに負けず劣らず愚かなのです。愚かな国民が愚かな英雄を作り上げるのです。そうした愚かな図式が愚かでは済まされない戦争の歴史を積み重ね、これからもまた積み重ねようとしているのです。そして今、最初の危険信号が点灯しています。
つまり、為政者がそれまで低迷していた経済を復活させたときが危険のサインだということです。それが戦争への道をふたたび切り開く予兆ということです。間違ってもかれらにそれを成功させてはなりません。よしんば成功させてしまったとしても、かれらにそれ以上のことまで期待してはいけません。かれらは支配欲に駆られただけの、そして、実際にはたちまち人気にのぼせ上がって無謀な決断を下すような、愚かな妄想に振り回される、臆病で冷酷なナルシストでしかないのです。しかし、大衆もまたかれらに負けず劣らず愚かなのです。愚かな国民が愚かな英雄を作り上げるのです。そうした愚かな図式が愚かでは済まされない戦争の歴史を積み重ね、これからもまた積み重ねようとしているのです。そして今、最初の危険信号が点灯しています。