バラキンに攻め込む以上は領内の守りを固めておかねばならない。
 バロシュ家の領境には数々の砦群が既に建設されている。
 エロシン家とバロシュ家の歴史を考えれば当然といえるだろう。

 しかしマツナガグラードの少し先はエロシン領である。
 その領境には先のような強固な防衛施設は存在しない。

 そのためバラキン家に攻め込む前に、領境に幾つかの砦に加えて、ピアジンスキー家の
騎馬隊対策として、空堀や馬防柵をマツナガグラードや領境周辺に作らなければならないだろう。
 それを終えなければ安心してバラキン家へ攻め込むことはできない。

 普請の資金はエロシン家の財産が大量にあるため問題はない。
 旧エロシングラードやママノフ館などに貯め込まれていた資産の総額は、金貨だけでも
一万枚を超えた。
 さらに宝石類などを売り払えば一割二割は上乗せられるだろう。
 
 詳細は以下の地図を見て欲しい。

挿絵(By みてみん)

 重要な部分だけ触れておこう。
 
まずバレスを防衛責任者とし、マツナガグラードの南西を預けることにした。
 そこはバロシュ家とエロシン家の両方に接しているため、バレスしか適任者がいなかったからである。
 
旧バレス領はレフとセルゲイに五百石ずつ分配した。
 しかし旧バレス領は約二千石、分配しても余るので、バレス隊の面々や、旧シチョフ兵の中で手柄を挙げた者たちに分け与えることにした。
 コンチン、ナターリャなどの領地は地図で確認してくれ。

 前置きはこの辺にして、今は手の空いている家臣達が総出で普請作業に勤しんでいるところである。
 天守を備えた本格的な城を作るわけではなく、あくまで敵の侵入を邪魔する程度の設備なのでそれ程時間は掛からないとは思う。