選挙に参加する、参加しないを問題にする前に、まずはこの人たちはどうして選挙に出たがるのかということを問題にしてほしいのです。世のため人のため、国家のため郷土のためというかれらの決まり文句をまさか真に受けているわけではないでしょうね。もしそうだとしたら、あなたはまだ独立した一個の人間になっていないことを意味します。つまり、年齢は社会人の仲間であっても、その中身たるや一人前のおとなになっていないどころか、子ども以下ということになります。振込詐欺のたぐいにまんまと引っ掛かってしまうタイプで、これではインチキだらけの浮き世を生き抜くことは到底無理でしょうし、政治が腐敗し、国家が悪の巣になるのも無理からぬ話なのです。
愚民を相手に取ってつけたような愛想をふりまき、作り笑いを浮かべ、手がしびれるほど握手をし、声が嗄れるほど「お願いします」を連呼し、へたくそな歌まで歌ってみせ、土下座までし、空涙を流してまでその地位を欲しがるかれらの胸の内を考えてみたことがありますか。そうまでして自尊心を傷つけることの、金銭的、地位的な見返りこそがかれらの真の狙いであって、断じて、断じて世のため人のためなどではないのです。
そのことは、出馬をめざすに至った動機にもはっきりと出ています。つまり、かれらは食い詰め者だということです。本業で挫折したり、体力的に無理が生じたりしたことで、一時のあいだ博した偽りの人気と虚名を利用して、最後の博打に打って出ただけの、ただのそれだけの動機でしかありません。惨めさを帳消しにし、なお一発逆転を狙うことだけが目的なのであって、そのためとあればかれらはどんな卑劣な真似でもやってのけ、大嘘でも平気でつきます。そして、また似たようなタイプがずらりと立候補するでしょう。