【カイスト王国】
ヒューマン種、所謂人間が興した王国。
建国者は、ファレオン・マルゴー。
現在の王は三十七代目。
ファレオンの直系は断絶しており、現在の王は彼の四男の家系である。
ファレオンは、農村の富農出身で、数多の俊英を束ね、三百年続いた乱世に終止符を
打った。
封建制度を採用しており、貴族は王都で政府の役所を兼ねる者と、地方で領主を兼ねる
者に大別される。
文明の発達具合は、地球史で言う中世から近世。
地球にはない魔法が存在する為、多少の齟齬はある。
爵位は、上から公、侯、伯、子、男の五爵。
その権勢を地方領主に例えるならば、公爵が小国並の領地を持つのに対し、男爵は原則
一村及びその周辺と、かなりの開きがある。
面積は中国の1.2倍程度。人口は一億五千万人。
世界有数の強国であるが、建国以来の拡大政策と政府役人及び公爵家の腐敗によって
国力は衰退の一途を辿っている。
主な産業は地方によって異なるが、全体として麦の栽培が盛ん。
地方別では、おおまかにではあるが、北方では畜産、東方では交易、南方は林業及び
鉱業が主である。
西方は他国と接していない為、カイスト王国の領土と称しているが、長大な山脈とそこに
生息する飛竜よって隔絶しており、一切の開発が行われておらず、地形等も不明である。
また、海に接している土地が事実上ほとんどない為、海産物が非常に珍重されている。
政府の形態は、二府五院から成る。
宰相府、軍令府の二府。
王家院、貴族院、枢密院、財務院、内政院の五院である。
宰相府は、宰相がその長となり王の政治を補佐する。
具体的には、四院の政務を監督し、その提案を吟味した上で修正または破棄する権限を
持ち、王へ奏上した後に実行または遂行命令を各院にだす。
その為、国政全般に多大な権限を持ち、実質上その権勢は王を凌ぐ。
軍令府は、国境防衛、他国侵攻、国内の治安維持などを管轄する。
事実上の下部組織である枢密院とは、建国以来強い繋がりを持ち、従って王個人との
繋がりも強い。
但し、軍費や兵站、徴税権など、軍の維持に必要な部分を宰相府を始めとした一府四院に
握られている為、権勢を振るえる立場にはない。
伝統的に、建国の英雄レイガルを始祖とするオーブリオン公爵家がその長となる。
王家院は、各国家儀式、後宮の管理、王族の個人的な財務、外交などを司る。
貴族院は、王国貴族の家系、叙爵、私兵の把握、等の管理を司る。
財務院は、国内の徴税、国庫、義倉、専売、等の管理を司る。
内政院は、国家土木事業、各鉱山、直轄地の行政、等の管理を司る。
枢密院は、王の諮問機関である。政務に直接的な権限を有してはいないが、他の府院の権限に抵触しない、またはその権限を一時的に移譲された場合のみ、王の独断で人員を差配できる。
各院は、長の判断と宰相の裁可によって、省の設立が為され、政務を遂行する。
省の長は最低でも、伯爵位が必要。
また、各院の長は公爵家から選ばれた者が適宜任命され、その任命は十六公爵家が
吟味した後、宰相によって為される。
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