紙幣をじゃんじゃん刷りまくって【毎秒二十京円国債合計米国$42桁】市場にあふれさせるという、あまりに馬鹿げた、あまりにも稚拙な手法でもって株価が少しばかり吊り上がるのは、薪が減って消えかけた火にガソリンを浴びせるようなことに等しく、その場は確かにどっと炎が高々と舞い上がるのですが、しかし、ガソリンをかけつづけない限り、安定した高温を保つことはできません。さりとて、ガソリンの量にもおのずと限界があり、しまいにはその悪影響のために自滅の坂道を転がり落ちる羽目になり、結局、何もしなかったほうがよかったということになってしまうのです。消えかけた炎を復活させるには、火持ちのする薪をくべるのが一番で、しかも、その薪を絶やさないように常に気を配ることが肝心です。それには杣木をきちんと整備し、植林し、じっくりと時間をかけて木を育ててゆかなければならず、それ以外の方法なぞ絶対にありません。
にもかかわらず、時の為政者はおのれの任期中に成果を出そうと焦る余り、ガソリンをかけて束の間の〈似非景気〉を生み出し、また、その派手な炎を目の当たりにして、経済の甦るきっかけが整ったと信じこみ、いや信じこみたがる愚かな国民が、その愚かな政策を歓迎するばかりか、この首相ならばすべてを任せてしまっても大丈夫だろうという、さらに愚かな幻想を抱き、未来をつぶすに決まっている原発の再稼働を容認し、そして専守防衛の枠を大きくはみ出した戦争行為そのものまでをも肯定しつつあるのです。
もしも国家と国家の将来の問題について真剣に考えているのなら、何はともあれ、破滅に直結する原発と戦争の排除が必要不可欠なのです。国家が言うところの安全と安泰は、特権的支配階級のためのそれであって、間違っても国民のためのそれではないのです。