インビット側
インビットの戦闘メカはバトル・ウォーマーと呼ばれる。甲殻類を思わせる生物的なシルエットが特徴。インビットとはあくまで生命体(異星人種族)であり、バトル・ウォーマー内の素体こそが本体である。インビットは当初、地球の大気組成に適応出来ず、特に酸素に触れると、その浸透圧と酸素の毒性により体液が沸騰蒸発してしまい、生存が不可能だった。そのため環境服の機能と同時に、戦闘のための強化外骨格を持つパワードスーツ(強化服)を着込む必要があり、これこそがバトル・ウォーマーであり、物語中盤までこのバトル・ウォーマーがインビットそのものとされていた。しかしバトル・ウォーマー内の素体が環境に合わせて進化していくうちに人間形態を取る個体が現れ、これらが搭乗して操縦する新型のバトルウォーマーが用いられるようになる。
ロボットアニメの定石として、ストーリーが進むにつれインビット側の機体も強力になっていくのだが、その過程が女王レフレスの眼鏡にかなった優秀な個体が「進化」という形でレベルアップしていくのが特徴。外見も水中生物を思わせる第一形態(イーガー)から、陸上への適応 → 大型化、武装強化 → 人間型と、地球上の生物が進化してきた過程を体現している。
大抵の対人火器を弾くが、プロテクトインビットやゴースを除けば、構造上、非装甲な単眼式カメラアイが弱点。ここに命中すれば、インビットが地球の大気に晒され気化してしまうため、ガーモだろうとカメラ真後ろに位置するインビット本体を直撃して撃破出来る。ただし、標的が小さいので狙う事は難しく、インビットも狙われていると判れば手でカメラアイを防御する事も多い。自衛以外、対人火器のみで立ち向かうのは自殺行為である。
- 海外版の「ロボテック・ニュージェネレーション」でもInvid(インビッド)と呼ばれ、海外オリジナルの「ロボテックIIセンチネル」では、外骨格なしで普通の衣服を纏って行動する第一進化形態の指揮官インビッドで、女王の摂政を「自称」する「リージェント」(英: Regent)と呼ばれる個体も登場する。「モスピーダ」での設定では、人間型の第五進化体以外は地球の大気中での生存に適さないため、液体につかりバトルウォーマーを常時着用しているが、「ロボテック」のコミックス版では設定が異なり、最初のナメクジ風の原始的な形態からアニメの第一進化形態までの間にさらに2つの形態が認められるなど、オリジナル設定が追加されている。
- イーガー
- 衛星軌道上での迎撃、および大気圏内での空戦を行うインビットの第一進化形態。全高2m50cm。ローズマダーの大きな甲羅と大型のクローをもつ二本ずつの手足を有する。HBT反応を嗅ぎ付け、虫が光に吸い寄せられるようにHBT機関に突進、肉弾特攻をかけマルスベースの宇宙船ごと自爆していく。宇宙空間ではブースターを装備している。大気圏内では飛行して先遣隊の役を果たし、場合によっては格闘攻撃も仕掛ける。最初に登場したタイプは火器をもたず、爪攻撃や体当たりをしてきた。後に2門の集光ビーム砲を備えたタイプも登場。
- ロボテックでは非武装型は「インビッド・スカウト」、武装強化型は「ファイター・スカウト」と呼ばれる。
- グラブ
- 各所に黒のラインが入る、パープルのツートンカラーの甲羅を持ったインビットの第二進化形態。全高5m10cm。イーガーよりも地上戦に適応しており、大きな足でしっかりと二足歩行ができる。設定資料にも、どこか愛嬌のある二足歩行のモーションが詳しく描かれている。両腕の破砕式大型クローが武器だがイーガー同様、両肩部に大型レーザーカノン砲を追加した火力増強タイプもある。装甲は増加したが動きは鈍く、特に空戦での機動性はイーガーに一歩譲る。
- 大型砲から撃ち出されるものは原作版の設定ではレーザーだが、ロボテック版ではプラズマパルス及びプラズマビームとなっている。
- ロボテックでは初期型は「インビッド・トルーパー」、大型砲を搭載した強化型は「ショック・トルーパー」と呼ばれる。
- ガーモ
- より戦闘的に大型化したスカイブルーとオフホワイトのインビット第三進化形態。全高7m10cm。劇中、スティック達を相手に善戦したグラブがレフレスに評価され、ガーモに進化するシーンがある。後述のゴースと同様、イーガーやグラブの部隊を率いて登場するシーンもあり、指揮官機的な存在と言える。ビーム兵器を標準で装備した初のバトルウォーマーでもある。HBT探知能力もより高められ、標的の持つエネルギー反応を地下に潜っていても関知できる程になった。
- 胴体は小さく、主砲および手足ユニットが巨大。胴体の集光ビーム砲二門に加え、主砲として三つのレンズ状発振部を持つヒートカノン砲を備えている。これは二本の弾道が一つになって放たれる熱線砲で、従来の火器とは比較にならない威力を持つ。高い機動性を持ちながら装甲も厚く、正面からではモスピーダ程度の火力では容易に撃破できず、劇中では背面からでなければ貫通不能である。ブースターなどの追加装備無しに大気圏離脱及び宇宙空間での戦闘も可能で、レフレックスポイント攻略戦ではその火力で降下部隊を苦しめた。また、スピーカーまたは発声器官を有している模様で、作中、片言ながら人間(レニーボーイ)に命令を下すシーンがある。
- ロボテックでは「インビッド・エンフォーサー」と呼ばれる。
- プロテクト・インビット
- 全高2m15cmの小型バトルウォーマーを着込んだインビット第四進化形態。外見はグレーのプロテクトスーツ状でヒューマノイド型に近い。しかし、作中では他の形態から進化したり、他の形態に進化したりするシーンがなく、対人用・指揮用の特殊形態と見ることもできる。
- 武装は両腕にビームガン。オプションとして光弾バズーカと円形楯を装備する。
- それ以下の進化形態たちの指揮官クラスで、要塞内に多く見られ、また協力的な人間との接触の場にも現れる。小型であるため戦闘力は比較的低い。装甲も薄く、対人用のビームガンでも撃ち抜かれる。第22話では、緑色の指揮官個体も見られた。
- ゴース
- 地球環境への適応の結果、最終的に人間体となったインビットが搭乗する専用機体。ガーモから進化する。全高8m60cm。他のバトルウォーマー同様生体メカ的で、何でできているのか、どう作ったかはまったく不明。従来のカニ風バトルウォーマーに比べ、その姿はかなり人型に近い。バットラー専用のグリーンを基調とした機体とソルジィ専用のパープルを基調とした機体、ファイド他の乗る量産機と思しきダークブルーの機体があり、バットラー機のみ後頭部に角がある。
- 武装も強力で、右手に大型レーザーカノン、頭部に集光ビーム砲、加えて背中に多連装ミサイルランチャー(ボール・ミサイル33発)×2まで装備。数の力で圧倒するイーガー、グラブと異なり、単独でレギオスクラスの戦闘攻撃機と互角に戦える性能を持つ。「軍人狩り」に象徴されるように人間の好戦性には否定的だったインビットが、人間に近い存在に進化していく過程でこのような強力な機体を生み出したのは皮肉な結果である。特にバットラーのような好戦的な個性の誕生はインビット内部の混乱を招き、地球を放棄する一因にもなったと言える。
- ロボテックでは「ロイヤル・コマンド・バトロイド」と呼ばれる。
- シェルドゥ
- ホタテ貝のような形をしたインピットの宇宙空母。内部にブースター付きイーガーを360機詰め込み、上下のハッチを開放し射出する。火力皆無で防御力も低く、劇中では第三次奪還軍の艦砲に護衛機ごと撃ち抜かれて一撃で破壊されている。
- 設定書によると、一万近くもの数が存在するという。多くは軌道上に配備されているようだが、ロボテック:シャドウ・クロニクル(Robotech:The Shadow Chronicles)では、レフレックスポイントから次々に打ち上げられるシーンがある。
- HBT感応レーダー
- 第12話「要塞突破ブギ」で登場したインビットの要塞内部にあるレーダーで、まるで脳のような形状をしており、レギオスやモスピーダが近付くとこのレーダーが点滅して感応し、それを守備の大量のイーガーやグラブに伝達する。このレーダーがある限り、軍人達はモスピーダやレギオスがあっても、インビットの要塞のある場所の突破を困難にしている。
主題歌
- オープニングテーマ - 『失われた伝説(ゆめ)を求めて』
- 作詞 - 売野雅勇 / 作曲 - タケカワユキヒデ / 編曲 - 久石譲 / 歌 - アンディ
- エンディングテーマ - 『ブルー・レイン』
- 作詞 - 売野雅勇 / 作曲 - タケカワユキヒデ / 編曲 - 久石譲 / 歌 - 松木美音、アンディ
上記2曲を収録したEPレコードは、ビクター音楽産業から発売された。
オープニングテロップではエンディングのタイトルが省略され、歌手名をエンディングの「アンディ/松木美音」としているため、オープニング曲を二人で歌っているかのような誤解を招くクレジットになっている。実際にはオープニングはアンディ単独、エンディングが二人による歌唱である。なお、EPレコードジャケットでは、曲名が「失われた伝説(ゆめ)を求めて/ブルー・レイン」表記になっている面がある。
オープニング映像とエンディング映像での歌詞テロップは、原曲の歌詞とは若干変更されている。例えば、オープニングの原曲版・サビ部分の「〜伝説(ものがたり)を〜」が、オープニング映像では「〜物語を〜」になっている。
アンディとは、元・シャープ・ホークスのメンバーであった小山真佐夫の事である。現在はアンディ小山として、岩手県を拠点に活動している。
アンディが主題歌を歌うに至った経緯は、作曲のタケカワユキヒデが当時、同じ所属事務所にいたアンディに声を掛けたことによる。当初アンディは子供向けアニメ主題歌の歌唱に難色を示したが、タケカワの「アニメの主題歌は、歌が上手い歌手が歌わないとチープな作品になってしまう。それに、色々な人に聴いてもらうことができる」と説得され了承した。
レコーディングではタケカワ自身が歌唱指導に当たり、英語詞部分を持ち前のネイティブな発音でフェイク気味に歌うアンディに対し「子供たちに分かり易く伝えるためには、カッコ良く歌い過ぎてはいけない」等の要請があったという。レコーディングでは「かなり全身全霊で歌った、自分のそれまでの中でもかつてなかった、Spiritのきっちり入った一曲でした」と後に述べている。
オープニングの『失われた伝説(ゆめ)を求めて』はマレーシアのロックバンドHujanが『Lonely Soldier Boy』〔“悲しき少年兵”〕のタイトルで、英語詞の部分はそのまま、日本語部分をマレー語にしてカヴァーし、現地で人気を博している。この事を知り感激したアンディがFacebookでHujanにコンタクトを取り交流が始まり、遂には渡馬しHujanのギター、ボーカルであるNohのライブに飛び入りでゲスト出演した。
同曲もNohのアコースティックギターだけによる演奏をバックにデュエットの形で披露され、観客も大合唱した。またこの渡馬の際に、Hujanのレコーディングスタジオでデュエットバージョンも録音されている。
2011年、アンディ小山が『失われた伝説(ゆめ)を求めて』をセルフカバーしたPVを作成。動画サイト「YouTube」で公開をした。
各話リスト
話数 | 放送日 | サブタイトル | 脚本 | 絵コンテ | |
---|---|---|---|---|---|
第1話 | 1983年 10月2日 |
襲撃のプレリュード | 富田祐弘 | 山田勝久 | |
第2話 | 10月9日 | 失恋少女のマーチ | |||
第3話 | 10月16日 | 真昼の決闘コンサート | 秋山勝仁 | ||
第4話 | 10月23日 | 気分はサバイバル・ソング | 康村諒 | 野寺三郎 | |
第5話 | 10月30日 | ライブ・イン・強奪作戦 | 並木敏 | 神井裕行 | |
第6話 | 11月6日 | 突ッ張り少女ブルース | 富田祐弘 | 小島正幸 | |
第7話 | 11月13日 | 亡き勇者のラグタイム | 並木敏 | 野寺三郎 | |
第8話 | 11月20日 | ジョナサンのエレジー | 康村諒 | 小島正幸 | |
第9話 | 11月27日 | ロスト・ワールド遁走曲 | 富田祐弘 | 康村正一 | |
第10話 | 12月4日 | 戦場のレクイエム | 康村諒 | 小島正幸 | |
第11話 | 12月11日 | 遠い希望のララバイ | 並木敏 | 秋山勝仁 | |
第12話 | 12月18日 | 要塞突破ブギ | 寺田憲史 | 小島正幸 | |
第13話 | 12月25日 | 砂嵐プレイバック | 富田祐弘 | 野寺三郎 | |
第14話 | 1984年 1月8日 |
ミントの結婚行進曲 | 寺田憲史 | 小島正幸 | |
第15話 | 1月15日 | 仲間割れのバラード | 富田祐弘 | 矢沢則夫 | |
第16話 | 1月22日 | トラップ・レゲエ | 並木敏 | 小島正幸 | |
第17話 | 1月29日 | 白夜のセレナーデ | 康村諒 | 康村正一 | |
第18話 | 2月5日 | 老兵たちのポルカ | 寺田憲史 | 小島正幸 | |
第19話 | 2月12日 | 氷河都市のフォルテ | 並木敏 | 野寺三郎 | |
第20話 | 2月19日 | 夜空のバースディソング | 富田祐弘 | 小島正幸 | |
第21話 | 2月26日 | 殺しのアルペジオ | 寺田憲史 | 又野弘道 | |
第22話 | 3月4日 | ニューヨーク・ビーバップ | 小島正幸 | ||
第23話 | 3月11日 | 黒髪のパルティータ | 富田祐弘 | 野寺三郎 | |
第24話 | 3月18日 | 闇のフィナーレ | 小島正幸 | ||
第25話 | 3月25日 | 光のシンフォニー | 山田勝久 |
オリジナル・ビデオ・アニメーション
- オリジナル・ビデオ・アニメーションとして 1985年9月21日に、当時定価3,360円にて「ビクター音楽産業株式会社(JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント)」より発売。商品番号 VDR-1086。正式な題名は『機甲創世記モスピーダ LOVE ,LIVE ,ALIVE』。
- イエローのミュージック・ビデオとしての内容で、ごく短時間ながら新作画フィルムあり。
挿入歌
- 「ミッドナイト・ライダー」 作詞:阿佐茜 /作曲:久石譲 /編曲:久石譲 /歌:はねおか仁(羽岡 仁)
海外作品
- 2013年7月23日に米国本土で発売された海外オリジナル・ビデオ・アニメーション(OVA)『ロボテック: 愛・生・希望』(Robotech: Love Live Alive)には、上記より更に短時間[63]ながら、米国独自の新作画フィルムと新たな女性の登場人物「ケイ」(Kay , 声 - ウェンディー・リー(Wnendee Lee))が登場。インビッド占領下でマスコミ活動が制限された環境の為、報道記者と芸能リポーターの役割を兼務しながら、世界的に有名な歌手でありダンサーでもあるイエローを追いかけていた。
- 詳細な人物像の記載については「ロボテックシリーズの登場人物」より、項目「第3世代 > その他」を参照。
商品化
放送当時
メイン スポンサーは学研。主役メカの玩具を発売した他、同社発行のアニメ雑誌「アニメディア」で積極的に特集記事を組み、アニメディアの別冊として、ムックも発売した。学研の可変トイは国内ではモスピーダとレギオスのみだった。そのほか、より小さいスケールのレギオス&トレッドの合体可能なチープトイも別に存在した。これと同時期に販売されていたモスピーダのチープトイとはコンセプトが同一である為に余剰部品も多い。
プラモデルは学研、今井科学、エルエスが発売した。1/100 レギオス、モスピーダ(ライドアーマー スティック タイプ、レイ タイプ)、アーマーバイク(スティック タイプ)をエルエス。1/48 可変レギオス、1/12 可変モスピーダ(スティック&レイ タイプ)、1/12 可変ブロウスーペリア(イエロータイプ)、1/72 レギオス(アーモファイター、アーモダイバー、アーモソルジャー)、1/15 モスピーダ(スティック タイプ、レイ タイプ)、バートレー、ブロウスーペリアを今井科学。1/12 モスピーダ(ライドアーマー・スティック タイプ、レイ タイプ)、1/48 レギオス(アーモソルジャー)の非変形モデルを学研が発売した。レギオスの肩ミサイルポッドの付き方など、学研版と今井科学、エルエス版では微妙に解釈が異なる。3社中、非変形のアーマーバイク形態をモデル化したのはエルエスのみで、関節固定、立ちポーズのライディングスーツを装着した搭乗者フィギュアが付属した。
模型関連のアイテムとして、今井科学とエルエスの共同編集で『機甲創世記モスピーダ情報』が発行された。これは今井科学、有井製作所の『超時空要塞マクロス情報』 → 『超時空情報』、グンゼ産業の『特装機兵ドルバック ニュース』と同様、模型やアニメに関する情報をまとめた小冊子。サイズもそれらの冊子と同じで封筒に入れ、普通郵便として送る事ができる縦長の体裁だった。記事の内容は作画用設定を使ったキャラやメカの解説と、商品の紹介が中心。模型店で頒布された他、キットの組立説明書に印刷された点数券を規定点分集め、今井科学とエルエスのどちらかに送る事でも入手できた。
ボードゲームはツクダホビーから、ボードウォー・シミュレーションゲームの『ジェネシスクライマー』(戦術級)が出ている。
文具関連の商品は、ショウワノートから発売されていた。
海外ではトレッドがロボテック展開時に、学研のトイ風の商品が発売されている。レギオスと合体が可能だったため、国内で未発売の物の原型か金型が海外に渡り商品化されたのではないかと言われている。放映当時、ロボテックのトイを販売していたのは英国のマッチボックス社(en:Matchbox_(toy))で、インビットのグラブ等のトイも存在していた。94年にプレイメイツ社(en:Playmates_Toys_Inc)より再発売されている。韓国でも非公式に商品化され、トレッドを含む各種アイテムが80年代中盤頃に販売されていた。
なお、この作品の商品としてではないが、タツノコプロと今井科学の両方の正規品として、1984年にモノグラム社から、『GO-BOTS』シリーズの「CY-KILL」としてブロウスペリア、「LEADER-1」としてレギオス・ゼータのプラモデルキットが販売されている。